在留資格「特定技能」は、人手不足分野で即戦力となる外国人材を受け入れる制度として、多くの企業で活用が進んでいます。一方で、制度運用において見落とされがちなのが「通算在留期限」の考え方です。
特定技能1号には「通算5年」という明確な上限が設けられており、この期限を超えて在留することはできません。特定技能は転職が可能な在留資格であるため、在留歴や職歴を正確に把握していないと、知らないうちに期限超過となるリスクがあります。
本記事では、特定技能の通算期限の仕組み、転職との関係、企業が必ず確認すべき実務ポイントについて、制度の基本からわかりやすく解説します。
目次
特定技能1号の通算期限は「5年」が上限
特定技能1号の在留期間は、通算で最大5年と定められています。
この「通算5年」という考え方は、在留期間の“更新回数”や“雇用先の数”とは関係なく適用されます。
たとえば、6か月更新を10回行った場合でも、1年更新を5回行った場合でも、在留期間の合計が5年に達した時点で特定技能1号としての在留は終了となります。
また、分野が同じであれば転職回数に制限はありませんが、転職を挟んでも通算期間は引き継がれるため、「転職したから在留年数がリセットされる」という考え方は誤りです。
この点を正しく理解していないと、更新申請の直前になって初めて通算超過に気づくケースもあります。
ここでいう「通算」とは、同一の会社での在留期間に限らず、「特定技能1号」の在留資格を持って在留していた期間すべてを合算したものを指します。
たとえば、
- A社で特定技能1号として2年就労
- その後B社に転職し、さらに3年就労
この場合、通算5年となり、これ以上特定技能1号として在留することはできません。
在留期間は1年、6か月、4か月など複数回の更新を重ねる形になりますが、更新回数に関係なく、合計年数で管理される点が重要です。
転職可能な在留資格だからこそ「通算管理」が重要
特定技能の大きな特徴の一つが、同一分野内であれば転職が可能である点です。
これは外国人本人にとっては働き方の選択肢が広がるメリットがありますが、受入企業側にとっては注意すべきポイントでもあります。
転職を挟んだ場合でも、通算在留期間はリセットされません。
実務上は、前職の在留期間を正確に把握できていないまま採用が進んでしまうケースも少なくありません。
特に、人材紹介や知人経由での採用では、「いつから特定技能で働いていたのか」が口頭説明のみで済まされてしまうことがあります。
しかし、在留資格の更新審査では、過去の在留履歴がすべて確認されます。
企業側が意図せず通算期限超過状態で雇用していた場合でも、更新不許可となるリスクは本人だけでなく、受入企業にも影響を及ぼします。
そのため、転職者を受け入れる際ほど、通算管理を厳格に行う必要があります。
前職での在留期間は、次の会社での在留審査にも引き継がれます。
そのため、
- 「前の会社でどれくらい働いていたか」
- 「特定技能としていつ在留を開始したのか」
といった情報を正確に把握していないと、雇用後まもなく在留期限に達してしまうといった事態が起こり得ます。
「本人申告だけ」はNG|企業が確認すべき理由
実務上、特に注意が必要なのが、本人の申告だけを信用してしまうケースです。
外国人本人が
「まだ5年には達していません」
「前の会社では短期間しか働いていません」
と説明していたとしても、実際には在留期間を通算すると上限に近づいている、あるいは超過しているという事例も現実に存在します。
万が一、通算期限を超えているにもかかわらず雇用を継続した場合、
- 在留資格更新が不許可になる
- 企業側の管理責任が問われる
- 雇用計画の見直しを迫られる
といったリスクが生じます。
そのため、本人申告のみで判断するのはNGであり、客観的な書類に基づく確認が不可欠です。
通算期限を確認するための具体的なチェック方法
企業が特定技能人材を受け入れる際には、次の点を必ず確認しましょう。
- 在留カードに記載された在留資格・在留期間
- 過去の在留カードの写し(更新履歴)
- 在留資格変更許可書、更新許可書
- 職務経歴書(特定技能としての就労期間)
特に注意したいのは、在留カードの「交付日」や「在留期間満了日」だけを見て判断してしまうことです。在留カード1枚では、過去にどれだけ特定技能として在留していたかを正確に把握することはできません。
- 特に技能実習から切り替えた際、間に「特定活動(就職活動や移行準備)」を挟んでいないか?その期間もカウント対象になっていないか?
- 長期間の一時帰国歴がないか?(カウントに含まれることを認識しているか)
- 逆に、産休・育休などの「除外できる期間」がないか?
過去の在留カードや許可書がそろっていない場合は、本人に確認するだけでなく、必要に応じて専門家を通じて在留履歴を整理することも検討すべきです。
採用後に問題が発覚するよりも、採用前に確認する方が企業・本人双方のリスクを最小限に抑えられます。
特に重要なのは、「いつから特定技能1号として在留しているか」です。
技能実習から特定技能へ移行した場合、その移行日が通算計算の起点になります。
また、複数回転職しているケースでは、本人も正確な通算年数を把握していないことがあるため、企業側での整理・確認が欠かせません。
通算5年に近づいた場合の選択肢
特定技能1号の通算期間が5年に近づいた場合、企業と本人は早めに次の選択肢を検討する必要があります。
- 特定技能2号への移行(対象分野に限る)
- 帰国を前提とした就労終了
- 他の在留資格への変更が可能かの検討
特定技能2号へ移行できれば、在留期間の更新が可能となり、家族帯同も認められますが、分野や要件が限定されているため、誰でも移行できるわけではありません。
そのため、通算期限が迫ってから対応するのではなく、早い段階で中長期的な在留設計を考えることが重要です。
もし過去に産休・育休や長期療養の期間があれば、その分を『通算期間』から除外申請することで、在留期限を延長できる可能性があります。事前に確認しましょう。
まとめ
特定技能1号は、通算5年という明確な上限がある在留資格です。
転職が可能であるがゆえに、在留期間の管理が曖昧になりやすく、「知らないうちに超過していた」という事態は決して珍しくありません。
企業としては、
- 本人申告だけに頼らない
- 書類で在留歴・職歴を確認する
- 通算期限を踏まえた雇用計画を立てる
といった基本的な対応を徹底することが求められます。
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特定技能の受け入れや管理に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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