特定技能の合格証を偽造?採用時に企業が注意すべき点

外国人材の採用において、「特定技能評価試験の合格証」を提出するケースは多く見られます。
しかし近年、偽造された合格証を使った不正事案が相次いで報道されています。
2024年には、SNSや仲介業者を通じて偽造証が売買され、企業が知らずに不正な合格証をもとに採用してしまうケースも確認されています。

こうしたトラブルは、企業の信頼を損ねるだけでなく、在留資格申請が不許可となるリスクもあります。
この記事では、合格証偽造の実態や見抜き方、そして企業・支援機関が取るべき対策をわかりやすく解説します。

特定技能合格証偽造とは?増加する不正の実態

「特定技能評価試験の合格証偽造」とは、出入国在留管理庁が定めた各分野の試験に実際には合格していない外国人が、偽造した証明書を提出する不正行為のことです。

2025年10月に、試験の合格証を偽造し、外国人労働者の在留資格「特定技能」を不正に取得したとして報道されました。
(参考:https://www.sankei.com/article/20251023-HKXA6CUWZFMDBGME7FMN2IO2JY/ )

こうした不正が起きる背景には、

  • 特定技能の人気上昇による受験倍率の上昇
  • 仲介業者や非公式ブローカーの存在
  • 企業の確認体制の甘さ
    などが挙げられます。

外見上は本物と見分けがつかないケースも多く、
採用企業自身が知らないうちに不正書類を受け取ってしまうという問題が起きています。

偽造合格証が生まれる背景と手口

合格証偽造は、主に以下のような方法で行われます。

  • PDF版の合格証を画像編集ソフトで改ざん
  • 他人の受験番号を流用して偽名を記載
  • SNSやオンライン掲示板で「販売」と称して偽造証を配布
  • 実際に合格した者が“転売”目的で偽証を提供するケースも

こうした不正は、公式フォーマットがネット上で流通していることを悪用して行われています。

また、企業側が「合格証のコピー」だけを受け取り、公式サイトで照合しないまま在留資格認定を申請してしまうケースもあります。この場合、後から入管庁の審査で不正が発覚すると、企業が「虚偽書類を提出した」とみなされるおそれがあります。

本物の合格証を確認する正しい方法

特定技能の合格証は、出入国在留管理庁および各分野の試験実施機関が公式に公表する合格者リストで確認できます。

正しい確認手順

  1. 試験分野を確認(外食業・介護・製造業など)
  2. 各分野の試験実施団体の公式サイトを開く
  3. 「合格者一覧」ページで、受験番号を照合

たとえば、外食業の場合は「外食業技能評価試験センター」の公式サイトで確認できます。
(参考: https://otaff.or.jp/

また、入管庁が監督する「特定技能制度ポータルサイト」でも、各試験機関の最新情報が一覧で確認できます。

重要ポイント

  • 提出書類の「PDF」「画像」だけでは判断しない
  • 必ず公式リストと照合し、受験番号が一致しているか確認
  • 合格者一覧に載っていない場合は、採用を一時保留する

採用企業・登録支援機関が注意すべき点

特定技能外国人の受入れでは、最終確認責任は企業側にあります。
登録支援機関が関与していても、書類提出主体は企業であり、虚偽提出は企業側の責任となります。

チェックすべきポイント

  • 受験番号が公式データと一致しているか
  • 合格証に不自然な影やフォントのズレがないか
  • 試験分野と在留資格申請内容が一致しているか
  • 合格証の発行元ロゴ・団体名が正しいか

不審な場合の対応

  • 試験実施団体や入管庁へ直接問い合わせる
  • 登録支援機関経由で本人に再確認
  • 採用を急がず、正式書類の到着を待つ判断を行う

企業が「知らなかった」では済まないケースも多く、
確認不足が原因で不正提出に加担したと見なされる可能性があります。

不正防止のために企業が取るべき今後の対策

今後、特定技能外国人の採用が増える中で、企業には確認体制の強化が求められます。

主な対策例

  • 採用前に「企業+登録支援機関」の二重チェックを実施
  • 合格証だけでなく「受験票」や「合格通知メール」も併せて確認
  • 定期的に入管庁・試験団体の公式情報を確認(不正発覚リストなど)
  • 海外送り出し機関との取引は、法務省登録済み機関に限定

さらに、採用活動の段階から「書類確認を厳格に行う方針」を明文化し、
社内マニュアルに落とし込むことも有効です。

まとめ

特定技能評価試験の合格証偽造は、「悪意ある第三者」だけでなく、「確認不足の企業」も巻き込まれるリスクがあります。採用の現場では、提出書類をそのまま信用せず、必ず公式サイトで照合・確認を行うことが基本です。

不正を未然に防ぐには、

  • 正しい情報の入手
  • 書類確認のルール化
  • 信頼できる支援機関との連携
    が欠かせません。

Link Asiaでは、企業が安心して外国人材を受け入れられるよう、在留資格申請前の書類確認・試験合格証照合サポートを行っています。
法令順守を徹底し、適正な受入れを進めることが、結果として企業の信頼を守る最善策です。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!