特定技能外国人を受け入れている企業の中には、「掃除や片付けも担当してもらえるのか」「研修中だけ別の仕事をさせても問題ないのか」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。
特定技能制度では、外国人材が従事できる業務は「主たる業務」と「関連業務」に区分されています。関連業務は一般的に「付随業務」と呼ばれることもありますが、制度上の正式な名称は「関連業務」です。関連業務であれば担当させることは可能ですが、どのような業務でも認められるわけではありません。
また、関連業務が中心となるような業務配置や、長期間にわたって関連業務のみを担当させるような運用は、制度の趣旨に反する可能性があります。
この記事では、特定技能制度における関連業務(付随業務)の考え方や認められる範囲、分野ごとの具体例、企業が注意したいポイントについてわかりやすく解説します。
特定技能の付随業務(関連業務)とは?
特定技能制度では、外国人材が担当する業務は「主たる業務」と「関連業務」に分けられています。
主たる業務とは、各分野の運用要領で定められた中心となる業務です。一方、関連業務とは、主たる業務に関連し、通常その業務に付随して行われる業務を指します。
例えば、飲食店で調理を担当するスタッフが、調理器具の洗浄や厨房の清掃を行うことは、調理業務に関連する業務として認められます。
一方で、主たる業務とは関係のない営業活動や一般事務などを担当させることは認められていません。
また、関連業務のみに継続して従事させることや、関連業務が中心となるような運用は、制度の趣旨に沿ったものとはいえません。主たる業務に従事することを前提として、必要に応じて関連業務を担当することが基本となります。
関連業務(付随業務)として認められる具体例
関連業務は分野によって異なりますが、共通しているのは「主たる業務を円滑に行うために通常必要となる業務」であることです。
例えば、次のような業務は関連業務として認められるケースがあります。
外食分野
主たる業務
- 調理
- 飲食物の提供
関連業務の例
- 食器洗浄
- 厨房の清掃
- 開店・閉店準備
- 食材の補充
- ホールでの接客補助
- レジ補助
- ゴミの分別・搬出
介護分野
主たる業務
- 身体介護
- 生活支援
関連業務の例
- ベッドメイキング
- 居室の清掃
- 配膳・下膳
- 福祉用具の整理
- 介護記録の作成補助
ビルクリーニング分野
主たる業務
- 建築物内部の清掃
関連業務の例
- 清掃資機材の準備
- ごみの分別
- 清掃道具の片付け
- 作業報告書の作成
工業製品製造分野
主たる業務
- 製造・加工
関連業務の例
- 資材の運搬
- 製品の梱包
- 作業場の清掃
- 作業記録の作成
農業分野
主たる業務
- 栽培
- 収穫
関連業務の例
- 箱詰め
- 出荷準備
- 農機具の清掃
- 倉庫内の整理
- 資材の運搬
漁業分野
主たる業務
- 漁労
- 養殖
関連業務の例
- 網や漁具の洗浄・整理
- 出荷準備
- 氷の補充
- 作業場所の清掃
自動車運送業分野
主たる業務
- 運転業務
関連業務の例
- 日常点検
- 点呼
- 運行記録の作成
- 車内清掃
- 荷物の積み下ろし補助
リネンサプライ分野
主たる業務
- リネン類の洗濯・仕上げ
関連業務の例
- リネン類の仕分け
- 包装
- 出荷準備
- 作業場の清掃
- 備品管理
このように、関連業務として認められるためには、主たる業務との関連性があり、通常その業務に伴って行われる内容であることが重要です。
やってはいけない付随業務(関連業務)の運用
関連業務だからといって、どのような運用でも認められるわけではありません。
例えば、外食分野で調理担当として採用した外国人材に対し、店舗全体の業務の流れを理解するためにホール業務を経験してもらうことは、研修の一環として合理的な範囲であれば問題ないと考えられます。
一方で、調理担当として採用したにもかかわらず、長期間にわたりホール業務だけを担当させるような運用は適切ではありません。例えば、キッチン業務を担当する予定にもかかわらず、約1年間ホール業務のみを担当させるようなケースは、主たる業務に従事しているとはいえず、制度の趣旨に反する可能性があります。
また、介護職として採用した外国人材に対して清掃業務だけを継続して担当させたり、製造職として採用した外国人材を営業部門へ配置したりすることも適切ではありません。
関連業務は、あくまで主たる業務を補完するための業務であり、主たる業務への従事が前提となることを理解しておきましょう。
研修として関連業務を経験させても問題ない?
企業からよくある質問の一つが、「研修として別の業務を経験させてもよいのか」というものです。
結論として、主たる業務を理解するために必要な範囲で関連業務を経験させること自体は問題ありません。
例えば、外食分野で店舗全体の流れを理解するためにホール業務を経験することや、介護施設で配膳や清掃などの関連業務を学ぶことは、合理的な研修として考えられます。
ただし、その期間が長期間に及び、実質的に関連業務だけを担当している状態になると、制度の趣旨に反する可能性があります。
研修を実施する場合も、最終的には主たる業務へ従事することを前提とした運用が必要です。
判断に迷ったら専門家へ相談を
関連業務と主たる業務の線引きは、実際の業務内容によって判断が難しいケースもあります。
「この業務は関連業務に該当するのか」「研修としてどこまで担当させてもよいのか」など、不安がある場合は、自己判断で運用を進めることはおすすめできません。
各分野の運用要領を確認するとともに、登録支援機関や行政書士などの専門家へ相談しながら受入れ体制を整えることで、制度に沿った適切な運用につながります。
まとめ
特定技能制度では、主たる業務に関連する業務へ従事させることは認められています。しかし、主たる業務と関係のない仕事を担当させたり、関連業務が中心となるような運用を行ったりすることは適切ではありません。
また、研修として関連業務を経験させることは可能ですが、長期間にわたって関連業務のみを担当させることは、制度の趣旨に反する可能性があります。
企業は各分野の運用要領を確認し、主たる業務と関連業務の違いを正しく理解したうえで、適切な業務配置を行うことが重要です。判断に迷う場合は専門家へ相談し、制度に沿った運用を進めることで、安心して特定技能外国人を受け入れられるでしょう。














