特定技能制度における【鉄道】分野について概要から採用の流れまで徹底解説!

特定技能制度における【鉄道】分野について概要から採用の流れまで徹底解説!

鉄道業界は、常に安全運行を維持するために高度な技術と専門知識を要します。しかし、少子化や高齢化が進む中で、日本の鉄道業界も人手不足の問題に直面しています。
このような状況の中で、特定技能制度が注目されています。特定技能制度は、外国人労働者を積極的に受け入れ業界の労働力を補うための重要な手段となっています。
特定技能制度を利用して外国人材を採用することが、今後ますます一般的になるでしょう。

本記事では、特定技能制度における鉄道の分野の仕事内容、求められるスキルや資格、外国人材を採用する際の流れや注意点について詳しく解説します。

特定技能制度とは?

特定技能制度は、2019年に日本政府が導入した新しい外国人労働者の受け入れ制度です。
この制度は、特定の分野において高度な技能を有する外国人を日本に呼び寄せ、労働力不足を補うことを目的としています。

特定技能は、以下の2つのカテゴリに分かれています。

特定技能1号

一定の技能と日本語能力を持つ外国人を対象としたビザ。最大5年間の滞在が可能です。

特定技能2号

より高度な技能を持つ外国人を対象としたビザ。定住が可能で家族の帯同も認められますが、対象となる職種は限られています。

特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。

外国人材採用において知っておくべき特定技能制度16分野について徹底解説!

主な仕事内容は?

鉄道分野における特定技能制度は、外国人材の受け入れを通じて鉄道業界の人手不足解消と安全運行の確保を目的としています。
特定技能1号の在留資格を持つ外国人労働者は、以下の5つの業務区分で従事することができます。

1、軌道整備: 鉄道の軌道の新設、改良、修繕に関する作業や検査業務。
2、電気設備整備: 鉄道の電気設備の整備や点検業務。
3、車両整備: 鉄道車両の整備や点検業務。
4、車両製造: 鉄道車両やその部品の製造業務。
5、運輸係員: 駅係員、車掌、運転士などの業務。

これらの業務に従事するためには、各業務に応じた専門的な知識と技術が求められます。
それでは、鉄道分野における特定技能労働者の仕事内容について、もう少し具体的に見ていきましょう。

【仕事内容】
鉄道の安全運行を支える基盤となる軌道の整備を担当します。
具体的には、下記のようなレールの交換や修理、枕木の交換、線路の調整などが含まれます。
これらの作業は、鉄道の運行に直接影響を与えるため、高い精度と安全意識が求められます。
【業務例】
〇軌道検測作業
・高低、通り等軌道の変位を測定する作業
〇レール交換作業
・新旧レール交換
・付帯作業(吊り上げ作業等)
〇まくらぎ交換作業
・新旧まくらぎ交換
・付帯作業(道床掘削作業等)
〇バラストを取り扱う作業
・バラスト掘削及び埋戻し
・道床形状の形成
・つき固めや通り整正に伴う作業等
〇保安設備を取り扱う作業等
・脱線防止ガード等保安設備の取り付け(交換・撤去・復旧等)
・付帯作業(締結装置の緊張・緩解作業等)

【仕事内容】
鉄道の電力供給や信号システムなどの電気設備の整備を行います。具体的には、下記のような架線の点検・修理、変電所の設備点検、信号機の設置・保守などが含まれます。
これらの作業は、鉄道の安全運行に不可欠であり、高度な専門知識と技術が必要です。
【業務例】
〇電路設備
・電車線、送電線、配電線等
〇変電所等設備
・遮断装置、変圧器、整流器、避雷器、保護装置、接地装置、消火設備等
〇電気機器等設備
・配電盤、開閉器、電源装置、照明設備、電気掲示器、電気融雪器等
〇信号保安設備
・信号装置、転てつ装置、連動装置、列車検知装置、自動列車停止装置等
〇保安通信設備
・交換装置、搬送装置、無線装置、端末装置、通信線等
〇踏切保安設備
・踏切遮断機、踏切警報機、踏切警報時間制御装置、踏切支障報知装置、障害物検知装置等
※上記設備の支持物、ケーブル、管路、配線等を含む

【仕事内容】
鉄道車両の点検・修理・整備を担当します。具体的には、車両の車体や機械部分の点検、エンジンやブレーキの整備、車両の清掃などが含まれます。
これらの作業は、乗客の安全と快適性を確保するために重要です。
【業務例】
〇列車検査、定期検査、臨時検査
・空調装置、集電装置、走行装置、ブレーキ装置、空気装置、電気装置、動力発生装置、保安装置、車体、乗務員室・客室に関わる装置、連結装置等や車両部品の検査、修繕等(解ぎ装等作業や消耗品の補充を含む)
〇構内入換
・車両基地等での車両の入換や誘導等
〇駅派出対応
・駅等における車両の検査・修繕等
〇改造工事
・車両の改造や改良工事等
〇定期・臨時清掃業務
・車両基地における車両の清掃等
〇在庫・予備品管理、工場設備取扱い
・上記に関する材料や部品、装置等の管理
及び設備の操作・管理

【仕事内容】
鉄道車両やその部品の設計・製造を行います。具体的には、新車両の設計、部品の製造、組み立て、試運転などが含まれます。
これらの作業は、鉄道の発展と技術革新に寄与する重要な業務です。
【業務例】
〇素材加工
・台車枠、構体部品加工、シートモケット加工等
〇部品組立て作業
・輪軸(駆動装置)、配電盤等電気機器組立て
・ドア、窓、ほろ、シート等内装設備品組立て等
〇構体組立て
・台枠、屋根構体、側構体及び妻構体組立て
・構体(六面体)組立て等
〇塗装
〇溶接
〇ぎ装
・機器取付け、配線、配管
・ドア、窓、天井、トイレ設備等内装部品取付け
〇台車枠製造
〇台車組立て
〇電子機器組立て
・運転保安装置(ATC装置やATS装置)、制御装置、
モニタ装置等の組立て
〇電気機器組立て
・継電器等を使用した配電盤等の組立て
〇試験・検査
・機能検査等
〇部品検収・配膳業務
・倉庫管理及び部品等運搬等

【仕事内容】
駅係員、車掌、運転士など、鉄道の運行に直接関与する業務を担当します。具体的には、乗客の案内・誘導、切符の販売・確認、車両の運転、運行管理などが含まれます。
これらの業務は、乗客の安全と快適な移動を支える重要な役割を果たします。
【業務例】
〇ポイント操作
・列車等の進路を決めるポイント操作、列車の進路に合わせた適正な鉄道信号の現示又は表示
○入換え合図
・列車等の転線、連結・分割等を行うための係員への合図
○駅設備管理・取扱業務
・駅の券売機・改札機等の管理、操作
・設備故障時の一次修理対応
○旅客案内・貨物取扱業務
・通常時・異常時のホーム上安全確認や旅客案内
・振替輸送時等の旅客案内
・貨物の受付、一時留置場所・積載列車等の指定等
○運行管理業務
・列車ダイヤと列車運行の確認・管理
・異常時における運休や増発の列車指定
○車掌業務
・列車内の旅客案内、運転士への合図
・事故防止等に必要な安全確認
・事故発生時の列車防護等による事故拡大防止等の対処を行う
・異常発生時等の避難誘導等
○運転士業務(列車の運転には動力車操縦者運転免許要す)
・列車等の運転(ワンマン列車運転の場合は車掌業務も兼任)

鉄道分野の求められるスキルと資格

特定技能の在留資格を取得するためには、所定の試験に合格する必要があります。

軌道整備
鉄道工事に関する知識、測量技術、安全管理能力。
必須試験→鉄道分野特定技能1号評価試験(軌道整備)
日本語試験→・国際交流基金日本語基礎テス ト・日本語能力試験(N4以上)・そのほか、日本語教育の参照枠のA2相当以上の水準と認められるもの

電気設備整備
電気工事に関する知識、電気設備の点検・修理技術、安全管理能力。
必須試験→鉄道分野特定技能1号評価試験(電気設備整備)
日本語試験→・国際交流基金日本語基礎テス ト・日本語能力試験(N4以上)・そのほか、日本語教育の参照枠のA2相当以上の水準と認められるもの

車両整備
機械工学に関する知識、車両整備技術、安全管理能力。
必須試験→鉄道分野特定技能1号評価試験(車両整備)
日本語試験→・国際交流基金日本語基礎テス ト・日本語能力試験(N4以上)・そのほか、日本語教育の参照枠のA2相当以上の水準と認められるもの

車両製造
機械設計・製造に関する知識、製造工程の管理能力、安全管理能力。
必須試験→鉄道分野特定技能1号評価試験(車両製造)・技能検定3級(機械加工・仕上げ・電子機 器組立て・電気機器組立て・塗装)
日本語試験→・国際交流基金日本語基礎テス ト・日本語能力試験(N4以上)・そのほか、日本語教育の参照枠のA2相当以上の水準と認められるもの

運輸係員
接客スキル、運行管理に関する知識、安全管理能力。
必須試験→鉄道分野特定技能1号評価試験(運輸係員)
日本語試験→・日本語能力試験(N3以上)・そのほか、日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの

それぞれの試験は実施主体が異なりますので注意が必要です。

外国人材の受け入れにおける必要なこと

外国人材を鉄道分野で採用する際には、企業が守るべき要件は以下の5つの条件です。

①鉄道事業法による鉄道事業者、軌道法による軌道経営者その他鉄道事業又は軌道事業の用に供する施設若しくは車両の整備又は車両の製造に係る事業を営む者であること。
②国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。 (次ページ参照)
③協議会に対し、必要な協力を行うこと。
④国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
⑤登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記②③④に規定する必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

また、上記の義務を満たすこと以外にも
下記の注意点を事前に把握し、適切に対応することがスムーズな雇用活動を実現するために重要です。

1、文化や言語の壁
日本語能力がN4以上とはいえ、日常会話に慣れていない外国人労働者が多い場合もあります。特に、接客業務や顧客対応の際に日本語でのやり取りが難しいこともあります。
事前にしっかりと日本語のトレーニングを施し、業務の内容や社内ルールについても日本語で丁寧に指導することが必要です。

2.、労働契約の明確化
外国人労働者との間で労働契約を結ぶ際には、給与や勤務時間、福利厚生など、労働条件をしっかりと明確にすることが求められます。
これにより、トラブルを未然に防ぎ、働きやすい環境を提供できます。特に契約内容が法令に準拠していることを確認し、必要な場合は翻訳を使って契約書を理解してもらうことが重要です。

3、労働環境の整備
外国人労働者が安心して働けるように、就業場所の安全衛生や労働環境の整備をしっかりと行いましょう。
また、文化的背景を尊重し、職場での人間関係やコミュニケーションが円滑に行えるよう配慮することも大切です。

4、法令遵守とサポート体制
外国人労働者の受け入れには、出入国管理や労働基準法など、日本の法律に関する理解が求められます。特に、外国人材を雇用する場合は、就業ビザや在留資格の管理が必要不可欠です。
雇用主として、これらの手続きを適切に行い、必要に応じて専門家のサポートを受けることが重要です。

外国人材採用の流れ

外国人材を鉄道分野で採用する際の流れを、採用担当者としてしっかり把握しておくことが重要です。

STEP

採用計画の策定
まず最初に、自社の業務に必要なスキルや人員数を把握し、どのような外国人材が必要かを明確にします。
具体的には、必要な技能や資格をもとにどの国からどの程度の技能を持った外国人材を採用するかを検討します。

STEP

求人募集
外国人材を対象に求人を行う際には、特定技能 鉄道分野の求人広告を適切な媒体に掲載します。または、外国人材の求職者情報を保持している職業紹介事業者などに依頼することもお勧めです。
求人情報には、仕事内容や求められるスキル・日本語能力の要件・待遇などを明確に記載することが大切です。

STEP

面接と選考
応募者が集まったら、面接を行います。面接では、業務に必要な基本的な技術やコミュニケーション能力・日本語能力を確認します。
場合によっては、実技試験や技能試験を実施することもあります。

STEP

就労ビザの取得
選考を通過した候補者には、就労ビザを取得する必要があります。
特定技能1号ビザを取得するためには、所定の手続きを踏み必要な書類を提出します。
ビザの取得には一定の時間がかかるため、早めに手続きを始めることが重要です。

STEP

入社後の研修とフォローアップ
外国人材が入社した後は、業務に必要な研修を実施し適切な指導を行います。
特に日本の職場文化や安全衛生については、入社前後にしっかりと教育を行うことが求められます。

まとめ

特定技能1号を活用することで、鉄道業界の労働力不足を解消することができます。
外国人労働者の採用には、技能試験や日本語能力・適切な契約内容・生活支援などが重要であり、企業としての準備が必要です。
採用担当者は、これらのポイントをしっかりと押さえ、外国人労働者が日本で安心して働ける環境を提供することが求められます。

当社の人材紹介サービスや支援サービスを活用することで、採用から業務の安定運営・外国人スタッフの定着までトータルでサポートいたします。求人依頼だけではなく、計画策定段階から気軽にご相談ください。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!