近年、日本の漁業分野は世界的にも重要な位置を占める産業であり、その発展には多くの要素が絡んでいます。
その一つとして、「特定技能」という制度があり、外国人労働者の活躍の場を提供しています。
特に漁業分野では、漁師の高齢化や人手不足が深刻な問題となっており、これを解決するために特定技能外国人労働者の導入が進んでいます。
本記事では、特定技能制度における漁業分野の仕事内容、求められるスキルや資格、外国人材を採用する際の流れ等詳しく解説します。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、2019年に日本政府が導入した新しい外国人労働者の受け入れ制度です。
この制度は、特定の分野において高度な技能を有する外国人を日本に呼び寄せ、労働力不足を補うことを目的としています。
特定技能は、以下の2つのカテゴリに分かれています。
熟練した技能を必要とする業務(例えば、自らの判断により専門的・技術的な業務を遂行できる、又は現場監督者等として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できるなど)に従事する外国人向けの在留資格で、在留期間に上限はなく要件を満たせば配偶者・子どもの帯同も認められます。
※特定技能外国人は、雇用契約を結んだ受入れ機関での雇用期間終了後に、別の受入れ機関と雇用契約を結び働くこと(転職)も可能です。
※特定技能1号では、1年、6月又は4月の在留期間が付与され、更新手続きが必要です。入国による出国期間も含まれます。
特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。
主な仕事内容は?
漁業分野において外国人材が従事できる業務内容は
特定技能1号:漁業及び養殖業全般
特定技能2号:漁業及び養殖業全般、操業又は養殖作業を管理する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理
上記について詳しく解説いたします。
業務区分【漁業】の業務内容
漁具の製作・補修、⽔産動植物の探索、漁具・漁労械の操作、⽔産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵・安全衛⽣の確保 などです。
業務区分【養殖業】の業務内容
養殖資材の製作・補修・管理、養殖⽔産動植物の育制、管理、養殖⽔産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保 などです。
特定技能は、漁労作業や養殖作業の技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格なので、漁業又は養殖業以外の業務に従事させることはできません。
ただし、漁業又は養殖業に従事する⽇本⼈が通常従事することとなる関連業務については、特定技能外国⼈でも付随的に従事することが認められています。
- 漁具・漁労機械の点検・換装
- 船体の補修・清掃
- ⿂倉、漁具保管庫、番屋の清掃
- 漁船への餌、氷、燃油、⾷材、⽇⽤品その他の操業・生活資材の仕込・積込
- 出漁に係る炊事・賄い
- 採捕した⽔産動植物の⽣簀における蓄養その他付随的な養殖
- ⾃家⽣産物の運搬・陳列・販売
- ⾃家⽣産物⼜は当該⽣産に伴う副産物を原料⼜は材料の一部として使⽤する製造・加⼯及び当該製造物・加⼯物の運搬・陳列・販売
- ⿂市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け
- 体験型漁業の際に乗客が⾏う⽔産動植物の採捕の補助
- 社内外における研修
などがあげられます。
- 漁具・漁労機械の点検・換装
- 船体の補修・清掃
- ⿂倉、漁具保管庫・番屋の清掃
- 漁船への餌、氷、燃油、⾷材、⽇⽤品その他の操業・生活資材の仕込・積込
- 養殖⽤の機械・設備・器⼯具等の清掃・消毒・管理・保守
- ⿃獣に対する駆除、追払、防護ネット・テグス張り等の養殖場における⾷害防⽌
- 養殖⽔産動植物の餌となる⽔産動植物や養殖⽤稚⿂の採捕その他付随的な漁業
- ⾃家⽣産物の運搬・陳列・販売
- ⾃家⽣産物⼜は当該⽣産に伴う副産物を原料⼜は材料の一部として使⽤する製造・加⼯及び当該製造物・加⼯物の陳列・販売
- ⿂市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け
- 体験型漁業の際に乗客が⾏う⽔産動植物の採捕の補助
- 社内外における研修
などがあげられます。
漁業の求められるスキルと資格
漁業分野で特定技能として働くためには、主に以下のような要件があります。
資格
【特定技能1号】
技能水準(資格)→「1号漁業技能測定試験(漁業) 」又は「 1号漁業技能測定試験(養殖業)
※技能実習2号を良好に修了した者は試験免除となります。
日本語能力→「国際交流基金日本語基礎テスト」又は、「日本語能力試験(N4以上)」
※日本語試験については職種を問わず技能実習2号を良好に修了している場合は試験免除となります。
【特定技能2号】
技能水準(資格)→「2号漁業技能測定試験(漁業) 」又は「2号漁業技能測定試験(養殖業) 」
日本語能力→「日本語能力試験(N3以上)」
実務経験→日本国内での管理者等としての漁業実務経験を2年以上
また、漁業分野において技術的な要素が多いため、基本的な漁業の知識や技術が必要です。漁具の使用方法や、漁場の特性、魚の種類に関する知識が求められます。
その他にも、長時間の作業や厳しい天候の中での作業が多いため、体力と持続力が重要です。
外国人材の受け入れにおける必要なことや注意点
漁業分野において、特定技能外国人の受入れ機関は、以下の基準を満たす必要があります。
①労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
②1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により、外国人の行方不明者を発生させていないこと
④欠格事由(5年以内に出入国・労働関係法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥特定技能外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧支援に要する費用を直接又は間接に特定技能外国人に負担させないこと
⑨労働者派遣の場合は、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫報酬を預貯金口座へ振込等により支払うこと
上記の条件を満たすことにより
これまでに技能実習生等の外国人材の受入れ経験がなくても、特定技能制度を利用して特定技能外国人を雇うことができます。
また、受入れ機関(漁業分野の事業者)が1号特定技能外国人を雇用する場合、下記10項目を含めた「支援計画」を事前に作成し、この計画に基づいて支援を行う必要があります。
①事前ガイダンス
労働条件・業務内容・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明
②出入国する際の送迎
空港から事務所・住居への送迎(入国時)
空港の保安検査場までの送迎・同行(帰国時)
③住居確保・生活に必要な契約支援
連帯保証人になる、社宅の提供等
銀行口座の開設、携帯電話やライフラインの契約等の補助
④生活オリエンテーション
生活のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
⑤公的手続等への同行
住居地の市役所等への社会保障・税関連の手続の同行、書類作成の補助
⑥日本語学習の機会の提供
日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
⑦相談・苦情への対応
職場や生活上の相談・苦情について、母国語での対応や必要な助言・指導等
⑧日本人との交流促進
地域住民の交流の場や行事の案内、参加の補助等
➈転職支援(※受入れ側の都合の場合)
転職先探しの補助や推薦状の作成、必要な行政手続き情報の提供、求職活動時の有給休暇の付与
⑩定期面談、行政機関への通報
支援責任者等による3か月に1回以上の面談、問題把握時の各種行政機関への通報
特定技能外国人への支援は、受入れ機関(漁業分野の事業者)自身で行うほか、「登録支援機関」に委託することもできます 。
登録機関とは、
受入れ機関(漁業分野の事業者)との支援委託契約により、受入れ機関が策定した支援計画に基づいて、外国人材への支援を行う者のことです。
外国人材採用の流れ
外国人材を漁業で採用する際の流れを、採用担当者としてしっかり把握しておくことが重要です。
採用計画の策定
まず最初に、自社の漁業に必要なスキルや人員数を把握し、どのような外国人材が必要かを明確にします。
具体的には、必要な技能や資格をもとにどの国からどの程度の技能を持った外国人材を採用するかを検討します。
求人募集
外国人材を対象に求人を行う際には、特定技能 漁業分野の求人広告を適切な媒体に掲載します。
または、外国人材の求職者情報を保持している職業紹介事業者などに依頼することもお勧めです。
求人情報には、仕事内容や求められるスキル・日本語能力の要件・待遇などを明確に記載することが大切です。
面接と選考
応募者が集まったら、面接を行います。面接では、業務に必要な基本的な技術やコミュニケーション能力・日本語能力を確認します。
場合によっては、実技試験や技能試験を実施することもあります。
就労ビザの取得
選考を通過した候補者には、就労ビザを取得する必要があります。
特定技能1号ビザを取得するためには、所定の手続きを踏み必要な書類を提出します。
ビザの取得には一定の時間がかかるため、早めに手続きを始めることが重要です。
入社後の研修とフォローアップ
外国人材が入社した後は、業務に必要な研修を実施し適切な指導を行います。
特に日本の職場文化や安全衛生については、入社前後にしっかりと教育を行うことが求められます。
まとめ
特定技能を活用することで、漁業業界の労働力不足を解消することができます。
外国人労働者の採用には、技能試験や日本語能力・適切な契約内容・生活支援などが重要であり、受け入れ側としての準備が必要です。
採用担当者は、これらのポイントをしっかりと押さえ、外国人労働者が日本で安心して働ける環境を提供することが求められます。
当社の人材紹介サービスや支援サービスを活用することで、採用から業務の安定運営・外国人スタッフの定着までトータルでサポートいたします。求人依頼だけではなく、計画策定段階から気軽にご相談ください。
相当程度の知識又は経験や技能を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格で、この資格での在留期間は1年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間が付与されます。在留期間は通算5年までで、配偶者や子の家族帯同は基本的に認められていません。5年間継続して雇用することも、繁忙期のみ通算5年間雇用することも可能です。