高齢化が進む日本の介護業界にとって、人材不足は深刻な課題です。2019年に創設された「特定技能制度」によって、在留資格「介護」で働く外国人材の受け入れが急速に拡大しています。その中でも、インドネシア人は温厚な性格と文化的親和性の高さから、他国に比べて注目度が高まっています。
特にインドネシアでは、日本語教育が広まり、技能評価試験や日本語試験の受験者数は2025年5月時点で1万人を突破し、合格率70%超・日本語試験78%超という高水準を記録しています。また、2024年6月以降の半年間においては、インドネシア国籍の特定技能1号在留者が9,233名増加し、全体で5万人超の規模にまで成長しています。
本記事では、こうしたインドネシア人材の最新動向とや採用メリット、制度背景から現場対応まで網羅的にご紹介します。ぜひご一読ください。
目次
特定技能「介護」とは?採用前に押さえておきたい基礎知識
2019年創設の特定技能1号において、介護では、一定の介護技能試験と日本語能力(JLPT N4以上またはJFT Basic200点以上)をクリアすれば、在留期間は最長5年間で、更新は1年/6ヶ月/4ヶ月単位です。
また2025年4月より、これまで対象外だった訪問介護への従事も解禁され、在宅ケア分野で活躍できる幅が広がっています。
2024年12月末時点では、特定技能1号の介護分野在留者数は約44,367人、インドネシア人が12,242人で最多を誇ります。

出典:出入国在留管理庁(一部加工)
試験ルートでの合格率も高く、2025年4月の介護技能評価試験合格率88.9%・介護日本語評価試験合格率57.8%という高水準が報告されています。これは、日本語学習への意欲と文化的親和性、そして送り出し支援体制の充実の証です。
さらに、技能実習制度やEPA制度経験者の場合、試験の免除や移行が可能であり、制度を組み合わせた人材戦略が現実的です。
こうした制度の進化により、介護業界は他分野に先駆けて、在宅ケア現場を含めた外国人人材の受け皿拡充が進んでいます。インドネシア人材のポテンシャルとマッチすれば、即戦力として長期的に活躍できる体制が整いつつあります。
※「介護」分野について詳しくはこちらをチェック↓
インドネシア人材が介護職に向いている5つの理由
- 親日的で穏やかな国民性と文化的親和性
インドネシアは日本に対しポジティブなイメージが強く、礼儀正しく誠実な人柄が多い傾向があります。利用者や同僚とのコミュニケーションが円滑で、受け入れ側にも好印象を与えやすいです。 - 奉仕・互助の精神が地域で根付く
イスラム教徒が多数を占めるインドネシアでは「助け合い」「奉仕」を尊ぶ文化があり、高齢者介護への理解と献身的姿勢が期待できます 。 - コミュニケーション能力の高さ
おしゃべり好きで社交的な傾向があり、単語レベルでも必死に伝えようとする姿勢が、日本語習得のスピードや職場での連携向上につながります。 - 質の高い介護教育のバックグラウンド
現地の介護養成機関では基礎技術だけでなく倫理的ケア・コミュニケーション研修にも注力。すでに実習やEPA制度などで日本基準に触れた人材が多く、即戦力候補として魅力的です。 - 政府主導の支援体制が整備
インドネシア政府は、送り出し制度「SISKOTKLN」「IPKOL」や日本語教育カリキュラムによるサポートを強化。コストを抑えつつ若手でモチベーション高い人材を確保しやすい環境が整っています。
※インドネシア人材の魅力についてはこちらもチェック↓
インドネシア人材を特定技能で採用するまでの流れ
- IPKOLへの求人登録&候補者との面接
受入機関はインドネシア政府の労働市場情報システム「IPKOL」に無料登録し求人を掲載し、応募者の中から面接→雇用契約を締結します。 - 在留資格認定証明書(COE)の申請
契約後、日本の地方出入国在留管理局へCOEを申請。申請→交付まで標準で約1〜3か月かかり、書類準備と翻訳含め入国まで総じて4~6か月を見込むのが通例です。 - SISKOTKLNへの登録&E KTKLN発行
COEを受け取った後、インドネシア側で海外労働者管理システム(旧SISKOTKLN/現在SISKOP2MI)に登録し、E KTKLNとIDを取得、これがビザ申請の必須要件です。 - 査証申請とビザ発給
COEとE KTKLN、雇用契約書などを揃え、日本大使館・総領事館で査証申請。発給後、本人は出国準備に入り来日します。 - 来日・就業開始 → 登録支援機関によるサポート
来日後、登録支援機関の支援計画に基づいて住居手配、日本での生活オリエンテーション、安全研修などを受け、現場で働き始めます。
※採用手順について詳しくはこちらもチェック↓
インドネシア人材の受け入れでよくある課題とその解決策
- 日本語コミュニケーションの壁
インドネシア語母語者にとって日本語は習得が難しく、日常会話でもミスコミュニケーションが発生しがちです。解決策としては、入国前・入国後の継続的な日本語研修やOJT、さらに通訳ツールの活用が効果的です。 - 宗教・食文化への配慮
多くがイスラム教徒のインドネシア人は、食事や礼拝時間など宗教的な配慮が必須です 。ハラール食の提供、ガイド付きでの生活サポート、休憩室での礼拝時間調整をすることで職場に馴染みやすくなります。 - 過剰な仲介料や借金問題
一部の送出し機関(P3MI)による過剰な仲介料があり、借金を抱えたまま来日、返済負担が離職の要因となるケースがあります。これを回避するには、信頼できる登録支援機関を選び、借金ゼロ仕組みでの募集を行うことが重要です。 - 安定した定着支援体制の不足
制度上、受入機関には定着支援義務がありますが、その実行が不十分なケースも散見されます。定期フォロー、メンター制度の導入、日本語相談窓口など、現場に即応する体制を整えることで離職率は格段に低下します。
インドネシア人材の採用で成功している介護施設の事例
茨城県のある介護施設では、インドネシア人スタッフが活躍しています。
この施設の注目ポイントは以下の通りです。
- 介護福祉士国家試験合格者の輩出
就労中のインドネシア人2名が、第35回国家試験に合格。施設側は「年間カリキュラムを作成し、日本語能力を段階的に高めてきた」とのこと。 - 日本語教育と現場研修の両立
入国後1年目はN3取得を目指し、月2回の文法中心授業と作文宿題を実施。2〜3年目は申し送りや夜勤対応に向けて文章力と口頭表現を鍛えるなど、ステップアップ型の日本語支援体制を構築。 - 職場・家庭・メンタル面での支援強化
定期的な学習意欲のフォローや「今日は休んでOK」といった心理面の支えもあり、ストレスマネジメントと定着率向上に成功。日本人職員も含めたチーム運営が定着支援の鍵に。
参考:公益社団法人 国際厚生事業団「介護分野における特定技能受入れ事例集」
この成功事例から見える共通点は、教育計画+段階的日本語学習+現場OJT+心のケア+資格取得支援の五本柱。インドネシア人材を採用する企業が、現場で即戦力化し、長期定着を実現するための実践モデルとして非常に参考になる事例です。
まとめ:今こそインドネシア人材を特定技能「介護」で採用すべき理由
特定技能「介護」分野でインドネシア人材を迎えることは、制度面・実務面ともに非常に合理的です。最大5年間という在留期間や訪問介護への従事解禁など、2025年4月時点で制度が拡大し、在宅ケア体制の強化が進んでいます。
一方で、インドネシア人材は「親日で穏やか」「助け合いの精神が強い」など、日本の介護現場との相性が良く、言語面でも継続的な研修とOJTによって高い対応力を発揮します。
もちろん、導入には日本語コミュニケーションや宗教・文化配慮、仲介費用の管理など課題もありますが、段階的な日本語計画・メンタリング・心のケア・資格取得支援といった体系的な支援が必要不可欠です。人材不足でお困りでしたら、早期にインドネシア人介護スタッフを受け入れ、介護体制の強化と現場の質向上を図りましょう!

インドネシア人材の受入れ設計、在留手続き、支援体制の整備まで、経験豊富な専門チームがフルサポートします。安心・即戦力型の採用を実現するために、ぜひお気軽にご相談ください!
Man to Manでは、専任スタッフが銀行口座開設や医療機関への同行など、日常生活のサポートを行っています!