特定技能1号とは?企業向け基礎知識

特定技能1号は、2019年に導入された外国人材受け入れのための新たな在留資格で、日本国内の人手不足を補う目的で策定されました。

特に介護や建設業を含む16分野で即戦力としての活躍が期待されており、従来の技能実習制度や他の在留資格とは大きく異なる特徴を持っています。

本記事では、特定技能1号の基本的な定義や他資格との違い、対象となる外国人材、雇用までの具体的なプロセス、活用の際の注意点について詳しく解説します。
外国人材の採用を検討中の企業様は、ぜひこの記事を参考にしてください。

特定技能1号の定義と目的

特定技能1号は、日本国内の深刻な人手不足に対応するために設けられた在留資格です。この資格は、「即戦力となる労働力の受け入れ」を目的としており、対象業種は現在16分野に限定されています。
これらの分野は、特に人手不足が深刻な分野であり、介護、建設、飲食料品製造業、外食業など多岐にわたります。

特定技能には2種類の区分があります。

  • 特定技能1号
    一定の専門性や技能を持つ労働者を対象とし、在留期間は最大5年間です。
    ただし、家族の帯同は認められていません。
  • 特定技能2号
    さらに高度な技能を有する労働者を対象としており、在留期間に制限がなく、家族の帯同も可能です。

現在、受け入れが進んでいるのは主に特定技能1号であり、本記事ではこの1号について詳しく解説します。

特定技能1号と他の在留資格との違い

特定技能1号は、従来の技能実習制度や技術・人文知識・国際業務といった在留資格と異なる点が多くあります。以下で主な違いを見てみましょう。

  • 技能実習制度との違い
    技能実習制度は「母国で活かすための技能習得」を目的としており、一定の指導を伴う雇用契約が必要です。一方、特定技能1号は即戦力として働くことを目的としており、企業が研修を提供する義務はありません。
    そのため、実務に直結した働き方ができるのが大きな特徴です。
  • 技術・人文知識・国際業務との違い
    技術・人文知識・国際業務の在留資格は、高度な知識や専門性を持つ職種(例:設計エンジニアや通訳など)が対象ですが、特定技能1号は主に現場作業を行う職種に適用されます。
    そのため、業務内容や対象分野に大きな違いがあります。

このように、特定技能1号は、即戦力として外国人材を活用する新たな選択肢として注目されています。

特定技能1号の対象となる外国人材の特徴

特定技能1号の資格を取得するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、日本語能力試験(N4以上)に合格し、対象分野ごとの技能試験にパスすることが求められます。この試験では、現場で必要とされる実践的な技能が評価されます。

また、技能実習を3年以上、良好に修了した外国人材については、特定技能1号の技能試験が免除されます。このため、すでに日本での就労経験があり、日本の職場文化に一定の理解がある人材が多く含まれることも特長です。

さらに、技能実習での就業経験や母国での就労経験のある方が多いため、すぐに現場での即戦力としての活躍を期待することができます。

特定技能1号の受け入れまでのプロセス

外国人材を特定技能1号で受け入れる際には、以下の手順を踏む必要があります。

STEP

受け入れ基準の確認
企業は対象分野における受け入れ基準を満たしていることを確認する必要があります。分野によって基準や条件が異なりますので、各管轄の省庁に問い合わせたり、信頼できる登録支援機関(人材会社等)を通じて情報収集することが望ましいでしょう。

STEP

外国人材との契約締結
日本人との契約と同様に、労働基準法を遵守することに加えて、母国語による雇用条件の明示などが求められます。

STEP

在留資格の申請
出入国在留管理庁(通称:入管)へ、受入れ企業に関する書類、外国人材に関する書類を併せて申請を行います。許可までは、通常1~3か月程度要します。

STEP

支援計画の実施
外国人材が快適に働ける環境を整えるため、生活支援や日本語学習の提供が求められます。例えば、住居の手配や公共交通機関の使い方の指導が含まれます。

これらのプロセスをスムーズに進めるためには、専門的な知識と準備が欠かせません。
これらは全て、登録支援機関に委託することはできますが、受入れの責任は自社にあるため、きちんと理解することが重要です。

特定技能1号を活用する際の注意点

特定技能1号を活用するには、企業としていくつかの点に注意する必要があります。

  • 労働環境の整備
    外国人材が日本で快適に働くためには、職場環境の整備が欠かせません。例えば、分かりやすい業務指示や、外国人材が相談しやすい母国語での相談先の準備が推奨されます。
  • 法令遵守
    労働基準法や入管法に違反しないよう、給与支払いや労働時間の管理を徹底する必要があります。不適切な対応は企業イメージを損なうだけでなく、法的なトラブルに発展するリスクがあります。
  • 生活支援の提供
    特定技能1号では、生活支援を企業又は委託先の登録支援機関が行うことが義務付けられています。特に、言語や文化の違いに配慮した支援が重要です。例えば、日本語教育の提供や地域での生活ルールの説明などがあります。支援を委託する場合も受け入れ企業に管理責任はありますので、正しく把握することが重要です。

これらを適切に実行することで、外国人材が職場で十分に能力を発揮し、企業の成長に貢献することが期待できます。

まとめ

特定技能1号は、日本国内の人手不足を解消するために新設された在留資格です。即戦力となる外国人材を雇用することで、企業は業務効率の向上や新たな視点の導入が期待できます。
一方で、法令遵守や生活支援の提供など、企業側にも責任が伴います。
本記事で解説した内容を参考に、正しい知識と準備を整えることで、外国人材の受け入れを成功させてください。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!