特定技能×スリランカ人材の魅力とは?

特定技能×スリランカ人材

近年、日本では人手不足を補うために「特定技能」制度を活用した外国人材の採用が進んでいます。その中でも注目されつつあるのがスリランカ人材の受け入れです。

スリランカは南アジアに位置し、約2,200万人の人口を持つ国で、若年層の割合が高く、英語教育も盛んです。スリランカは特定技能の送り出し国として日本政府と協定を結んでおり、外食業や介護、建設分野などでの就労が始まっています。

文化的には仏教を主とし、日本との共通点も多いため、現場での適応力も期待されています。本記事では、スリランカ人材の基本情報から特定技能分野での活躍、宗教・文化的背景、採用の流れや注意点までを詳しく解説します。

スリランカの基本情報

スリランカの地図

                          出典:外務省

スリランカ人の特定技能分野別内訳

                               出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)

スリランカ民主社会主義共和国(通称:スリランカ)は、インドの南東に位置する島国で、人口は約2,200万人(2024年時点)です。首都はスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテですが、経済や行政の中心地はコロンボです。公用語はシンハラ語とタミル語で、英語も広く通用しており、教育やビジネスの場では英語がよく使われます。

スリランカは、識字率が高く(約92%以上 ※UNESCOデータによる)、初等から高等教育まで比較的整備された教育制度が存在しています。若年層の比率も高く、労働力の確保がしやすい国の一つとされています。また、技術系や医療、観光業の教育にも力を入れており、日本の特定技能制度に合致する基礎的なスキルを持つ人材も少なくありません。

日本とスリランカの関係は長く、1952年の国交樹立以来、経済・文化の両面で交流があります。日本政府はスリランカに対してODA(政府開発援助)を通じたインフラ支援などを実施しており、スリランカ人の対日感情はおおむね良好です。実際に、日本国内にはスリランカ出身の留学生や技能実習生も多く、2024年末時点で在留スリランカ人は6万人を超えています。

このような背景から、特定技能制度においてもスリランカは注目されており、特に外食業、介護、建設分野を中心に人材の送り出しが始まっています。基本的な英語力と勤勉な国民性により、今後さらに日本企業での活躍が期待されています。

スリランカの宗教・文化と日本企業での働き方

スリランカは多民族・多宗教国家であり、宗教は国民の価値観や生活習慣に深く根ざしています。外務省のデータによると、人口の約70%が仏教徒(主に上座部仏教)、約12%がヒンドゥー教徒、10%がイスラム教徒、7%がキリスト教徒です。仏教はスリランカ文化の中心であり、穏やかな性格や礼儀を重んじる国民性に影響を与えています。

日本企業でスリランカ人材を受け入れる際には、こうした宗教的・文化的背景への理解が重要です。たとえば、イスラム教徒の場合、豚肉やアルコールを避ける食習慣があり、断食月(ラマダン)には勤務時間や体調に配慮が必要です。また、仏教徒の多くは肉を控える傾向があり、特定の祝日には宗教行事への参加が優先されることもあります。これらは、事前に本人と相談することで柔軟に対応可能です。

※仏教についてはこちらもチェック↓

座禅

文化面では、スリランカ人は家族を大切にする傾向が強く、職場でも調和を重んじる性格が多く見られます。日本人と共通する「上下関係を尊重する」「時間を守る」といった価値観もあり、比較的日本の職場文化になじみやすいとされています。特に教育水準の高い層は、海外就労経験もあり、報連相(報告・連絡・相談)を意識した働き方も学びやすい傾向にあります。

ただし、文化的な背景から遠慮がちで自己主張が控えめなケースもあるため、業務上の不安や困りごとに気づきにくいことがあります。スムーズな受け入れには、定期的な面談や母語での相談体制の整備が効果的です。宗教・文化を理解し、尊重する姿勢が、スリランカ人材との信頼関係を築く鍵となります。

スリランカ人が多い特定技能分野とは?

スリランカは2019年、日本との間で特定技能に関する「基本合意書(MOC)」を締結しており、正式な送出し国の一つです。スリランカからは、特定技能制度に基づき、さまざまな業種での人材受け入れが始まっています。特に注目されているのが「外食業」「建設」「介護」「農業」といった分野です。

スリランカ人の特定技能分野別内訳

                      出典:一般社団法人日本スリランカ交流協会

外食業では、スリランカ人の英語力や対人コミュニケーション能力が評価され、接客や調理補助の現場で活躍が見られます。仏教徒が多いため、動物性食品の扱いには配慮が必要な場合もありますが、多文化対応の研修を経て、現場にうまく順応するケースが増えています。

建設分野においても、スリランカでは基礎的な土木・建築技術を持つ人材が育成されており、日本語試験や技能評価試験を経て来日する例が増加傾向にあります。特に重機操作や塗装、鉄筋工などの技能分野でのマッチングが進んでいます。

介護分野では、日本語の習得が必要なため参入ハードルは高いものの、スリランカ人の温厚な性格や高いホスピタリティ精神が現場で評価されています。実際に、技能実習やEPA(経済連携協定)などを経て介護の素地がある人材が、特定技能に移行するケースも報告されています。

また、農業分野でも、温暖な気候での作物栽培経験があるスリランカ人は、日本の果樹栽培や野菜の収穫などでの即戦力として期待されています。地方の人手不足を補う存在として注目されており、今後さらに需要が高まると予想されています。 このように、スリランカ人材は複数の特定技能分野で活躍の可能性があり、日本語学習支援や適切な現場対応を行えば、安定した労働力として大きな戦力になるといえるでしょう。

スリランカ人材を特定技能で採用する流れ

スリランカから特定技能人材を採用する際の主な流れは以下のとおりです。

STEP

人材選定と雇用契約の締結

まず、特定技能の要件を満たした候補者を選定し、雇用契約を締結します。スリランカでは、政府が認定した送り出し機関の利用は任意とされており、企業が直接候補者と契約を結ぶことも可能です。

STEP

在留資格認定証明書の申請

日本の受入れ機関は、地方出入国在留管理官署に対し、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付申請を行います。

STEP

ビザ申請と健康診断

候補者は、在スリランカ日本国大使館で特定技能ビザの申請を行います。その際、健康診断の結果を提出する必要があります。

STEP

スリランカ海外雇用局(SLBFE)への登録とオリエンテーション

スリランカ政府は、海外就労を希望する国民に対し、スリランカ海外雇用局(SLBFE)への登録を義務付けています。また、出国前に2日間程度のオリエンテーションを受講する必要があります。

STEP

入国と就労開始

すべての手続きが完了した後、候補者は日本に入国し、特定技能外国人として就労を開始します。

このように、スリランカから特定技能人材を採用する際には、各種手続きや要件を確認し、適切に進めることが重要です。

※2パターンの採用方法についてはこちらをチェック↓

国内採用?国外採用?異なる特定技能の採用手順

スリランカ人材を採用するメリットと注意点

メリット

1. 高い日本語習得能力と勤勉な姿勢
スリランカでは日本語教育が盛んであり、南アジア地域では日本語学習者数が多い国の一つです。特にシンハラ語は日本語と文法や発音が似ているため、スリランカ人にとって日本語の習得が比較的容易とされています。

2. 採用コストの削減
スリランカからの特定技能人材を採用することで、人材採用にかかるコストを大幅に削減することが可能です。他の労働移民源と比較して、採用コストが低く抑えられる点が大きなメリットです。

3. 高い就労意欲
スリランカの経済状況や国内の雇用機会の限界から、多くの若者が海外での就労を希望しています。日本であれば母国より安定的に収入が得られるため、スリランカ人は意欲的に労働を行います。

注意点

1. 宗教・文化的配慮の必要性
スリランカは多宗教国家であり、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教が共存しています。特にイスラム教徒の場合、豚肉やアルコールを避ける食習慣があり、断食月(ラマダン)には勤務時間や体調に配慮が必要です。

2. 言語・文化の壁
スリランカ人材を特定技能で受け入れるにあたり、言語対応はもちろんのこと、長期的な視点での支援体制の整備が欠かせません。特に母語であるシンハラ語への翻訳対応は、業務指導だけでなく、生活支援やメンタルケアにおいても重要な役割を果たします。

3. 業務上の指導とフォロー
スリランカ人は目上の人に従順な傾向があり、無理なことでも笑顔で引き受けてしまうことがあります。そのため、業務上のルールやマナーについて明確に指導し、適切な業務量を任せることが重要です。

スリランカ人材の採用は、多くのメリットをもたらす一方で、宗教・文化的な配慮や適切な指導が求められます。これらの点を理解し、適切な対応を行うことで、スリランカ人材は日本企業にとって貴重な戦力となるでしょう。

※定期面談(オンライン)についてはこちらもチェック↓

2025年4月から特定技能の定期面談がオンライン対応戒能に。受入れ企業が知るべき対応ポイント

まとめ:スリランカ人材は特定技能での戦力に!

スリランカは日本語教育も盛んで、就労意欲の高い人材が多い国です。仏教・イスラム教など多様な宗教文化を背景に持つスリランカ人を受け入れる際には、食事や勤務時間への配慮も重要です。送り出し機関の利用が任意であるため、採用の柔軟性も高く、コスト面でも他国と比べて優位性があります。

ただし、言語・文化の違いを理解し、丁寧なフォロー体制を整えることで、スリランカ人材は企業にとって大きな戦力となるでしょう。今後もスリランカは、特定技能制度の受け入れ先として注目すべき国の一つです。

小暮 雄平

Man to Manでは、経験豊富なスタッフが入社前~入社後のフォローまでトータルでサポート可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

参考サイト
外国人採用・定着支援 Linkasia

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!