外国人採用が進む中で、「この在留資格は働けるのか?」は採用担当者が必ず確認すべき重要ポイントです。その中でも 就労の自由度が最も高い のが、「身分系在留資格」と呼ばれる4つの資格です。
身分系は、日本との家族関係や生活基盤を根拠に認められる資格で、職種・業種の制限なくフルタイムで働ける という特徴があります。
一方で、資格ごとに更新要件や安定性が異なるため、企業側も基本知識を理解しておくことが重要です。
本記事では、企業が採用時に必ず押さえるべき「4つの身分系資格」とその注意点をわかりやすく解説します。
目次
身分系在留資格とは?就労ビザとの違い
日本の在留資格は以下の3つに分類されます。
■① 活動内容が決められた「就労系」資格
例:技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能 など
→ 就ける仕事が法律で定められている
→ 更新時は業務内容と資格の一致が審査される
■② 原則働けない「非就労系」資格
例:留学、家族滞在 など
→ アルバイトする場合は資格外活動許可(裏面に記載)が必要
■③ 身分や地位に基づく資格(=身分系)
例:日本人の配偶者等、永住者、永住者の配偶者等、定住者
→ 就労制限なし。どんな業種でも働ける(資格外活動許可も不要)
✔ 身分系が企業にとって採用しやすい理由
- 業務内容の審査が不要
- 転職も自由にできる(永住者は特に安定)
- 特定技能や技人国より運用がシンプル
ただし、身分系=すべて安定 とは限りません。
資格ごとにリスクや特徴が大きく異なるため、次章で詳しく説明します。
働ける身分系資格① 日本人の配偶者等
「日本人の配偶者等」は、日本人と家族関係にある外国人に与えられる在留資格です。
【主な対象者】
- 日本人と婚姻している外国人
- 日本人の実子を養育している外国人
- 特別養子縁組の子
【特徴】
- 職種・業種の制限なし(フルタイム就労可)
- 在留期間は 6か月・1年・3年・5年
- 更新時は「婚姻状況」「同居実態」「生計状況」の確認あり
重要:離婚・別居リスク
日本人の配偶者等は 婚姻関係の継続が在留資格の前提 です。そのため、
- 長期間の別居
- 婚姻関係の破綻
- 離婚
が発生すると、資格そのものを変更する必要があり、不許可となるケースもあります。
✔ 就労の自由度は高いが、永住者ほどの安定性はない点に注意。
企業は「在留期限の管理」と「家族状況の変化があった場合の相談体制」が重要です。
働ける身分系資格② 永住者・永住者の配偶者等
■ 永住者とは?
永住者は 最も安定した在留資格 で、就労制限がなく、転職・離職の影響も受けません。
【永住者の特徴】
- 在留期間の制限なし(在留資格自体は更新不要)
- 就労制限なし(全業種で働ける)
- 転職の自由あり
- 家族帯同も可能
■ 重要:カードの有効期限(7年)
永住者の在留資格は無期限ですが、在留カードは7年ごとの更新が必要 です(16歳未満は次の誕生日まで)。採用担当者が誤解しやすいポイントのため、ブログ内に明記します。
■ 永住者の配偶者等
永住者と婚姻している外国人や、その子どもが対象となる資格です。
【特徴】
- 就労制限なし
- 在留期間は 6か月・1年・3年・5年
- 更新時は家族関係の実態確認あり
永住者ほどの安定性はありませんが、就労の自由度は高く、多くの企業で採用されています。
永住者・永住者の配偶者等はいずれも在留の安定性が高く、長期的な人材確保につながる点が企業側にとって大きなメリットです。
働ける身分系資格③ 定住者
定住者は、個々の事情を考慮し、法務大臣が特別に許可する在留資格です。
対象範囲は広く、告示(定住者告示)によって類型が細かく定められています。
【主な対象例】
- 日系二世・三世
- 日本人の子を監護する外国人
- 難民認定者の家族が認められるケース
- 日本で長期間暮らしてきた人の特例(告示外許可を含む)
【特徴】
- 就労制限なし
- 在留期間は 6か月・1年・3年・5年(最長5年)
- 個々の事情に応じて審査内容が変わる
- 家族帯同は許可類型により可否が異なる
身分系の中で最も多様な背景を持つが、永住者より安定性に個人差がある。
採用時に企業が確認すべきポイント
身分系の在留資格は就労制限がなく採用しやすい一方、企業側にも一定の確認事項があります。
【必ず確認すべきポイント】
・住所変更の履歴
・資格外活動許可(留学生アルバイトなど)が記載されます。
※裏面は“就労可否の判断には不要”
身分系資格では資格外活動許可が不要なため、就労可否は裏面を見なくても判断できます。
ただし、
- 住所確認
- 留学生・家族滞在者を雇う場合の資格外活動許可の確認
といった場面では裏面を確認します。
まとめ
身分系在留資格(日本人の配偶者等・永住者・永住者の配偶者等・定住者)は、いずれも職種・業種の制限なく働ける点が大きな特徴です。特に永住者は資格自体に期限がないため安定しており、企業にとって最も採用しやすい存在です。ただし、永住者でも在留カードは7年ごとの更新が必要です。
一方、配偶者ビザは婚姻関係の継続が前提となるため、離婚や長期別居が発生すると資格変更が必要になることがあります。定住者も類型により安定性が異なり、家族帯同が認められないケースもあります。
採用時は、在留カード表面にある「在留資格の種類」「在留期限」「就労制限の有無」を必ず確認しましょう。裏面は就労可否には関係ないものの、住所確認や資格外活動許可などで必要に応じて確認します。
身分系在留資格は自由度が高く、外国人材の長期雇用にも向いていますが、資格ごとの注意点を理解した運用が重要です。
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