外国人材を紹介企業に依頼する前に知るべき「自己申告書」の役割とは

外国人採用。自己申告書はいつ・だれが・どのように出すの?

外国人材の採用を進めるにあたり、職業紹介会社に紹介を依頼する企業も増えています。
しかし、その際に「自己申告書」の提出を求められることをご存じでしょうか。この自己申告書は、紹介を受ける企業側が適切な労働環境や法令遵守の体制を整えていることを、紹介会社に示すための重要な書類です。
この記事では、自己申告書とは何か、なぜ必要なのか、記載内容や提出のタイミング、注意点までをわかりやすく解説します。初めて外国人材の紹介を受ける企業の人事担当者にとって、事前に知っておくことで安心して外国人材の受け入れが開始できます。

自己申告書とは何か?

外国人材を紹介会社から受け入れる際、企業側に求められるのが「自己申告書」です。これは、企業が労働関係法令を順守しているかどうか、適切な職場環境を整えているかといった内容を申告する書類です。厚生労働省のガイドラインに基づき、多くの職業紹介事業者では、紹介先企業からの自己申告書の取得を義務化しています。

この書類は、人材紹介会社が企業の適格性を確認するために使われ、労働者保護の観点からも重要な役割を果たします。特に外国人労働者は、日本の労働慣行や法制度に不慣れなことも多いため、受け入れ企業に対して高いコンプライアンスが求められています。

したがって、自己申告書の提出は単なる形式的な手続きではなく、紹介会社との信頼関係を築く第一歩となるのです。

なぜ自己申告書の提出が求められるのか

自己申告書の提出が求められる背景には、労働者の保護と職業紹介事業者の適正な運営という2つの観点があります。

職業紹介事業者は、職業安定法に基づき「適切な労働条件の確保」や「労働者の保護」に努める義務があります。もし受け入れ企業が労働基準法などに違反していると、紹介された労働者に不利益が及ぶだけでなく、紹介会社自体の責任も問われかねません。

そのため、紹介会社は事前に企業の労働条件や社内制度が適切かどうかを確認する必要があります。その手段の一つが、企業側による「自己申告書」の提出です。内容には、労働時間管理や賃金支払い体制、社会保険加入状況などが含まれます。

つまり、自己申告書は紹介会社にとってのリスクヘッジであり、同時に受け入れ企業にとっても、自社の体制を見直す良い機会となります。

自己申告書の記載内容と準備方法

自己申告書のフォーマットは紹介会社ごとに若干異なる場合がありますが、一般的には以下のような内容が求められます。

  • 雇用主の基本情報(会社名、所在地、代表者名など)
  • 雇用形態、契約期間、就業場所などの労働条件
  • 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの遵守状況
  • 社会保険・労働保険の加入状況
  • ハラスメント防止措置の有無
  • 外国人材受け入れ体制(日本語教育の有無、相談窓口の設置など)

これらは、社内の労務管理や人事担当者が中心となって、正確に記載する必要があります。虚偽の記載があった場合、紹介会社からの信頼を失い、紹介そのものが断られる可能性もあるため注意が必要です。

また、あらかじめ労働条件通知書や就業規則、社会保険加入証明などを手元に用意しておくと、記入がスムーズに進みます。

提出のタイミングと提出先は?

自己申告書は、原則として「紹介依頼を正式に行う前」に提出が求められます。つまり、「外国人材を紹介してほしい」と紹介会社に依頼する時点で、すでに提出できる状態になっている必要があります。

提出先は、外国人材を紹介する職業紹介会社です。書類の提出方法は、紙での郵送、PDFなどの電子データのメール送付、もしくは紹介会社が提供するオンラインフォームへの入力など、各社の運用により異なります。

提出前に、紹介会社からフォーマットの指定がある場合が多いため、事前に確認しておくことが重要です。企業によっては「一度提出すれば有効期間1年」として再提出を求められないケースもありますが、労働条件などに変更があった場合には、速やかに再提出が必要です。

受け入れ企業が注意すべきポイント

記載内容は事実に基づくこと
虚偽の申告は後々のトラブルにつながる可能性があります。労務監査の対象となることもあるため、事実に基づいて正確に記入することが基本です。

社内での事前確認を徹底すること
提出前には、人事部門・労務管理担当者・経営層といった関係者間で内容を共有・確認しましょう。特に外国人材のサポート体制に関する記載内容は、具体性が求められます。

関連書類の整備を忘れずに
自己申告書に記載した内容を裏付ける就業規則や労働条件通知書なども整備しておくことで、紹介会社とのやり取りがスムーズになります。

定期的な見直し
法改正や社内制度の変更に伴い、記載内容も更新が必要です。更新のタイミングを社内で管理しておくと安心です。

まとめ

外国人材の紹介を受ける際に求められる「自己申告書」は、紹介会社と企業との信頼関係を築くうえで非常に重要な書類です。労働法令の遵守状況や労働条件、外国人受け入れ体制などを企業自らが申告することで、紹介会社は安心してマッチングを進めることができます。形式的に済ませるのではなく、社内体制を振り返る機会として捉え、正確かつ誠実に作成することが求められます。提出のタイミングや方法についても紹介会社と事前に確認し、スムーズな手続きにつなげましょう。これにより、外国人材を安心して迎え入れる準備が整い、採用活動の成功にもつながります。

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自己申告書フォーマット
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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!