近年、日本の人手不足はますます深刻化しており、特定技能制度を活用した外国人材の採用が急増しています。その中でも、タイ人材への注目が高まりつつあります。理由は、技能実習での実績や日本との長年の友好関係、そして温厚で勤勉な国民性にあります。
さらに、タイ政府による日本語教育や職業訓練の支援体制も整備が進んでおり、企業が安心して採用しやすい環境が整いつつあります。
本記事では、そんなタイ人材の特定技能制度における現状と魅力、採用方法、活躍職種、そして注意すべき点までを徹底解説します。
目次
タイは特定技能制度に対応している?最新の制度状況を確認しよう
タイは2020年2月、日本政府との間で「特定技能に係る協力覚書(MOC)」を締結し、特定技能人材の送り出しが認められている国の一つです。このMOCの締結により、両国は人材の公正なマッチングや不適切な仲介の排除を協力して推進しています。

出典:出入国在留管理庁(資料一部加工)
近年、タイは経済成長が進んでおり、以前ほど出稼ぎ労働者は多くないですが、2025年現在、外食業・製造業・介護などの分野において、タイからの特定技能人材が徐々に増加しています。そのため技能実習からの移行者も含めて多くの企業が関心を寄せています。タイ国内では日本語教育機関の整備も進み、政府認定の送出し機関が一定の基準を満たした候補者を推薦する制度が確立されています。
また、日本側の登録支援機関との連携も進み、ビザ取得や入国後のサポートもスムーズになりつつあります。今後は分野ごとの受け入れ枠拡大が期待され、タイ人材の採用はますます現実的かつ戦略的な選択肢となるでしょう。
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タイ人材の特徴とは?雇用する前に知っておきたい文化・性格・スキル
タイ人の国民性は「温厚」「協調性がある」「親日的」であることが多くの現場で評価されています。日本との文化的共通点も多く、年長者を敬う姿勢や勤勉な労働観が、日本企業の価値観とマッチしやすいといわれています。
また、日本のアニメや食文化への関心から、日本語学習に熱心な若者も多く、JLPT N4・N3レベルの取得者も増加中です。技能評価試験と日本語試験の両方に合格する人材も年々増えており、職場でのコミュニケーションも比較的スムーズに行える傾向があります。
さらに、タイ人は手先が器用で、細かい作業を苦にしない性格から、製造業や食品加工業で高く評価されています。介護業界では、思いやりのある接し方やホスピタリティの高さが利用者から好評を得ています。企業がタイ人材の文化的背景を理解し、継続的にサポートすることで、定着率向上と現場力の強化が期待できます。
タイ人材の採用手続きの流れとポイント
タイからの特定技能人材を採用するには、日本企業側の入念な準備と適切なフローの理解が必要です。まず、対象となる職種の技能評価試験および日本語試験(JFT-BasicやJLPT N4)の合格者を、現地の送出し機関を通じて募集します。MOCに基づき、タイ政府が認定する送出し機関は、JITCOなど日本側の公的機関とも連携しており、信頼性の高い候補者の確保が可能です。
採用が決まった後は、在留資格認定証明書(COE)の申請、雇用契約書の作成、住宅や生活支援計画の策定などを行います。その後、ビザ申請や入国手続き、入社前オリエンテーションなどの準備を経て正式に就労開始となります。また、登録支援機関との連携により、来日後の生活支援(日本語教育、相談対応、行政手続きの補助)も制度上義務化されています。
こうした一連の手続きには、コンプライアンスを守りつつスピード感を持った対応が求められます。経験のある仲介業者や支援機関との連携が、スムーズな採用と早期戦力化の鍵となります。
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タイ人材の活躍が顕著な職種
タイ人材が活躍している代表的な分野には、工業製品製造業・外食業・介護分野があります。特に製造業では、技能実習で培った経験を活かし、特定技能に移行後も安定したパフォーマンスを発揮している事例が多数報告されています。
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介護分野では、タイ人材の優しさや思いやりが評価され、高齢者の心のケアや日常介助において高い満足度を得ています。外食業でも、接客時の笑顔やサービス精神が日本人顧客から好評で、リピーター増加に貢献したケースもあります。
さらに、特定技能2号の導入が一部分野で始まったことで、長期的に活躍できる道が拓かれつつあります。企業としては、適切な職場配置と成長機会を与えることで、人材定着と生産性向上の両立を図ることが可能です。
タイ人材の受入れでよくある課題とその対策方法
タイ人材の受け入れでよくある課題は、言語の壁・宗教・生活面での不安などが挙げられます。特定技能人材は一定の日本語能力を有していますが、現場では専門用語や日本独特の表現への対応が必要です。そのため、就業前後に日本語研修や現場ごとのマニュアル整備を行うことが有効です。
また、宗教(主に仏教)に基づく価値観の違いも理解しておく必要があります。タイの約95%の人々は上座部仏教を信仰しており、この宗教は彼らの生活や考え方に深く根付いています。たとえば、動物の屠殺を伴う業務を避けたいという希望がある場合もあるため、職種選定の段階での配慮が求められます。
さらに、仏教行事の期間には長期休暇を希望するケースもあるため、企業側はこうした文化的背景に柔軟に対応することが望ましいです。生活面では、外国での一人暮らしに対する不安や、文化的孤独感も課題です。これに対し、企業は寮の提供、メンター制度の導入、日本人社員との交流機会の創出などでサポートを行うことが推奨されます。
また、登録支援機関との連携で、行政手続きや生活相談の体制を整えることが、長期的な定着につながります。企業が「受け入れる側の責任」として取り組むことで、トラブルを防ぎ、信頼関係を構築することができます。
まとめ
タイは日本と特定技能の協定を結んでおり、製造業や介護、外食業などでの人材受け入れが拡大中です。日本文化への理解が深く、温厚で勤勉な国民性を持つタイ人は、現場での定着率も高い傾向にあります。
一方で、日本語や業務習得における支援は不可欠です。適切な採用手続きと受け入れ体制の構築により、企業にとって貴重な戦力となるでしょう。今後の人手不足対策として、タイ人材の採用は大きな可能性を秘めています。

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