特定技能制度の中でも、慢性的な人手不足を背景に採用ニーズが高まっている「外食分野」。
一方で現在、出入国在留管理庁から「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請に関する審査状況」が公表されており、一部の申請について受付停止・制限が発生しています。
背景には、想定を上回る申請数の増加があります。特に近年は、技能実習から特定技能への移行や、留学生アルバイトからの切替え需要も増えており、外食分野の在留申請が集中している状況です。
本記事では、現在の審査状況や受付停止の対象、今後企業が注意すべきポイントについて整理して解説します。
目次
現在の「特定技能 外食分野」はどのような状況か
2026年5月19日、出入国在留管理庁は「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」を公表しました。
現在、外食分野では申請件数が受入れ見込み数を大きく上回っており、一部の在留資格変更申請について受付停止措置が行われています。
特に影響が大きいのは、以下の申請です。
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)からの変更申請
- 特定活動(特定技能1号準備)からの変更申請
これらは、受付日ベースで制限がかかっており、通常どおり審査が進まないケースが発生しています。
一方で、
- 外食分野内での転職に伴う変更申請
- 在留期間更新許可申請
については、現時点では通常どおり審査が進められていると案内されています。
つまり、「外食分野すべてが停止」というわけではなく、申請種別によって状況が異なっている点に注意が必要です。
なぜ外食分野で申請が集中しているのか
外食分野では、コロナ禍以降の人手不足が急速に深刻化しています。
特に、
- 飲食チェーン
- 居酒屋
- ホテルレストラン
- セントラルキッチン
などでは、日本人採用だけでは人員確保が難しく、特定技能外国人への依存度が高まっています。
さらに近年は、
- 技能実習修了者の移行
- 留学生アルバイトの就職
- 他分野からの転職
も増加しており、外食分野への申請が一気に集中しました。
特定技能「外食」は比較的人気の高い分野でもあります。
理由として、
- 都市部求人が多い
- シフト制で働きやすい
- 接客経験を活かしやすい
- 日本語を使う機会が多い
などもあり、外国人側からの希望も増えています。その結果、国が想定していた受け入れ見込み数に対し、申請件数が大幅に増加している状況です。
現在停止・制限されている申請内容
今回の公表内容で注意すべきなのは、「4月13日以降の新規申請は原則不許可(停止)」となっている一方で、「それ以前に受理された申請の審査がどこまで進んでいるか」という点です。
5月19日の発表によると、4月13日の措置前に受理された申請の審査進捗(目安)は以下の通りです。
具体的には、
◆技能実習からの変更申請
現在、2026年4月12日受付分を順次審査中
◆特定活動(特定技能1号準備)からの変更申請
現在、2026年2月11日受付分を順次審査中
記載されている日付は「締め切り」ではなく、「現在この日付の申請を順番に審査している」という進捗状況を示しています。想定以上の申請が殺到したため、特に「特定活動」からの変更などは審査に数ヶ月以上の大きな遅れ(順番待ち)が出ている状況です。
つまり、一定期間以降の申請については、順次許可が難しくなる可能性があるということです。
また、入管は注意事項として、
- 書類修正・追加提出を求める場合がある
- 審査順が前後する場合がある
- 在留期限が近い場合は別資格への変更案内を行う場合がある
とも説明しています。
特に、在留期限が迫っている外国人材については、企業側も早めに対応方針を確認しておく必要があります。
企業側が注意すべきポイントとは
今回の状況で企業が最も注意すべきなのは、すでに申請を済ませて結果を待っている外国人材の「在留期限の管理」です。
前述の通り、現在は審査の順番待ちで大幅な期間の長期化が発生しています。そのため、「結果を待っている間に現在のビザの期限が切れてしまう」というリスクが生じています。
審査待ち(特例期間中)の就労可否の確認や、必要に応じて別の在留資格(特定活動等)への切り替え案内が入管から行われるケースもあるため、対象人材の在留期限はこれまで以上に正確に管理する必要があります
なお、4月13日以降の「新規の滑り込み申請」は原則として受け付けられない(不許可になる)ため、これからの採用計画については、制限の対象外となっている「すでに外食分野の特定技能を持っている人材(転職)」の採用へシフトするなどの見直しが必要です。
今後の外食分野はどうなるのか
現時点では、外食分野の需要が急激に減少する可能性は低いと考えられます。
むしろ、
- インバウンド回復
- 観光需要増加
- 飲食店の人手不足
などを背景に、外国人材への依存は今後さらに強まる可能性があります。
一方で、申請数増加に伴い、
- 審査厳格化
- 書類精査強化
- 日本語能力確認
- 雇用実態確認
などは今後さらに進む可能性があります。
また、今回のように「分野別の受入れ上限」が実務へ影響するケースも増えていくと考えられます。
企業側には、
- 採用計画の前倒し
- 在留期限管理
- 定着支援
- 制度変更への情報収集
がより重要になっていくでしょう。
まとめ
現在、特定技能「外食分野」では、受入れ上限に達したため4月13日以降の新規申請が原則停止という事態となっています。
それ以前に受け付けられた「技能実習からの変更」や「特定活動からの変更」については順次審査が進められているものの、5月19日の発表からも分かる通り、非常に深刻な審査遅延(順番待ち)が発生しています。
企業側としては、現在結果を待っている候補者の「在留期限管理」を徹底するとともに、今後の採用については「外食分野内での転職者」をターゲットにするなど、制度変更に合わせた柔軟なスケジュール変更と戦略が求められます。
Link Asiaでは、特定技能「外食分野」の在留資格申請サポートをはじめ、採用計画や更新管理、制度変更への対応まで一貫して支援しています。
外食分野での外国人採用に不安がある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
















