特定技能ベトナム人材が工業製品製造業の未来を支える!?

特定技能×ベトナム×工業製品製造

日本経済が直面する「製造業の深刻な人手不足」。2024年12月には、工業製品製造業における特定技能1号外国人数が50,000人に迫り、政府は2028年までに17万人を迎える目標を掲げています。なかでも、ベトナム人特定技能人材の存在感は著しく、2024年12月時点で約27,000人と全体の54%を占める最多国籍となっています。

ベトナムは、技能実習制度との連携が強く、製造現場で即戦力となる理工系出身者や高い日本語習得意欲を持つ若者を数多く送り出している国です。この背景から、企業にとって「円滑な採用」「高い定着率」での成果がすでに多数報告されています。

本記事では、最新の制度概要や製造業でのベトナム人材採用のメリット、成功事例までご紹介します。

特定技能制度とは?工業製品製造分野での活用ポイントを解説

2019年4月に導入された「特定技能制度」は、日本の深刻な人手不足を補うため、一定の専門性・技能を備えた外国人を対象にした在留資格制度です。製造業、農業、介護など16の分野が対象となっており、うち「工業製品製造業分野」はその中核を担う重要分野の一つです。

産業別割合

                             出典:出入国在留管理庁

1.特定技能1号と2号の違い

  • 特定技能1号:基礎的な知識・技能および日本語能力(JLPT N4またはJFT-Basic A2)を有し、在留期間は通算5年まで。CBT方式の技能評価試験(学科65%以上・実技60%以上)に合格するか、実習制度から移行可能です。
  • 特定技能2号:さらに高度な技能を持つ人材が対象。家族帯同が可能で、在留に期限がありません。工業製品製造分野では「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3区分に限定され、2号試験の合格と3年以上の実務経験が必要です。

※特定技能1号と2号についてはこちらもチェック↓

〈製造業〉特定技能1号から2号になるには?

2.業務区分の拡大

2024年の制度改正により、従来の3区分から工業製品製造関連の10区分に拡大。これにより、鋳造・プリント配線板・コンクリート・陶磁器など多様な現場で外国人材が活躍できるようになりました。

3.企業が抑えるべきポイント

企業側には、①「工業製品製造業」に該当する業種であること、②売上を得た製造品を自社で出荷していること、③「製造業特定技能外国人材受入協議会」への加入が受入れ前に必須です。加入には通常2か月程度かかるため、計画的な対応が求められます。

このように、特定技能制度は製造現場に即戦力を導入しやすく、ベトナム人をはじめとする外国人材の活躍機会が飛躍的に拡大しています。

※工業製品製造分野についてはこちらをチェック↓

特定技能制度における【工業製品製造】分野について概要から採用の流れまで徹底解説!

他国と比較した採用のメリット

 高い日本語習得意欲と職場適応力

ベトナム人材は、日本語学習や職場文化への馴染みが早いという特徴があります。彼らは留学生として日本で学んだ経験を持つことも多く、親日的かつコミュニケーション志向が強いため、職場の規律や体制に適応しやすい傾向があります 。

 勤勉さと手先の器用さ

統計でも「勤勉で手先が器用」と評価されており、製造業での精密作業や地道な作業に特に強みがあります。他国の労働者と比較して、品質重視の工程で高いパフォーマンスを発揮するとされています。

 若年層の豊富な供給と定着率の高さ

ベトナムは平均年齢31歳と若く、特定技能制度を活用する20〜30代の人材が多く存在します。さらに、技能実習からの移行者が多いため、日本での就労経験が既にあり、定着率・安定性が高い点も企業にとっては安心材料です。


ベトナム人材は「即戦力」「高い定着率」「親日・就業意欲・若さ」という三重のメリットを備えています。工業製品製造の現場で品質・効率・安定性を重視する企業担当者にとって魅力的な人材となるでしょう。

※ベトナム人材の魅力についてはこちらもチェック↓

特定技能:ベトナム人材

ベトナム人材が工業製品製造分野で活躍できる理由

理工系出身者が多く、学びに意欲的

ベトナムでは工業系・理系の教育機関が充実しており、専門知識を持つ若い人材が多数を占めています。さらに、多くが日本語学習や技術取得に積極的であり、技能実習や特定技能制度を通じて、すでに日本の製造現場の経験を持つ候補者が多いのが特徴です 。教育機関や日本企業と連携した人材育成体制も整いつつあり、技術伝承のパイプが確立されています

協調性とチームプレーに優れる

文化的背景として、「集団を尊重する協調性」が根付いています。そのため、ライン作業やチーム作業, 品質管理の連携業務といった場面で、職場の規律に馴染みやすく、チームワークを活かして柔軟に動ける人材が多いです 。また、親日性や日本文化への理解も進んでおり、日本企業での定着率・コミュニケーション効率にも良い影響を与えています 。

これらの特徴から、ベトナム人特定技能人材は「精度」「スピード」「協働力」すべてを兼ね備えた即戦力と言えます。

※飲食料品製造業分野についてはこちらをチェック↓

飲食料品製造業における特定技能ベトナム人材

ベトナム人特定技能人材の採用事例:製造現場の変化とは?

2024年に公開された経済産業省の資料によると、機械加工や検査業務に従事する特定技能1号のベトナム人が、技能実習制度からスムーズに移行し、「日本人と同等の責任感で働いている」と高く評価されています。

📌 石川県の制御盤メーカーでの実績

自社での技能実習修了後、7名のベトナム人が特定技能へ移行。制御盤などの電気機器組立てを担当しています。技能実習で既に業務に慣れているため、転職が少なく定着率も高い。企業担当者によると、日本人と同じ賃金テーブルで処遇しており、将来的にはリーダー的な役割を担ってくれることを期待しているそうです。

🌍 地域コミュニティとの共生

興味深い点として、特定技能人材が地元消防団に加入し、防災訓練や広報活動で活躍したケースも。新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言発令中は、アナウンス役を務め、地域の安心・信頼形成に貢献したと報告されています。

🚀 従来以上の成長と定着

企業は、特定技能への移行による給与アップと責任ある業務が、候補者のモチベーション向上と会社への愛着につながるとも指摘。結果として、定着率が向上し、新たな実習生の模範となっているとのことです。

                参考:経済産業省「製造業における特定技能外国人材受入れ事例(2024年10月)

ベトナム人材の受け入れで失敗しないための3つのポイント

1.入念な事前準備:制度理解と社内体制の構築

特定技能制度では、ベトナム独自の送り出し体制および日本国内の「義務的支援」が法的に厳格に定められています。企業は支援責任者・担当者を社内で選任し、入国時の迎え入れから住居・日本語・生活支援までの支援計画を作成・実行する必要があります。準備が足りないまま進めると、支援義務違反で受け入れ資格を失うリスクもあるため、制度理解と自社体制の整備は必須です。

2. 登録支援機関の選定は慎重に

特定技能人材の受け入れで鍵となるのが、支援体制を委託する「登録支援機関」の選び方です。支援内容や費用、実績には大きな差があるため、複数機関と相談し、過去の支援実績・費用体系・サポート内容を比較・確認した上で決定することが、失敗を防ぐ重要なステップです。

※登録支援機関についてはこちらもチェック↓

『登録支援機関』のサービスの違いって何?

3. 採用後のフォローと日本語コミュニケーション

待遇や言語に関しては特に注意が必要です。雇用契約書は日越両言語で明示し、給与・昇給・労働時間が明確に書かれていないと「約束が守られない」と感じ、不信感や離職につながる恐れがあります 。また、日本語力向上や異文化理解の支援を継続的に行い、定期面談や研修を通じて信頼関係を構築することで、定着率を高めることができます。

まとめ

現在、ベトナム人特定技能人材は、製造業界における即戦力・安定人材として圧倒的な存在感を持っています。1号在留数は2024年12月時点で132,920人と、特定技能全体の約47%を占める最多国籍となっており、そのうち工業製品製造業分野にも約27,000人が従事しているなど、製造業での採用実績は既に十分です。

製造業の課題である「人手不足・品質維持・現場定着」を、ベトナム人特定技能人材の活躍が解消してくれるでしょう。

石川 泰治

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参考サイト

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!