今すぐ知りたい!特定技能×ベトナム人介護採用

特定技能×ベトナム人材×介護

介護業界における人手不足の深刻化により、外国人材の活用がますます重要視されています。中でも注目されているのが、2019年に創設された「特定技能制度」によるベトナム人介護人材の受け入れです。

ベトナムは特定技能介護分野での合格者数が上位で、日本語教育体制や送り出し機関の整備も進んでいます。厚生労働省の発表によれば、2024年末時点で介護分野における特定技能外国人数は44,367人。ベトナムはインドネシア、ミャンマーに次ぐ主要国であり、多くの企業がその能力や適応力に信頼を寄せています。

本記事では、ベトナム人の特定技能介護人材を採用する際に知っておくべき制度概要、採用フロー、注意点、成功のポイントなどを徹底解説します。

特定技能「介護」とは?制度の概要と求められる条件

介護分野は対象16分野の一つで、「特定技能1号」として受け入れが可能です。

特定産業分野別割合

                            出典:出入国在留管理庁(資料一部加工)

特定技能介護での在留資格を取得するためには、以下の2つの試験に合格する必要があります。


1つ目は「介護技能評価試験」で、日本の介護現場で必要とされる基礎的な知識と技術を測定します。
2つ目は「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4以上」で、日本語による意思疎通能力が問われます。

なお、過去に技能実習2号の介護分野を良好に修了した人材は、これらの試験が免除されます。また、在留期間は最長5年で、家族の帯同は原則認められていません(例外的に「特定技能2号」では帯同可ですが、2025年現在、介護分野は2号の対象外です)。

雇用主となる介護施設側にも要件があります。労働条件の明示や適正な支援体制の構築、定期的な報告義務などが課されており、本人への支援計画が求められる場合には「登録支援機関」との連携が必要になります。

このように、特定技能「介護」は外国人材が合法的かつ即戦力として働ける仕組みであり、技能実習よりも実践的・労働者寄りの制度設計がされています。正しく制度を理解し、適切な採用を行うことが、長期的な人材確保と介護現場の安定化につながります。

※【介護】分野について詳しくはこちらをチェック↓

特定技能制度における【介護】分野について概要から採用の流れまで徹底解説!

なぜベトナム人材が介護分野で注目されているのか?

ベトナム人材は、特定技能介護分野において多く受け入れられている国籍の一つです。

その理由の一つが、日本語教育の環境の整備です。ベトナムでは日本語教育を提供する専門学校や職業訓練校が増加しており、日本語能力試験(JLPT)やJFT-Basicに対応したカリキュラムを導入する送り出し機関も多数存在します。さらに、ベトナム人の日本語学習意欲は高く、技能実習や留学を経て、日本語にある程度習熟した状態で来日する人材も多いのが特徴です。

また、文化的な親和性も注目されています。ベトナムは儒教的な価値観を持つ国であり、目上の人を尊重する、家族を大切にするという姿勢が日本の介護現場にマッチしています。高齢者への配慮や礼儀正しさは、介護職に求められる資質の一つであり、現場での適応もスムーズです。

さらに、ベトナム国内には過去の技能実習制度を通じて、日本の介護現場での経験を積んだ人材が多数おり、その経験を活かして特定技能への移行を図るケースも増えています。このような背景から、日本の企業にとっては「日本での生活に慣れた即戦力人材」としての採用メリットが大きく、実際に離職率が低い傾向があるとも報告されています。

このように、ベトナム人材は「言語」「文化理解」「実務経験」の面で、介護現場との親和性が高く、今後も受け入れが拡大することが見込まれています。

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特定技能:ベトナム人材

採用する方法と流れ

採用までの主な流れは以下の通りです。ただし、ベトナム在住の方を採用するケースと既に日本国内で生活している方を採用するケースで流れが異なる場合がありますのでご留意ください。

  • 送り出し機関の選定(ベトナム側)
    ベトナム政府は、海外への労働者派遣を行う送り出し機関を認定・管理しています。2024年時点で、特定技能に対応した送り出し機関も複数あり、信頼性や実績を確認することが重要です。ベトナム労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)の公式サイトなどで最新リストが公開されています。
  • 求人情報の提示とマッチング
    日本の受け入れ企業は、求める人材像や条件を送り出し機関に提示し、書類選考・オンライン面接などを通じて候補者を選定します。現地での面接やオンライン面接が一般的です。
  • 内定後の手続き(在留資格認定証明書の申請)
    採用が決定したら、受け入れ企業または登録支援機関が出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書(COE)」を申請します。通常、発行までに1〜2ヶ月程度かかります。
  • 支援計画の作成と登録支援機関との連携
    特定技能外国人を雇用する際には、生活面・労働面での支援計画の作成が義務付けられています。自社で対応できない場合は、登録支援機関への委託が必要です。登録支援機関の一覧は出入国在留管理庁のHPにて確認可能です。
  • 入国・雇用契約開始
    COE取得後、ビザを申請して本人が来日。入国後は速やかに就労を開始でき、定期的な支援(生活相談、転職防止、住居確保など)を行うことが求められます。

このように、ベトナム人材の採用には制度理解と多国間での調整が不可欠ですが、送り出し機関・登録支援機関と適切に連携することで、スムーズな受け入れが可能となります。

※【登録支援機関】の違いについてはこちらをチェック↓

『登録支援機関』のサービスの違いって何?

採用時に注意すべきポイントとよくあるトラブル

特定技能で人材を採用する際には、制度上の注意点や現場で発生しやすいトラブルをあらかじめ把握しておくことが重要です。人手不足の解消というメリットは大きいものの、制度理解の不足や文化的なギャップによる問題が発生するケースも見られます。

よくある注意点とトラブル例

  • 支援体制の不備
    特定技能制度では、外国人本人への生活・労働支援(入国時の空港送迎、住居の確保、生活オリエンテーション、日本語学習支援など)が法律で義務付けられています。企業がこれらの支援を怠ると、受け入れ資格の取り消しや行政指導の対象になる場合があります。特に支援業務を登録支援機関に委託する場合は、その業務内容をしっかりと把握し、モニタリングすることが求められます。
  • 労働条件の不一致
    内定時に提示した給与や勤務時間と実際の条件に相違があると、トラブルの原因になります。特にベトナム人材は「技能実習」との違いを理解しているため、日本人と同等の待遇を期待する傾向が強いです。雇用契約書は、ベトナム語でも明示し、誤解を防ぐことが不可欠です。
  • 文化・宗教・生活習慣の違い
    例えば食事(ベトナム人は魚介類・香草を好む)、コミュニケーションスタイル(遠慮深い傾向)、宗教上の習慣(仏教系が多いが厳格な戒律は少ない)などが、日本人職員とのすれ違いを生むことがあります。現場の受け入れ体制の整備(異文化理解研修など)が求められます。
  • 途中離職や転職
    制度上、特定技能1号人材は転職が可能です。待遇に不満がある場合や職場の人間関係に問題がある場合、他施設へ移るケースもあります。定着率を高めるためには、定期面談の実施や日本語学習支援の継続、信頼関係の構築が重要です。

以上のようなリスクはありますが、事前の情報共有や誠実な対応を徹底すれば、ベトナム人材は介護現場で非常に大きな戦力となります。

※【協力確認書】についてはこちらをチェック↓

特定技能の協力確認書とは?いつ・どこに・誰が提出するの?

受入れ企業における定着の工夫

特定技能制度を活用している多くの介護施設では、定着率や現場での活躍に関して成功事例が報告されています。以下の資料では、定着に向けた具体的な工夫が紹介されています。

1. 三重県「令和5年度 外国人介護人材受入実態調査 結果報告書」

外国人介護人材への支援や業務の工夫を表したグラフ。

                     出典:三重県「令和5年度 外国人介護人材受入実態調査 結果報告書

この報告書では、三重県内の介護事業所における外国人介護人材の受け入れ状況や支援体制、定着に向けた工夫について詳細に調査されています。特に、外国人介護人材への支援や業務の工夫に関する項目では、定期的な日本語学習支援や生活支援の充実、職場内の異文化理解促進など、成功事例として挙げられる取り組みが紹介されています。

2. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「外国人介護人材の受入れ実態等に関する調査研究事業 報告書」

介護福祉士資格取得に伴う昇給・手当の金額

        出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「外国人介護人材の受入れ実態等に関する調査研究事業 報告書

この報告書では、外国人介護人材の受け入れに関する実態や課題、成功事例について調査されています。特に、外国人が介護福祉士の資格取得等により、地域への定着に成功した事例や、受け入れにあたり着実な支援の取り組みを進めている施設の事例が紹介されています。

成功の鍵は「受け入れ側の意識改革」です。単に労働力としてではなく、「同じチームの一員」として接する姿勢が安心感とやる気を引き出しています。

特定技能制度では、支援義務やキャリア形成支援が法的にも重要視されています。成功している施設は制度を正しく理解し、長期的な戦力として育成する環境づくりに注力しているのが特徴です。

まとめ

ベトナム人の特定技能介護人材は、日本の深刻な人手不足に対応する即戦力として注目されています。採用にあたっては、日本語力や介護技能の確認、適正な在留資格手続き、支援体制の整備が不可欠です。

文化的背景を理解し、丁寧な生活支援と職場内フォローを行うことで、定着率の向上が期待できます。法令遵守と長期的視点を持ち、ベトナム人材の能力を最大限に活かす環境づくりが、持続的な雇用と介護サービスの質の向上につながります。

石川 泰治

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参考サイト

外国人採用・定着支援 Linkasia

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!