2025年4月(令和7年4月)から、特定技能制度において「協力確認書」の運用が始まります。
この書類は、特定技能外国人を受け入れる企業や支援機関が、自治体と情報を共有し、地域全体で外国人材を支えるための新たな手続きです。
とはいえ、「誰が・いつ・どこに・どう提出するのか?」といった実務上の疑問は多く、人事担当者や支援機関の間でも混乱が予想されます。
本記事では、法務省の最新Q&Aをベースに、協力確認書の基本ルールから、提出のタイミング・再提出が必要なケース・特殊な事例対応まで、詳細かつわかりやすく解説します。
協力確認書の提出はいつから?
協力確認書の運用開始日は令和7年(2025年)4月1日です。この日以降、特定技能外国人を受け入れる際には、以下のタイミングで協力確認書を提出する必要があります。
■新規に受け入れる場合
初めて特定技能外国人を受け入れる企業では、
・外国人と特定技能雇用契約を締結した後
・在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前
に協力確認書を提出しなければなりません。
■すでに雇用している場合
すでに特定技能外国人を雇用している企業では、
・初めて在留資格変更申請または在留期間更新申請を行う前
に協力確認書を提出します。
重要なのは、「申請の前に」提出するという点です。申請書類と同時ではなく、事前に自治体との情報共有が済んでいることが前提となります。
また、同一の事業所に複数の特定技能外国人が在籍していて、それぞれが異なる地域に住んでいる場合は、それぞれの住居地を管轄する市区町村に対して個別に協力確認書を提出する必要があります。
提出先はどこ?市区町村ごとに異なる対応
協力確認書の提出先は、基本的に「特定技能外国人が活動する事業所の所在地」と「その住居地」が属する市区町村です。つまり、市区町村単位での提出が求められており、都道府県や出入国在留管理庁に対する提出義務はありません。
以下のようなケースでは複数提出が必要になります。
- 事業所と住居地が異なる市区町村にある場合:両方に提出。
- 派遣形態で複数の勤務地がある場合:各勤務地がある市区町村に提出。
- 特定技能外国人が月ごとに勤務地を変える場合(例:岐阜→長野→福井):各市区町村に提出。
また、東京23区のような特別区では、区ごとに協力確認書の提出が必要です。たとえば、C区からD区へ移動した場合、D区が新規であれば再提出が必要です。
一方、政令指定都市(例:横浜市・大阪市など)では市単位で提出となります。区が変わっただけであれば、同じ市内であれば再提出は不要です。
提出方法は自治体により異なり、郵送・持参・オンライン申請などの選択肢があります。具体的な受付窓口や様式は、各市区町村のホームページまたは担当課へ直接確認することが推奨されます。
誰が作成し、誰が提出できるのか?
協力確認書は、特定技能所属機関(外国人を雇用する企業)が協力の意思を示すための書類です。作成責任は企業側にありますが、実際の提出者は以下のいずれでも構いません。
- 所属機関の代表者(役員含む)
- 所属機関の社員・担当者
- 行政書士・弁護士などの専門家
- 登録支援機関の職員(委託を受けている場合)
原則として、提出者が代理人であっても委任状などの追加書類は不要です。ただし、各自治体が独自に求める場合もあるため、念のため確認しておくと安心です。
作成時の記載内容は以下の通りです。
- 特定技能外国人の氏名・国籍
- 所属機関と活動先の情報
- 登録支援機関の名称・支援責任者・連絡先
- 緊急連絡時の対応方法 など
これらは、自治体が地域内の外国人を支援する際に参照する重要な情報となります。
再提出が必要な変更とは?
協力確認書は、特定技能外国人の活動や所属機関に変更があった場合、再提出が必要となるケースがあります。
再提出が必要な主なパターンは以下の通りです。
- 所属機関の名称変更(法人設立、個人事業主から法人への移行など)
- 事業所の所在地が変更され、他の市区町村に移る場合
- 特定技能外国人の住居地が別の市区町村に移った場合
- 活動する場所が追加・変更され、別の自治体に跨る場合
逆に、以下のようなケースでは再提出は不要とされています。
- 特定技能外国人の転職・帰国・不許可決定があった場合
- 政令指定都市内での区変更(市内で完結している場合)
- 提出済みの自治体で新たな外国人が活動を開始する場合
このルールを正しく理解しておかないと、自治体との情報連携が途切れ、支援体制に支障をきたすおそれがあります。
具体例から学ぶ実務対応のポイント
実務上、提出要否が複雑になる事例も多くあります。以下のような具体例を参考に、自社のケースに置き換えて判断しましょう。
- 派遣で複数勤務地を持つ外国人:各勤務地が初めての場合、それぞれの市区町村に提出が必要。
- 外国人の入国前と後で活動地が変わる場合:入国前の申請時点での予定地に提出。入国後に変更になれば、新たな地域に再提出が必要。
- 外国人の住所が申請時と異なる市区町村になるケース:将来の住居地に提出(在留資格変更申請時)。
- 複数人が同じ市区町村にいる場合:すでに提出済みであれば追加提出は不要。
このように、一人ひとりの状況に応じて提出判断を行う必要があるため、申請準備時点から支援機関・行政書士と連携し、計画的に進めましょう。
まとめ
協力確認書は、令和7年4月から始まる新たな実務対応事項であり、自治体との情報共有と支援体制の構築を目的とした重要な書類です。提出タイミング、提出先、再提出の要否など、判断ポイントは多岐にわたります。
特に、活動先や居住地が変わる場合、派遣先が複数にまたがる場合などには、提出対象となる市区町村が増える可能性があります。間違いのない対応を行うには、都度、自治体のホームページ等で最新の運用状況を確認することが不可欠です。
実務を担う人事担当者は、登録支援機関や行政書士との連携を強化し、制度変更に柔軟に対応できる体制を整えておきましょう。
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