近年、日本の物流業界は急速に進化し、物流ニーズはますます多様化しています。
その中でも、特に自動車運送業における労働力不足は深刻な課題となっており、特にドライバー不足が問題視されています。
このような状況を解決するために、特定技能制度が重要な役割を果たしています。特定技能制度は、外国人労働者を積極的に受け入れ業界の労働力を補うための重要な手段となっています。
本記事では、特定技能制度における自動車運送業の分野の仕事内容、求められるスキルや資格、外国人材を採用する際の流れや注意点について詳しく解説します。
特定技能制度とは？
特定技能制度は、2019年に日本政府が導入した新しい外国人労働者の受け入れ制度です。
この制度は、特定の分野において高度な技能を有する外国人を日本に呼び寄せ、労働力不足を補うことを目的としています。
特定技能は、以下の2つのカテゴリに分かれています。
より高度な技能を持つ外国人を対象としたビザ。定住が可能で家族の帯同も認められますが、対象となる職種は限られています。
特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。
主な仕事内容は？
特定技能「自動車運送業」の外国人労働者は、主に以下の3つの業種に従事することができます。
事業用自動車（トラック）の運転、運転に付随する業務全般
事業用自動車（タクシー）の運転、運転に付随する業務全般
事業用自動車（バス）の 運転、運転に付随する業務全般
上記について詳しく解説いたします。
事業用自動車としてのトラックの運転業務は、物流業界の中心となる重要な仕事です。
トラック運転手は、貨物を運搬するために運転技術や業務知識、そして交通法規の理解が求められます。トラックの運転業務は、長距離や短距離、積み下ろしを含む様々なシチュエーションで行われます。
【仕事内容】
・貨物の運搬
→主要な業務は、貨物を指定された場所から目的地へ運搬することです。荷物には様々な種類があり、冷蔵品や危険物などを扱う場合もあります。
・積み込み・積み下ろし
→トラックに荷物を積み込む、または下ろす作業を行います。特に大型トラックを運転する際は、積載量やバランスを考慮し、安全に荷物を運搬できるように作業します。
・ルート確認
→運行ルートを確認し、効率的な輸送計画を立てます。これには、交通状況や配送先の確認、目的地までの距離や時間を考慮する必要があります。
・車両管理・点検
→車両の安全運転に必要な点検（タイヤの空気圧、オイルの確認、灯火類の点検など）や、清掃を行います。長時間の運転を行うため、車両が常に良好な状態であることが求められます。
・運行記録の管理
→運転時間、休憩時間、燃料の使用量、運行距離などを記録し、会社に報告します。この記録は運行管理や安全性を確保するために重要です。
タクシー運転手は、公共交通機関の一環として、乗客を目的地に安全に運ぶ仕事です。乗客の対応や運転技術はもちろん、接客能力や安全意識も重要なスキルです。
【仕事内容】
・乗客の送迎
→主要な業務は、タクシーを運転して乗客を目的地まで送迎することです。事前に予約を受けたり、タクシー乗り場で乗客を拾ったりします。
・料金の計算・支払い対応
→料金を計算し、乗客から料金を受け取る業務も含まれます。クレジットカードや電子マネーでの支払いに対応することもあります。
・道案内
→乗客に目的地までの道案内を行う場合があります。道を知らない場合は、ナビゲーションシステムを使って運転します。
・車両の維持管理
→タクシーの車両は、乗客を乗せるために常に清潔である必要があります。定期的な車両点検や清掃も運転手の責任となります。
・顧客対応
→乗客への礼儀正しい対応や接客も求められます。特に外国人観光客の場合、簡単な日本語や英語ができると便利です。
バス運転手は、一般的な都市バスや観光バス、長距離バスなど、公共の移動手段を提供する重要な役割を果たします。乗客の安全と快適な移動を確保するため、正確な運転技術と接客能力が求められます。
【仕事内容】
・乗客の送迎
→バス運転手は、定められたルートに従い、乗客を乗せて指定された停留所まで運びます。都市バスや観光バスの場合も、ルートや目的地は決まっているため、確実に運行する必要があります。
・運行のスケジュール管理
→バスの運行時間を守り、定刻に目的地に到着するように調整します。渋滞や交通状況に応じて、柔軟な対応をする必要があります。
・車両の点検と清掃
→バスは大人数の乗客を乗せるため、車両の状態管理が重要です。定期的な車両点検や清掃も行います。
・乗客への案内
→乗客に対して、停留所や目的地の案内を行います。観光バスの場合は、観光地についての情報提供やガイドも求められることがあります。
・料金収受と乗客対応
→バス運転手は、乗車料金の収受を行い、乗客の質問や要望に答える業務もあります。
自動車運送業の求められるスキルと資格
自動車運送業における特定技能1号の外国人労働者には、各業種における仕事内容により求められるスキル・資格についても異なります。
企業としては、外国人労働者を雇用する際、これらのスキルや資格を確認し業務に適した人材を採用することが重要です。
1、事業用自動車（トラック）の運転
【求められるスキル・資格】
普通自動車免許（大型免許が望ましい）: トラック運転には普通自動車免許が必要で、大型トラックの場合は大型自動車免許が必須です。
運行管理者資格: 運行管理のための資格が求められることがあります。
安全運転技術: 長距離運転が多いため、安全運転技術や危険物の取扱いに関する知識が必要です。
日本語能力: 国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験（Ｎ４以上）日本語の基本的な理解力が求められ、配送先でのやり取りやトラブル対応に必要です。
2、事業用自動車（タクシー）の運転
【求められるスキル・資格】
普通自動車免許: タクシーの運転には普通自動車免許が必要ですが、業務によっては二種免許（タクシー運転手として必要）を取得することが求められます。
地理・交通ルールの知識: 都市部や観光地での業務が多いため、道をよく知っていることが有利です。また、交通規則に従い、安全に運転できることが必要です。
接客技術: 乗客との円滑なコミュニケーションや丁寧な対応が求められます。
日本語能力: 日本語能力試験（Ｎ３以上）が必要です。特に、乗客の目的地や希望を理解し、コミュニケーションを取る能力が求められます。
3、事業用自動車（バス）の運転
【求められるスキル・資格】
普通自動車免許（二種免許が必要）: バス運転には、運転免許が必須で、特に二種免許が求められます。二種免許は、公共交通機関の運転手として必要な資格です。
ルート・地理知識: バスの運転には、ルートを正確に把握しておく必要があります。また、渋滞や事故などのトラブルに柔軟に対応できることが求められます。
接客スキル: 乗客に対する礼儀正しい対応や、乗客からの質問に対応する能力が必要です。
日本語能力: 日本語能力試験（Ｎ３以上）が求められます。特に、乗客とのコミュニケーションが重要です。
外国人材の受け入れにおける必要なこと
特定技能外国人を受け入れる企業も一定の条件を満たしている必要があります。
「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
によると、以下の通り記載されています。
①特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員になること。
②特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
③特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
④特定技能所属機関は、道路運送法第２条第２項に規定する自動車運送事業（貨物利用運送事業法第２条第８ 項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。）を経営する者であること。
⑤特定技能所属機関は、一般財団法人日本海事協会が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者又は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関 （貨物自動車運送事業法第 43 条に規定する全国貨物自動車運⑥送適正化事業実施機関をいう。）が認定する安全性優良事業所を有する者であること。
⑦タクシー運送業及びバス運送業における特定技能所属機関は、特定技能１号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。
⑧特定技能所属機関は、登録支援機関に１号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
また、外国人が働きやすい環境を整えることも重要になります。
下記のポイントを抑えておきましょう。
1、日本語教育のサポート
外国人労働者は、日本語に慣れていない場合があります。業務に必要な基本的な日本語スキルを教育する体制を整えておくことが重要です。特に、運転時や配送先での会話に困らないように、日本語教育のサポートを提供しましょう。
2、 文化や習慣の違いへの配慮
外国人労働者には、日本の運転習慣や交通ルール、ビジネスマナーに関する理解を促進する必要があります。日本の文化や習慣について教育を行い、スムーズな業務遂行ができるようにサポートしましょう。
3、 労働環境と労働時間の管理
ドライバー業務は長時間の運転が伴うため、適切な休憩時間を確保し、過労にならないように管理することが大切です。労働基準法に基づく労働時間の管理を徹底し、安心して働ける環境を提供することが重要です。
外国人材採用の流れ
外国人材を自動車運送業で採用する際の流れを、採用担当者としてしっかり把握しておくことが重要です。
採用計画の策定
まず最初に、自社の自動車運送業に必要なスキルや人員数を把握し、どのような外国人材が必要かを明確にします。
具体的には、必要な技能や資格をもとにどの国からどの程度の技能を持った外国人材を採用するかを検討します。
求人募集
外国人材を対象に求人を行う際には、特定技能 漁業分野の求人広告を適切な媒体に掲載します。または、外国人材の求職者情報を保持している職業紹介事業者などに依頼することもお勧めです。
求人情報には、仕事内容や求められるスキル・日本語能力の要件・待遇などを明確に記載することが大切です。
面接と選考
応募者が集まったら、面接を行います。面接では、自動車運送業に必要な基本的な技術やコミュニケーション能力・日本語能力を確認します。
場合によっては、実技試験や技能試験を実施することもあります。
就労ビザの取得
選考を通過した候補者には、就労ビザを取得する必要があります。
特定技能1号ビザを取得するためには、所定の手続きを踏み必要な書類を提出します。
ビザの取得には一定の時間がかかるため、早めに手続きを始めることが重要です。
入社後の研修とフォローアップ
外国人材が入社した後は、業務に必要な研修を実施し適切な指導を行います。
特に日本の職場文化や安全衛生については、入社前後にしっかりと教育を行うことが求められます。
まとめ
特定技能1号を活用することで、自動車運送業界の労働力不足を解消することができます。
外国人労働者の採用には、技能試験や日本語能力・適切な契約内容・生活支援などが重要であり、企業としての準備が必要です。
採用担当者は、これらのポイントをしっかりと押さえ、外国人労働者が日本で安心して働ける環境を提供することが求められます。
当社の人材紹介サービスや支援サービスを活用することで、採用から業務の安定運営・外国人スタッフの定着までトータルでサポートいたします。求人依頼だけではなく、計画策定段階から気軽にご相談ください。
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