特定技能を活用した外国人採用が進む中、どの国から人材を採用するかは企業にとって重要な決定事項です。国別の特徴や支援体制、定着率を理解し、適切な人材を選ぶことが採用成功のカギとなります。
本記事では、2025年最新のデータを基に、特定技能で採用可能な国籍の特徴と、企業が採用時に気を付けるべき選び方のポイントを詳しく解説します。今後の人材採用に役立つ情報をチェックして、戦略的な外国人採用を実現しましょう。
目次
特定技能で働ける国は何カ国?二国間協定の最新動向
特定技能制度において、日本は外国人労働者の円滑かつ適正な受け入れを目的として、特定の国々と「二国間協定(協力覚書)」を締結しています。
2025年3月時点で、日本が二国間協定を締結している国は以下の17ヶ国です。
●フィリピン
●カンボジア
●ミャンマー
●モンゴル
●ネパール
●インドネシア
●ベトナム
●タイ
●ウズベキスタン
●スリランカ
●インド
●バングラデシュ
これらの国々では、特定技能に関する試験の実施や送り出し手続きが整備されており、採用プロセスが比較的スムーズに進行します。
一方で、二国間協定を締結していない国からも、特定技能外国人を受け入れることは可能です。ただし、これらの国々では試験の実施体制や送り出し手続きが整っていない場合が多く、採用には慎重な対応が求められます。
なお、イランとトルコについては、強制退去命令の執行に協力しない国とされており、特定技能制度での受け入れは認められていません 。
企業が特定技能外国人を採用する際は、各国の制度や手続きの違いを十分に理解し、適切な対応を行うことが重要です。
どの国から人材を採用すべき?国別傾向と適性を分析
国籍ごとに特定技能人材の得意分野や業種適性には傾向があります。
◆ベトナム◆
技能実習制度の導入初期から多くの人材を日本に送り出しており、特定技能制度においても建設業や製造業での採用が多い傾向があります。
◆インドネシア◆
介護分野において特定技能の受け入れが進んでおり、特にEPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者の受け入れ実績があります。
◆ネパール◆
山岳地帯の多い国土に育まれた体力や辛抱強さを持つ人材が多く、建設業や農業、製造業での受け入れが進んでいます。また、日本語能力に対する意欲が高い傾向があり、学習熱心な人材も多く見られます。ネパール人は技能実習を経ずに直接特定技能で来日するケースも増えています。
採用前に知っておきたい「文化・暦・宗教」の違い
◆ベトナム◆
テト(旧正月)が最も重要な祝祭日であり、家族との再会や先祖への祈りが行われます。この期間は多くの企業が休業し、従業員も帰省するため、採用企業はテト前後の休暇希望に配慮することが求められます。
◆ミャンマー◆
仏教徒が多数を占め、月の満ち欠けに基づく暦が使用されています。仏教行事や満月祭が多く、特にティンジャン(水祭り)は新年を祝う重要な行事です。採用企業は、宗教行事や仏教的禁忌への理解を深めることが重要です。
◆インドネシア◆
世界最大のイスラム教徒人口を有し、ラマダン(断食月)やその後のレバラン(イド・アル=フィトル)が重要な祝祭日です。この期間中は日中の断食や礼拝が行われるため、勤務時間や業務内容の調整が必要となる場合があります。
◆フィリピン◆
国民の約80%がカトリック教徒であり、クリスマスや復活祭(イースター)が重要な祝祭日です。特にクリスマスは家族との時間を大切にする文化があり、年末の帰省や宗教的休暇への理解が求められます。
◆ネパール◆
ヒンドゥー教と仏教が共存しており、ダサインやティハールなど独自の祭日があります。これらの祭日は家族との団らんを重視する傾向があり、採用企業は従業員の休暇希望に柔軟に対応することが望まれます。
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送り出し機関と登録支援機関の役割&注意点
特定技能制度において、外国人材の受け入れを円滑に進めるためには、「送り出し機関」と「登録支援機関」の役割を理解することが重要です。
◆送り出し機関◆
外国人労働者を日本へ送り出す役割を担い、各国政府の認定を受けて活動しています。日本と二国間協定を締結している国々では、送り出し機関の制度が整備されており、政府による管理が行われています。
たとえば、ベトナムやミャンマーでは、多くの送り出し機関が存在し、機関ごとのサポート体制や運営方針に差があるため、信頼性の確認が重要です。
一方、フィリピンやインドネシアでは、政府が送り出し機関を厳格に管理しており、比較的安定した体制が整っています。
◆登録支援機関◆
特定技能外国人が日本での就労や生活に円滑に適応できるよう、支援計画の策定や実施を行います。日本国内で活動するこれらの機関は、出入国在留管理庁の登録を受けており、2025年3月31日現在、10,171件が登録されています。
登録支援機関の中には、特定の国籍の外国人材に特化した支援体制を持つところもあり、言語対応や文化的背景への理解が深い機関を選定することで、より効果的な支援が期待できます。
◆注意点◆
送り出し機関や登録支援機関を選定する際には、以下の点に留意することが重要です。
- 各機関の認定状況や実績を確認する
- 支援体制や提供サービスの内容を比較検討する
- 特定の国籍や業種に特化した経験やノウハウを持つかを確認する
これらの点を踏まえて適切な機関を選定することで、外国人材の受け入れを円滑に進めることができます。
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技能実習からの切り替えが多い国とは?定着率にも注目
特定技能制度において、技能実習からの移行者が全体の約80%を占めており、特にベトナム、インドネシア、ミャンマー出身者が多くを占めています。これらの国々からの人材は、技能実習期間中に日本の業務や生活に慣れているため、特定技能への移行後もスムーズで、定着率も良好です。
一方で、特定技能の資格を取得して直接来日する人材は、全体の20%未満にとどまっており、日本の生活や就労文化に不慣れな場合があるため、企業側による研修や初期サポートの充実が求められます。
採用戦略を立てる際には、候補者の移行元や在留資格の取得ルートを把握し、適切な支援体制を整えることが、定着率の向上や離職リスクの軽減につながります。
国別の最新在留人数と今後の採用見通し
2024年12月末時点での特定技能在留外国人数は、284,466人に達し、前年同期比で約36,000人の増加となりました。国別では、ベトナムが133,478人で全体の約47%を占め、引き続き最多となっています。次いで、インドネシアが53,538人、フィリピンが28,234人、ミャンマーが27,348人、中国が17,761人と続いています。

特筆すべきは、ミャンマーの増加率で、2024年6月末から12月末までの6ヶ月間で8,279人の増加となり、国別で第2位の伸びを示しています。
また、2024年の増加率を国別に見ると、ミャンマーが61.1%、インドネシアが39.5%、スリランカが33.7%となっており、これらの国々からの特定技能人材の増加が顕著です。
今後の採用戦略を立てる際には、これらの国々の人口動態、出国政策、日本との経済協力状況などを考慮し、長期的な視点で計画を練ることが重要です。
単年度のデータだけでなく、3年後・5年後の変化も見据えて、柔軟かつ持続可能な人材確保を目指すことが求められます。
参考/引用:「特定技能制度運用状況(令和6年12月末)」
まとめ
特定技能の採用では、「どの国から採用できるか」だけでなく、「どの国の人材が自社にマッチするか」「どの支援機関が信頼できるか」「今後の人材供給はどうなるか」といった複合的な視点が求められます。
採用成功の鍵は、国ごとの特徴をしっかり把握し、企業のニーズと現実的な人材状況をすり合わせることです。この記事をもとに、ぜひ貴社に最適な採用計画を立ててみてください。

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