特定技能制度における【介護】分野について概要から採用の流れまで徹底解説!

近年、日本の介護業界は深刻な人手不足に直面しています。
高齢化が進む中、介護職の需要はますます高まる一方で国内での労働力確保が難しくなっています。
そこで、外国人材の受け入れが急務となり特定技能制度がその一助となっています。
本記事では、特定技能の「介護分野」に焦点を当て企業側がどのように外国人材を採用し活用していくべきかについて解説します。

特定技能制度とは?

特定技能制度は、日本国内で外国人労働者を受け入れるための在留資格であり2019年4月に施行されました。
この制度は、日本の労働力不足を解消するため特定の技能を有する外国人を対象にしており、14の業種から16の業種に拡大されました。介護分野はその中でも重要な分野の一つです。

特定技能には、主に以下の2種類があります。

特定技能1号

基礎的な技能と日本語能力を持つ外国人を対象としたビザ。最大5年間の滞在が可能です。

特定技能2号

より高度な技能を持つ外国人を対象としたビザ。定住が可能で家族の帯同も認められますが、対象となる職種は限られています。

介護分野は主に特定技能1号に該当します。

特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。

主な仕事内容は?

介護職の仕事は、介護施設や在宅介護の現場で行われ利用者の生活を支える非常に重要な役割を担います。
特定技能1号で働く外国人介護職員の主な業務は以下の通りです。

身体介護業務

身体介護は、日常生活を送る中で自力での動作が困難な高齢者や障害者に対して、身体的なサポートを提供する重要な業務です。
これには、以下のような具体的な業務が含まれます。

食事介助

食事介助は、食事の準備や摂取をサポートする業務です。食事に関するサポート内容は多岐にわたります。
食事の準備
→利用者が食べやすいように、食事の切り分けや温め直しを行います。嚥下(えんげ)障害のある利用者には、特別な食事形態(ペースト食やとろみをつけた食事など)を提供することがあります。
食事の摂取支援
→食事を口に運ぶ手助けや、飲み込みが難しい利用者への支援を行います。食事中は、誤嚥を防ぐために慎重な配慮が必要です。
食事後の片付け
→食事が終わった後の食器の片付けや、利用者の口腔ケア(歯磨きや口の中をすすぐなど)も重要な業務に含まれます。

排泄介助

排泄介助は、排尿や排便が困難な利用者に対して提供する支援です。
トイレの移動サポート
→利用者が自力でトイレに行けない場合、車椅子や歩行器を使用してトイレまでの移動を補助します。
おむつの交換
→自力で排泄ができない利用者に対して、おむつを交換する業務が含まれます。適切なタイミングでおむつ交換を行い、清潔に保つことが求められます。
排泄後の清拭: 使い捨てのウエットティッシュやおしぼりを使って、利用者の皮膚を清潔に保ち、感染症の予防をします。

移動介助

移動介助は、身体が不自由な利用者が移動する際のサポートを提供する業務です。
ベッドから車椅子への移動: 起き上がるのが困難な利用者を、ベッドから車椅子に移動させる手助けを行います。
施設内の移動サポート
→施設内での歩行や、トイレ、食事場所などへの移動をサポートします。歩行補助器具(歩行器や杖)を使用する際の支援も含まれます。
転倒防止
→移動中に転倒しないよう、手を貸して支えたり、足元に注意を払うことが求められます。

生活支援業務

生活支援業務は、利用者の日常生活全般をサポートする業務であり身体介護とは異なる形での支援が求められます。
これには以下のような業務が含まれます。

掃除・洗濯・家事支援

介護施設では、清潔で快適な生活環境を維持するため、掃除や洗濯などの日常的な家事支援が求められます。
施設内の掃除
→共用スペースや利用者の個室、トイレや浴室などの掃除を行います。
洗濯
→利用者の衣服や寝具、タオルなどの洗濯、乾燥、畳み作業が含まれます。
整理整頓
→利用者の部屋を清潔に保つために、物品の整理整頓を行います。

買い物支援

高齢者や障害者が一人で買い物に行くのが難しい場合、買い物を手伝う業務です。
買い物リストの確認
→必要な物品をリストアップし、買い物に出かける前に確認します。
代行サービス
→車椅子を使ってスーパーに買い物に行くサポートや、オンラインショッピングのサポートを行います。
商品受け取りと整理
→購入した商品を受け取り、利用者の部屋に届けて整理します。

レクリエーション・活動支援

介護施設では、利用者が楽しみながら過ごせるようにレクリエーション活動を提供することが大切です。
趣味活動のサポート
→利用者が好きな趣味(手芸や絵画、音楽など)の活動を支援します。
外出支援
→天気が良い日に散歩を一緒にしたり、施設外に出かけるサポートを行うことがあります。
ゲームやイベント
→季節に応じたイベントや、楽しみながら参加できるゲームや体操のサポートを行います。

施設運営サポート業務

介護職の中では、利用者に直接介護を提供するだけでなく、施設の運営や管理をサポートする業務も求められます。

介護記録の作成

介護業務の一環として、日々の介護内容や利用者の状態を記録することが求められます。これにより、他のスタッフとの連携や、利用者のケアの質を確保します。
日報の作成
→利用者の体調や行動、食事や排泄の様子など、日々の介護内容を詳細に記録します。
異常の報告
→利用者に異常があった場合(体調不良や事故など)、その内容を記録し、必要に応じて上司や医師に報告します。

物品管理

介護施設内で使用する備品や消耗品の管理を行います。
備品の管理
→介護用具や清掃用具、日常生活に必要な物品(タオルやシーツなど)の在庫管理や補充を行います。
消耗品の発注
→必要に応じて、消耗品を発注し、施設内での管理を行います。

ただし、訪問系サービスについては、対象外とされていますので、注意が必要です。

介護分野における特定技能1号の要件について

介護分野で特定技能1号を取得するためには、外国人労働者にはいくつかの要件が求められます。
これらは、上記にあるように外国人介護職員が日本で安定して業務を行い、さらに質の高い介護サービスを維持するために設けられています。

1 介護の日本語能力
特定技能1号を取得するためには、介護に関する日本語能力が一定以上であることが求められます。
具体的には、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または介護日本語能力評価試験に合格することが条件となっています。
これにより外国人介護職員は、利用者との円滑なコミュニケーションが可能となり安全かつ質の高いサービスを提供できます。

2 介護の基本的な技能と知識
介護分野においては、介護福祉士などの資格がなくても一定の技能と知識を有することが求められます。
日本での介護職としての基礎的な実務経験や技能試験に合格することが要件となります。
この試験は、実際の介護現場での業務能力を証明するもので介護職として活躍するための基盤となります。
また、介護実務経験がある場合は、その実績も評価の対象となります。

3 雇用条件の認定
企業が外国人を特定技能1号として雇用するためには、まず「特定技能制度」に基づいた受け入れ体制を整備する必要があります。
具体的には、外国人労働者が適切に働ける環境を提供するための教育・研修体制、適切な労働条件(給与、労働時間、福利厚生など)が整っていることが求められます。

外国人材採用の流れ

外国人材を介護分野で採用する際の流れを、採用担当者としてしっかり把握しておくことが重要です。

STEP

外国人材の募集と面接
まず募集を行い面接を通じて適切な人材を選定します。
この際、日本語の能力や介護の経験・意欲などをチェックすることが重要です。
外国人材の場合、面接に通訳を使うこともありますので事前にその点を確認しておきましょう

STEP

日本語能力や介護技能の確認
採用候補者が日本語能力試験や介護技能試験を通過しているか、またはそれに相当する実務経験があるかを確認します。
特定技能の要件を満たすためには、この確認が非常に重要です。

STEP

在留資格の申請
適切な外国人材が決定したら、次に在留資格(特定技能1号)の申請を行います。
この申請は、外国人材が日本で合法的に働けるようにするために不可欠な手続きです。
申請には、企業が責任を持って必要書類を揃える必要があります。

STEP

研修と就業開始
在留資格が認定された後、外国人介護職員は日本での研修を受けることが多いです。
日本の介護現場の特有の文化やルール・必要な技術を学ぶことで、即戦力として活躍できるようになります。
その後、正式に業務が開始されます。

外国人介護職員の活用方法

外国人介護職員を採用する際、ただ単に人数を確保するのではなくいかにして長期的に安定して働いてもらえる環境を作るかが重要となります。
企業側は下記のような取り組みが必要となります。

キャリアパスの提供
外国人介護職員には日本でのキャリアアップを目指す人も多いため、昇進の機会や研修の提供を行うことが重要です。
また、介護福祉士の資格取得を支援するプログラムを設けることも、外国人職員の定着率を高める一因となります。

多文化共生の職場環境作り
言葉や文化が異なるため、外国人介護職員が職場に馴染むためのサポートが必要です。
例えば、定期的な日本語のレッスンや文化理解のための研修を提供することが職場の団結力を高め、円滑なコミュニケーションを促進します。

メンタルサポートの提供
外国人職員が日本で生活する上で、文化的なギャップや孤独感を感じることがあります。
企業側でメンタルヘルスサポートを提供したり、相談窓口を設けることで彼らが安心して働ける環境を整えましょう。

まとめ

特定技能を活用した外国人材の採用は、介護業界の人手不足解消に大きな力を発揮する可能性があります。
しかし、外国人職員を採用するには採用後のフォロー体制や適切なサポートが不可欠です。
企業側としては、外国人職員が日本の介護現場にスムーズに適応し、長期的に活躍できるような環境を提供することが求められます。特定技能制度を活用し、外国人介護職員と共により良い介護サービスの提供を目指していきましょう。
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外国人材を積極的に活用し次のステージへと進むために、ぜひ当社のサービスをお試しください。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!