特定技能制度は、日本の様々な職種における深刻な人手不足を解消するため、一定の専門性と技能を有する外国人材を受け入れる制度です。
この制度を活用することで、企業は即戦力となる人材を確保し、生産性の向上や事業の継続性を高めることができます。
その際に、必要な日本語レベルについて雇用側がしっかりと理解する必要があります。
本記事では、特定技能制度における、求められるレベルや注意点など詳しく解説します。
【目次】
1、特定技能制度の概要
2、特定技能外国人を雇用する際の日本語レベルの要件
3、日本語能力試験(JLPT)とその役割
4、日本語レベルの評価基準と採用時の具体的な注意点
5、日本語が業務に与える影響
6、企業が採用担当者として考慮すべきポイント
7、日本語レベルに関するQ&A
8、まとめ
目次
特定技能制度の概要について
特定技能制度は、2019年に日本政府が導入した新しい外国人労働者の受け入れ制度です。
この制度は、特定の分野において高度な技能を有する外国人を日本に呼び寄せ、労働力不足を補うことを目的としています。
特定技能は、以下の2つのカテゴリに分かれています。
熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格で、3年、1年又は6か月ごとの更新(更新回数に制限なし)。また、配偶者や子の家族帯同は基本的に認められています。
この制度の中で外国人労働者が業務を遂行するためには、一定の日本語能力を持っている必要があります。
これが企業にとってのおさえておくべき重要な部分となります。
特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。
特定技能外国人を雇用する際の日本語レベルの要件について
特定技能1号を取得する外国人に対して、一定の日本語能力を求めることは法律で義務付けられています。
特定技能2号の場合は、さらに高度な技能が求められるため日本語の能力もより高いレベルが求められます。
【特定技能1号】
特定技能1号における日本語の要件は、以下の2つに分かれます
日本語能力試験(JLPT)N4相当
→JLPTのN4は、日常的な会話や基本的な文章理解ができるレベルです。特定技能1号では、業務に支障がないレベルとしてN4相当以上を求められます。
実技試験や技能試験を通じた日本語能力の確認
→一部業種では、日本語能力を直接測るための試験を受けることが求められます。これに合格することで、日本語能力が認められることになります。
【特定技能2号】
特定技能2号の場合、日本語能力の要件はさらに高くなり、JLPT N2相当以上の能力が求められます。
N2レベルは、日常生活のほか業務においても十分に日本語を使って仕事ができるレベルです。このレベルをクリアすることで、特定技能2号の資格を維持することができます。
日本語能力試験(JLPT)とその役割
日本語能力試験(JLPT)は、外国人の日本語能力を測るために世界中で実施されている試験です。
JLPTは5つのレベル(N5からN1)に分かれており、N5が最も簡単でN1が最も難しいとされています。
N5:初歩的な日本語を理解し、簡単な会話ができる
N4:日常的な日本語を理解し、簡単な会話ができる
N3:日常会話に困らず、簡単な文章を理解できる
N2:高度な日本語を理解し、専門的な会話にも対応できる
N1:非常に高度な日本語能力を持ち、専門的な分野でも対応できる
特定技能1号を対象にした場合、企業はJLPT N4相当のレベルを確認することが求められます。
これにより、業務の基本的な理解や指示がスムーズに行えるかどうかを確認できます。
日本語レベルの評価基準と採用時の具体的な注意点
日本語能力を正確に評価するためには、JLPT以外にも以下のような方法を考慮することが重要です。
【評価基準】
日本語能力試験(JLPT)のスコア
→日本語能力試験は、正式な資格試験として広く認知されており、信頼性の高い基準となります。
企業が採用時に求めるレベルに合致しているかを確認するため、JLPTのスコアを確認することが基本となります。
【実技試験の実施】
→特定の業種(例えば介護や製造業など)では、実際に業務を行う際に必要な日本語能力を確認するため、実技試験を実施することもあります。
実技試験を通じて、指示を理解し業務を遂行するための日本語能力を測ることができます。
【会話能力の実際のテスト】
→面接の際に、会話能力を確認することも有効です。簡単な日本語でのやり取りを通じて、候補者が業務に必要な基本的な会話を理解し、実践できるかを確認します。
日本語が業務に与える影響
特定技能外国人を雇用する際に日本語能力が業務に与える影響は非常に大きいです。以下にその主な影響を挙げます。
業務の効率性
→日本語が不十分だと、指示の誤解やコミュニケーション不足から業務の効率が下がる可能性があります。
特に製造業や介護業界など、正確な指示や理解が求められる業務では、十分な日本語能力が必要です。
安全管理
→特に建設業や製造業などでは、安全に関わる指示を正確に理解することが求められます。
日本語能力が低いと指示が伝わらず、事故やトラブルの原因となる可能性があります。
チームワーク
→日本語が流暢であれば、同僚や上司と円滑なコミュニケーションが可能となり、チーム内での協力がスムーズになります。
言語が障害となる場合、チームワークがうまくいかないこともあります。
企業が採用担当者として考慮すべきポイント
採用担当者が特定技能外国人を雇用する際、以下の点を考慮することが重要です。
1、日本語能力の正確な評価
JLPTのスコアだけでなく、実務における日本語能力も考慮し業務に支障が出ないかを確認します。
2、業務内容に応じたレベル設定
業務の内容に応じて、日本語能力のレベルを適切に設定し必要以上に高いレベルを求めないようにします。
3、日本語学習支援
特定技能外国人が日本語を向上させるための支援を提供することで、よりスムーズに業務を進められるようにすることも重要です。登録支援機関が主体となって日本語教育を実施するケースもあります。
日本語レベルに関するQ&A
まとめ
特定技能外国人を雇用する際、日本語能力は業務の効率や安全性に直結するため非常に重要な要素です。
採用担当者は、必要な日本語レベルを理解し適切な評価を行うことが求められます。
また、日本語能力だけでなく業務に必要なスキルや文化理解を兼ね備えた人材を採用するための支援体制も重要です。
自社だけでなく、採用ルートへの確認も忘れず行いましょう。一部の送り出し機関や登録支援機関では積極的な日本語教育を行っています。長期間活躍する人材を採用を検討しているのではあれば非常にメリットの大きいサービスだと言えます。
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相当程度の知識又は経験や技能を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格で、在留期間は通算5年までで、配偶者や子の家族帯同は基本的に認められていません。