JITCOとは?外国人技能実習・特定技能で関わる国際人材協力機構をわかりやすく解説

外国人雇用や技能実習制度、特定技能制度について調べていると、「JITCO(ジトコ)」という名称を目にすることがあります。
JITCOは、技能実習制度の創設当初から関わってきた組織であり、現在も外国人材の受入れに関する情報提供や支援を行っている公益財団法人です。

一方で、「JITCOは何をする機関なのか」「登録支援機関や監理団体とはどう違うのか」といった点が分かりにくいと感じる方も少なくありません。
制度に関わる立場や役割を正しく理解していないと、外国人雇用の全体像を把握しづらくなることもあります。

本記事では、JITCOの成り立ちや役割、技能実習制度・特定技能制度との関係性を整理し、外国人雇用に携わる企業や担当者が知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。

JITCOとは何か|成り立ちと基本的な位置づけ

JITCO(国際人材協力機構)は、1991年に設立された公益財団法人で、外国人技能実習制度の創設当初から制度運用に関わってきた組織です。
当初は「国際研修協力機構」という名称で活動していましたが、制度の発展と役割の拡大に伴い、現在の名称へと変更されています。

JITCOの大きな特徴は、外国人材を直接受け入れたり、企業の代わりに支援業務を行う立場ではない という点です。
あくまで制度を円滑に運用するための「支援・情報提供・助言」を行う中立的な立場の組織として位置づけられています。

そのため、JITCOは企業や監理団体、登録支援機関の“上位機関”ではなく、
制度全体を支える「ハブ」のような存在と捉えると理解しやすいでしょう。

技能実習制度におけるJITCOの役割

技能実習制度において、JITCOは「総合支援機関」としての役割を担っています。
具体的には、監理団体や実習実施者(受入企業)に対し、制度理解を深めるための情報提供や研修、相談対応などを行っています。

技能実習制度は、制度構造が複雑で、関係機関も多岐にわたるため、
運用を誤ると意図せず法令違反につながるリスクがあります。
JITCOは、そうしたリスクを減らすために、制度の正確な解釈や運用上の注意点を示す役割を果たしています。

また、技能実習制度では送出国・送出機関との関係性も重要ですが、
JITCOは海外機関との連携や情報交換も行い、国際的な制度運用の安定化にも寄与しています。

「外国人技能実習機構(OTIT)」や「監理団体」との違い

JITCOについてよくある誤解が、国の認可法人である「外国人技能実習機構(OTIT)」や、実務を行う「監理団体」との混同です。それぞれの役割を整理します。

  • 外国人技能実習機構(OTIT):【監督・認可】 2017年の法改正以降、実習計画の認定や、実習実施者・監理団体への検査(監査)、指導監督を行っているのはこのOTITです。法的な権限を持つ「監督役所」のような立ち位置です。
  • 監理団体:【実務・監査】 企業(実習実施者)の依頼を受けて受入れをサポートし、定期的な監査や指導を行う実務の主体です。
  • 登録支援機関:【特定技能の支援】 特定技能外国人の生活・就労支援を企業から委託されて行う機関です。
  • JITCO:【支援・情報】 上記の機関に対し、教材の提供やセミナー、保険の運用などで「後方支援」を行う民間組織です。法的権限による指導監査は行いません。

つまり、企業が外国人材を受け入れる際に「JITCOに申請を出せば許可が降りる」というものではなく、あくまで制度理解を深めるための情報源・相談先として活用される位置づけとなります。

特定技能制度・新制度(育成就労)におけるJITCOの関わり方

特定技能制度においても、JITCOは一定の役割を果たしていますが、技能実習制度と比べると関与の仕方はやや異なります。特定技能では、登録支援機関や受入企業が主体となって支援を行うため、JITCOが前面に出る場面は多くありません。
しかし、制度全体に関する情報整理や、技能実習から特定技能への移行に関する説明、関係機関向けの研修や資料提供などを通じて、間接的に制度運用を支えています。

注目すべき「育成就労制度」への対応
現在、技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」への移行に向けた議論が進んでいます。 JITCOでは、こうした法改正や新制度に関する最新情報もいち早く整理して発信しています。制度の過渡期にある今だからこそ、確かな情報源として重要性が増しています。

企業がJITCOをどう活用すべきか

JITCOは、外国人雇用における「実務代行」の機関ではありませんが、企業が活用するメリットは大きく分けて2つあります。

1. リスク回避のための情報源として
制度改正の背景や、法令の解釈、トラブル事例などを学ぶセミナーや教材が充実しています。「知らなかった」による法令違反を防ぐために役立ちます。

2. 実務ツールの活用(保険・書式)
JITCOに入会(会員制度)することで、実務担当者にとって大きなメリットとなるサービスを利用できます。

  • 外国人技能実習生総合保険(JITCO保険): 公的保険ではカバーしきれない治療費や賠償責任を補償する、実習生専用の民間保険に加入できます。
  • 書式・マニュアルの提供: 複雑な申請書類や管理簿のひな形、マニュアルなどを利用でき、事務負担を軽減できます。

JITCOを「制度理解と安心のための基盤」、監理団体や支援機関を「実務を担うパートナー」と位置づけて使い分けることで、外国人雇用をより安定的に進めることができるでしょう。ことで、外国人雇用をより安定的に進めることができるでしょう。

まとめ

JITCO(国際人材協力機構)は、技能実習制度や特定技能制度を含む外国人材受入れ制度を、実務ではなく制度面から支える公益的な支援機関です。 監督官庁であるOTIT(外国人技能実習機構)とは異なり、指導・監督権限は持ちませんが、制度の正しい理解や適正運用を促すための情報提供・研修・相談対応を担っています。

企業が外国人材を受け入れる際には、 「JITCO=手続きを代行してくれる機関」ではないことを理解したうえで、 「最新情報の収集」や「専用保険(JITCO保険)の活用」など、制度を安全に運用するためのサポーターとして活用することが重要です。

実際の受入れや支援業務は、監理団体や登録支援機関と連携しながら進めつつ、JITCOの発信情報を制度理解の土台として活用することで、外国人雇用をより安定的・継続的に行うことにつながります。

Link Asiaでは、こうした制度理解を踏まえたうえで、特定技能外国人の受入れや定着支援、日本語教育・生活支援まで含めた実務サポートを行っています。 外国人雇用の進め方や、新制度への対応に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!