日本の介護現場では、慢性的な人材不足が深刻な課題となっています。こうした背景から、フィリピンをはじめとした外国人材の採用が急速に進んでいます。
しかしながら、「特定技能って何?」「フィリピン人を採用するにはどんな手続きが必要?」といった疑問を抱える採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、介護職でフィリピン人を採用するための基本知識から、MWO・DMW・OECといった重要な手続き、採用後の定着支援ポイントまで、わかりやすく解説します。
特定技能やフィリピン人材採用が初心者の方でも読みやすい内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
目次
フィリピン人を介護職で採用するための特定技能制度とは?
まず、フィリピン人を介護職で受け入れるには、日本の「特定技能」という在留資格が必要です。
特定技能制度とは、深刻な人手不足が認められた産業分野に限り、即戦力となる外国人材を受け入れる仕組みで、介護分野もその対象となっています。
【特定技能(介護)の主な条件】
- 介護技能評価試験に合格する
- 日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格する
- 介護日本語評価試験に合格する(日本語による介護用語理解を確認)
これらに合格すれば、「特定技能1号」という在留資格で最長5年間、日本で介護職として働くことが可能です。
特定技能外国人は、介護分野内であれば転職も可能ですが、転職時には新たな雇用契約と在留資格の手続きが必要になります。
受け入れ企業は、就業支援や生活支援を行う義務があり、サポート体制を整えることが求められます。
特定技能制度により、これまで技能実習制度では難しかった「長期的な戦力化」が実現できるため、多くの介護施設で注目が高まっています。
フィリピン人介護人材の特徴と強み
フィリピン人材は、日本の介護現場に非常によく適応すると評価されています。
出入国在留管理庁の発表によると、2024年12月末時点で、フィリピンは特定技能外国人数で第3位(28,180人)。介護分野においても、インドネシア、ミャンマー、ベトナムに次ぐ重要な送り出し国となっています。

出典:出入国在留管理庁
その背景には、フィリピン独自の文化的特徴や国民性が大きく関係しています。
【フィリピン人の主な強み】
- 大家族文化によるホスピタリティ精神
フィリピンでは家族を大切にする文化が根付いており、高齢者を敬う姿勢が自然に身についています。介護職において非常に重要な要素です。 - 高い英語力
フィリピンは英語が公用語の一つであり、国民のほとんどが英語でコミュニケーションを取ることができます。
日本語を学習しながらも、英語による基本的な意思疎通が可能な点は大きな強みです。 - 日本文化への適応力
海外就労経験者が多く、異文化に対する柔軟性も高い傾向にあります。特に日本文化に対する理解や敬意を示す人材が多く、職場になじみやすいと言われています。
フィリピン人を採用する際に必須!MWO・POLO・DMWとは?
フィリピン人を正式に日本へ就労させるためには、フィリピン政府の許可を得る必要があります。ここで重要な役割を果たすのが、MWO・DMWです。
【各機関の役割】
- MWO(Migrant Workers Office)
フィリピン労働者のための政府窓口。旧POLO(Philippine Overseas Labor Office)から改称されました。日本には東京と大阪にMWOオフィスがあります。
主な業務は、就労契約書の認証、労働者保護、トラブル時のサポートなどです。 - DMW(Department of Migrant Workers)
2021年に設立された新しい政府機関で、フィリピン人海外就労者の送り出し・保護全般を統括しています。
採用にあたっては、フィリピン政府認定の送出機関を通じて手続きを進めることが原則です。
また、雇用契約書はMWOに提出して認証(Verification)を受ける必要があります。この手続きがないと、フィリピン人労働者は出国できません。
OECとは?取得しないと出国できない重要書類
フィリピン人が海外で就労する際には、必ずOEC(Overseas Employment Certificate)の取得が必要です。
OECは、フィリピン政府が「この労働者は合法的に海外就労することを認める」と証明する公式文書です。
【OEC取得の基本的な流れ】
MWOで雇用契約書を認証する
認証後、DMWのシステムに登録
OECを申請・取得する
【注意点】
- OECを持たずに空港へ行った場合、フィリピン出国時に止められ、出国できなくなる恐れがあります。
- OECは労働者本人が取得する場合と、送出機関が代理で手配する場合があります。
そのため、採用側もOEC取得状況を必ず確認することが重要です。
日本国内ではあまりなじみがない手続きですが、フィリピン側では非常に厳格に管理されているポイントなので注意しましょう。
受入れサポートと転職について
特定技能で採用したフィリピン人材を長く定着させるには、受け入れ後のサポートが欠かせません。
【必要なサポート例】
- 生活オリエンテーション(住居案内・交通機関利用方法など)
- 日本語教育支援(継続的な語学学習機会の提供)
- 定期的な面談・フォローアップ(人間関係や職場環境の確認)
法務省が定める「支援計画」では、生活支援や職業生活相談支援が義務付けられています。
また、特定技能では分野内での転職が認められているため、キャリアアップや職場環境改善を理由に転職を希望するケースがあります。
【ポジティブな転職理由】
- 「より成長できる環境を求めて」
- 「専門性を高めたい」
- 「日本での長期的なキャリアを築きたい」
転職を恐れるのではなく、働きやすい環境作りに注力することが、定着率向上へのカギです。
※受入れ後のサポートに関してはこちらもチェック↓
まとめ|フィリピン人介護人材採用は今がチャンス!
ここまで、フィリピン人材の特定技能採用について詳しく解説してきました。
【まとめポイント】
- 特定技能(介護)では、介護技能・日本語能力の試験合格が必要
- フィリピン人材はホスピタリティ精神と英語力が高く、介護職に適している
- MWO認証・OEC取得が必須であり、手続きサポートが重要
- 受け入れ後の生活支援・日本語支援が、定着成功のカギ
- 転職も前向きに捉え、魅力ある職場環境を作る努力が求められる
フィリピン政府との手続きをしっかり行い、サポート体制を整えれば、優秀なフィリピン人材を長期的に戦力化することが可能です。
介護人材不足に悩む今、フィリピン人材採用は大きな可能性を秘めています。
採用を検討中の方は、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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