在留資格「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」で外国人を派遣形態で就労させる場合、令和8年3月9日以降の申請分から、派遣元・派遣先双方による「誓約書」の提出が必要となります。
これまで技人国は、専門的・技術的業務に従事することを前提とする在留資格でした。しかし、派遣形態において単純労働に従事させる違法就労事例が問題視され、入管当局による確認体制が強化されています。
本記事では、これまでの提出書類の整理とともに、今回追加される誓約書の内容、制度変更の背景、企業が注意すべきポイントを解説します。
これまでの技人国(派遣)の提出書類
技人国で派遣就労する場合、従来から以下の書類提出が求められていました。
■ 在留資格認定・変更時
- 在留資格申請書
- 写真
- 労働条件通知書(雇用契約書)
- 労働者派遣個別契約書
- 派遣先での活動内容が分かる資料
- 学歴・職歴証明書
- 会社の登記事項証明書
- 決算書類
- 法定調書合計表 など
■ 更新時
- 更新申請書
- パスポート・在留カード提示
- 住民税課税証明書・納税証明書
- 派遣元管理台帳派遣先管理台帳
- 就業状況報告書 など
これらにより「専門業務であること」「適正な雇用管理がなされていること」を確認していました。
3月9日以降に追加される「誓約書」とは
令和8年3月9日以降、派遣形態で技人国を就労させる場合、以下の誓約書提出が必須となります。
■ 提出が必要な誓約書
① 派遣元(所属機関)用
② 派遣先用
つまり、双方の責任者が署名する誓約書が必要になります。
■ 誓約書(派遣元)の主な内容
- 申請書・提出書類が虚偽でないこと
- 在留資格の活動範囲を申請人および派遣先に説明し理解させていること
- 入管の調査(事情聴取・実地調査等)に応じること
- 派遣先変更時も同様の対応を行うこと
■ 誓約書(派遣先)の主な内容
- 提出書類が虚偽でないこと
- 技人国の活動範囲を理解し、その範囲内で業務に従事させること
- 入管調査に応じること
単なる形式書類ではなく、「専門業務に従事させる責任を双方が自覚する」ことを明確化する内容になっています。
なぜ誓約書が必要になったのか
背景にあるのは、技人国資格での違法就労問題です。
本来、技人国は
・通訳
・設計
・エンジニア
・企画
・マーケティング
など専門的業務を前提とする資格です。
しかし実際には、
・倉庫での単純仕分け
・製造ラインでの単純作業
・接客補助のみの業務
といった、本来認められない業務に従事させるケースが確認されていました。
派遣形態では、実際の業務指示を出すのは派遣先です。そのため、派遣元だけでなく派遣先の責任も明確にする必要があると判断されたものです。
派遣形態で特に注意すべきポイント
今回の改正で重要なのは、単に誓約書を提出すればよいという話ではない点です。実務上の運用そのものが見直される可能性があることを理解しておく必要があります。
① 派遣先が未確定では申請不可
申請時点で派遣先が確定していなければ許可されません。
「まず在留資格を取得し、その後に派遣先を探す」という流れは認められないため、事前の契約確定が前提となります。
② 在留期間は派遣契約期間に応じて決定
派遣契約が6か月であれば、在留期間もそれに準じた判断となります。長期雇用を前提とする場合は、契約期間の設計にも注意が必要です。
③ 入管が派遣先へ直接確認する可能性
在留審査では、派遣元だけでなく派遣先に対しても業務内容や実態について直接確認が行われる場合があります。
現場責任者が在留資格の活動範囲を理解していない場合、説明の不一致がリスクになる可能性があります。
つまり、今回の改正は「書類管理の強化」ではなく、「実態確認の強化」である点が最大のポイントです。
企業が今から準備すべきこと
派遣元企業だけでなく、派遣先企業も当事者として責任を負うことになります。誓約書提出により、形式的な関与では済まされなくなるため、以下の点を改めて確認しておくことが重要です。
- 業務内容が技人国の専門性に該当しているか
- マニュアルや指示内容に単純作業のみの業務が含まれていないか
- 現場管理者が在留資格の範囲を理解しているか
- 派遣契約書と実際の業務が一致しているか
特に問題になりやすいのは、「最初は専門業務だったが、徐々に単純作業が中心になっている」ケースです。業務内容の変化は日常的に起こりますが、その変化が在留資格の範囲を逸脱していないかを定期的に確認する体制づくりが必要です。
また、派遣先変更時にも同様の誓約対応が必要になるため、契約更新や派遣先変更のタイミングでのチェック体制整備も求められます。
まとめ
令和8年3月9日以降、技人国で派遣就労を行う場合は、派遣元・派遣先双方による誓約書提出が義務化されます。
これは単なる提出書類の追加ではなく、派遣形態における責任の明確化と実態確認の強化を目的とした制度変更です。違法就労や在留資格の活動範囲逸脱を未然に防ぐため、入管は派遣先を含めた確認体制を強めています。
今後は、「形式上問題ない」だけでは不十分で、実際の業務内容が在留資格と整合していることを説明できる体制が必要になります。派遣形態で技人国を活用している企業は、契約内容・業務内容・現場管理体制を一度見直し、適正運用を前提とした体制整備を進めることが重要です。
今回の改正は、派遣就労における透明性と責任を高める転換点といえるでしょう。
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