ミャンマー人に対する特定活動の最新動向|審査厳格化で「働けなくなる」リスクを解説

近年、日本で就労・生活するミャンマー人を取り巻く在留制度は大きく変化しています。
とくに注目されているのが、技能実習から「特定活動」への在留資格変更に関する取扱いの見直しです。

出入国在留管理庁は、ミャンマー国内の情勢を踏まえた緊急的な在留措置を継続する一方で、制度の趣旨から逸脱した利用が見られることを背景に、2024年10月以降、特定活動への切替審査の運用を整理・厳格化しました。

本記事では、ミャンマー人に対する特定活動の位置づけと最新の取扱い、そして受入企業が押さえておくべき実務上の注意点を整理します。

ミャンマー人に対する特定活動が設けられた背景

ミャンマー人に対して「特定活動」の在留資格が活用されてきた背景には、日本の在留資格制度が通常時と例外的状況を分けて運用する仕組みを持っている点があります。

日本の在留資格制度は本来、
あらかじめ定められた活動内容に基づき、安定的に滞在・就労すること
を前提に設計されています。技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務などは、この原則に基づく在留資格です。

一方で、

  • 本国情勢の急変
  • 帰国が現実的に困難な事情
  • 国際的な人道配慮が必要なケース

といった状況が生じた場合、既存の在留資格だけでは対応できない場面が発生します。

ミャンマーでは、2021年2月の軍事クーデター以降、政情不安が長期化しています。これを受け、日本政府は人道的観点から、帰国が困難なミャンマー人に対して緊急避難的な在留措置を講じてきました。その際に活用されてきたのが「特定活動」という在留資格です。

特定活動は、法務大臣が個別に活動内容を指定する在留資格であり、
恒久的な就労資格ではなく、あくまで例外的・一時的な滞在を認める枠組みとして位置づけられています。

したがって、ミャンマー人に対する特定活動も、
「長期的な労働力確保」や「技能実習制度の代替」を目的としたものではなく、
情勢が安定するまでの間、限定的に在留と就労を認める措置として運用されてきました。

従来の運用と問題視されてきた点

これまで、ミャンマー人技能実習生の間では、「特定活動へ切り替えれば日本で働き続けられる」といった認識が広がっていた側面があります。

実際の運用では、特定活動には主に次の類型が存在します。

  • 6か月・週28時間以内の就労可
  • 在留状況や経過を踏まえた個別判断による1年・就労可

ただし、後者の「1年・就労可」は、すべての申請者に一律で認められるものではなく、個別事情に基づく判断である点が重要です。

しかし実務上は、

  • 技能実習を修了せずに特定活動へ切り替えるケース
  • 都市部の飲食・小売等への就労集中
  • 仲介的関与を通じた制度利用

といった事例が指摘され、制度趣旨との乖離が問題視されてきました。

また、受入企業側でも、技能実習や特定技能と比べて定期報告義務や管理負担が軽いことから、特定活動の在留資格を持つ人材を優先的に採用する動きが見られた点も、制度上の歪みとして認識されてきました。

特定活動への変更審査が厳格化された理由

2024年10月以降、ミャンマー人に対する特定活動への変更審査の運用が整理・厳格化されましたが、これは単に在留を制限する目的ではありません
背景にあるのは、特定活動という制度の本来の趣旨と、実務上の運用との間に生じていた乖離です。

特定活動は本来、

  • 一時的な滞在の確保
  • 次の在留資格へ移行するまでの「つなぎ」
  • やむを得ない事情への例外的対応

といった目的で設けられています。

しかし現場では、

  • 技能実習を修了せずに特定活動へ移行する
  • 就労内容が一般労働と変わらない
  • 特定活動を前提に転職や長期就労を繰り返す

といったケースが一定数確認されるようになりました。

とくにミャンマー人に関しては、SNS等を通じて「特定活動に切り替えれば稼げる」
といった情報が拡散し、制度の趣旨とは異なる利用が問題視されてきました。

こうした状況を踏まえ、2024年10月以降は、

  • 技能実習を修了していない者で、なお実習期間が残っている場合
  • 自己の責めに帰すべき事由により実習を継続できなかった場合

については、原則として「就労可能な」在留資格への変更を認めない(または「就労不可」や「週28時間以内」といった厳しい制限が付される)運用が徹底されています。
つまり、帰国困難であることを理由に在留自体は認められたとしても、「これまで通りフルタイムで働けるわけではない」という点が、今回の厳格化の最大のポイントです。

もっとも、本人の責めに帰さない事情(受入先の都合等)がある場合など、個別事情を踏まえた判断余地は残されている点には注意が必要です。

企業がミャンマー人を受け入れる際の注意点

受入企業にとって重要なのは、「特定活動=安定就労が可能な資格ではない」という点を正しく理解することです。

特定活動は、

  • 在留期間が短い
  • 更新が保証されていない
  • 次の在留資格への移行を前提とするケースが多い

という特徴があります。

そのため、企業側は、

  • 雇用期間と在留期間の整合
  • 将来的な在留資格(特定技能等)への移行可否
  • 不許可となった場合の雇用リスク

を事前に検討する必要があります。

また、審査基準の整理後は、受入企業の雇用実態や職務内容も、在留審査の判断材料となり得るため、安易な受入れは避けるべき状況といえます。

※補足:「就職活動」のための特定活動との違い
なお、今回の厳格化はあくまで「実習期間中の実習生」等が対象です。 技能実習を正規に修了した方が、特定技能試験への合格や就職先が決まるまでの間、適正な手続きを経て「特定活動(就職活動)」を取得する場合は、今回の厳格化の対象外です。これらは混同されやすいため、候補者の経歴(実習を修了しているか否か)を必ず確認しましょう。

今後の見通しと特定活動の位置づけ

ミャンマー人に対する特定活動は、今後も人道的配慮を前提とした制度として継続されると考えられます。一方で、恒常的な就労手段としての利用は、より明確に制限される方向です。

今後は、

  • 特定活動は「一時的な措置」
  • 長期就労は特定技能など本来の就労資格へ

という整理が、より明確になると見込まれます。

企業・支援機関にとっては、制度の柔軟性だけでなく、制度趣旨に沿った適正運用がこれまで以上に求められる局面に入っています。

まとめ

ミャンマー人に対する特定活動は、政情不安を背景とした重要な在留措置ですが、2024年10月以降、その取扱いは制度趣旨を重視する形で整理されています。

技能実習からの切替については判断基準が明確化され、特定活動を前提とした長期雇用はリスクを伴う状況です。

企業としては、在留資格の性質を正しく理解し、将来の在留計画まで見据えた受入れ判断を行うことが不可欠です。

Link Asiaでは、ミャンマー人を含む外国人材の在留資格確認、変更可否の整理、中長期的な受入れ設計についても実務ベースでサポートしています。制度対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!