まず、外国人材を採用した企業の多くが課題として挙げるのが、「定着支援」です。
せっかく採用できても、「日本での生活に不安を感じている」、「行政手続きが分からない」、「会社以外に相談先がない」といった理由から、早期離職につながるケースは少なくありません。
その一方で、企業側も「どこまでサポートすればいいのか分からない」、「生活面の相談に十分対応できない」、「外国人社員向けの説明資料がない」と悩むことがあります。
そんなときにぜひ活用したいのが、出入国在留管理庁(入管庁)が公開している「生活・就労ガイドブック」です。
このガイドブックは外国人向けに作成された資料ですが、実は外国人を受け入れる企業担当者や、日本人社員にとっても非常に参考になる内容がまとめられています。
本記事では、生活・就労ガイドブックの概要や掲載内容、企業が活用するメリットについて詳しく解説します。
目次
生活・就労ガイドブックとは?
生活・就労ガイドブックは、外国人が日本で安心して生活し、働くために必要な情報をまとめた公的資料です。
出入国在留管理庁が作成・公開しており、日本で暮らす外国人が知っておくべき制度やルールについて、分かりやすく解説されています。
対象となるのは、
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定技能
- 技能実習修了後の就労者
- 留学生
- 永住者
- 定住者
- 家族滞在者
など、幅広い在留資格を持つ外国人です。
特に特定技能制度の普及に伴い、「生活オリエンテーション」の補足資料として活用する企業も増えています。
20言語以上に対応している
生活・就労ガイドブックの大きな特徴の一つが、多言語対応です。
現在公開されている主な言語は以下のとおりです。
- 日本語
- やさしい日本語
- 英語
- 中国語
- 韓国語
- ベトナム語
- インドネシア語
- ミャンマー語
- ネパール語
- タイ語
- フィリピン語
- クメール語
- モンゴル語
- ポルトガル語
- スペイン語
- フランス語
- ロシア語
- ウクライナ語
- ヒンディー語
- トルコ語
など。外国人社員の母国語に合わせて配布できるため、企業が独自に翻訳資料を作成する手間を減らせます。
ガイドブックにはどんなことが書かれている?
「生活・就労ガイドブック」は単なる生活マナー集ではありません。
日本で生活し働くうえで必要となる情報が体系的にまとめられています。
ここでは主な内容を紹介します。
在留手続に関すること
外国人が最初に理解しておくべき内容として、
- 在留カード
- 住居地の届出
- 在留期間更新
- 在留資格変更
- 再入国許可
などの制度が説明されています。
企業側も在留資格管理を行う上で理解しておきたい内容です。
住まいに関すること
外国人にとって住宅契約は大きなハードルです。
ガイドブックでは、
- 賃貸住宅の探し方
- 契約時の注意点
- 敷金や礼金
- 引越し手続き
- ごみ出しルール
などが解説されています。
企業担当者が住宅支援を行う際にも参考になります。
社会保険・年金制度
日本の社会保険制度は外国人にとって非常に分かりにくい分野です。
ガイドブックでは、
- 健康保険
- 厚生年金
- 国民年金
- 労災保険
- 雇用保険
について説明されています。
「給与から何が引かれているのか分からない」という外国人社員からの質問対応にも役立ちます。
税金に関すること
外国人スタッフからよく相談されるテーマが税金です。
ガイドブックでは、
- 所得税
- 住民税
- 確定申告
- 納税義務
などが紹介されています。
企業担当者が制度説明を行う際の補助資料として活用できます。
医療制度と病院の利用方法
日本で病気やけがをした場合の対応についても詳しく説明されています。
例えば、
- 病院の利用方法
- 救急車の呼び方
- 医療保険制度
- 妊娠・出産支援
などです。
外国人社員が安心して生活するためには欠かせない情報です。
子育て・教育制度
家族帯同で来日している外国人にとって重要なテーマです。
ガイドブックには、
- 保育園
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 高校進学
など、日本の教育制度についても掲載されています。
日本で働く際のルール
企業にとって特に重要なのがこの章です。
主な内容として、
- 労働契約
- 労働時間
- 残業
- 有給休暇
- 最低賃金
- 解雇に関するルール
- ハラスメント
などが紹介されています。
外国人社員が働くうえで知っておくべき権利と義務が整理されているため、入社時説明にも活用できます。
災害への備え
日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。
ガイドブックでは、
- 地震発生時の対応
- 避難場所
- 防災アプリ
- 災害情報の取得方法
なども解説されています。
外国人社員の安全確保の観点からも重要な内容です。
外国人だけでなく日本人社員にも共有したい理由
生活・就労ガイドブックは外国人向け資料ですが、日本人社員にも共有する価値があります。
なぜなら、外国人社員がどのような制度や環境の中で生活しているのかを理解できるからです。
例えば、
- 在留資格による制限
- 行政手続きの複雑さ
- 母国との制度の違い
- 文化的な背景
を理解することで、職場でのコミュニケーションも円滑になります。
外国人社員だけに資料を渡して終わりではなく、受入れ側の社員も一緒に内容を確認することで、より働きやすい職場づくりにつながります。
定着支援のために企業ができる活用方法
企業では次のような形で活用できます。
◆入社時オリエンテーション
→入社後の説明資料として配布する。
◆社宅・住宅支援時
→住居関連のページを案内する。
◆生活相談対応
→社員から相談があった際に該当ページを紹介する。
◆社内研修
→外国人受入れ担当者や現場責任者向け研修資料として活用する。
◆日本人社員向け教育
→外国人材理解を深めるための教材として活用する。
公的機関が作成した資料であるため、情報の信頼性が高い点も大きなメリットです。
また、公的資料と聞くと『勝手に印刷して配っても大丈夫?』と心配になるかもしれませんが、入管庁のHPでは商用利用を含めた自由な利用・印刷が認められています。社内で製本して入社時に手渡すことも可能です。
まとめ
出入国在留管理庁が公開している「生活・就労ガイドブック」は、外国人が日本で安心して暮らし、働くために必要な情報をまとめた公的資料です。
在留資格、住居、社会保険、税金、医療、教育、労働法令、防災など幅広い内容が掲載されており、20言語以上で利用できます。
外国人社員向けの資料として活用できることはもちろん、受入れ企業の担当者や日本人社員が外国人材への理解を深めるためにも非常に有効です。
外国人材の定着には、「採用すること」だけでなく、「安心して働き続けられる環境を整えること」が欠かせません。
Link Asiaでは、外国人採用や特定技能人材の受入れ支援だけでなく、入社後の定着支援や生活支援に関するご相談にも対応しています。
外国人雇用を進める中で、「どのようなサポートが必要なのか分からない」「定着率を高めたい」という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。公的資料も活用しながら、外国人材が長く活躍できる環境づくりをサポートいたします。
参考サイト



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