近年、日本の労働市場は外国人労働者の受け入れを強化しており、特に自動車整備業分野では人手不足が深刻化しています。
そのため、特定技能ビザを活用して外国人労働者を積極的に採用する企業が増加しています。
本記事では、特定技能制度における建設業の分野の仕事内容、求められるスキルや資格、外国人材を採用する際の流れや注意点について詳しく解説します。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、2019年に日本政府が導入した新しい外国人労働者の受け入れ制度です。
この制度は、特定の分野において高度な技能を有する外国人を日本に呼び寄せ、労働力不足を補うことを目的としています。
特定技能は、以下の2つのカテゴリに分かれています。
より高度な技能を持つ外国人を対象としたビザ。定住が可能で家族の帯同も認められますが、対象となる職種は限られています。
上記以外に、自動車整備士として従事するには「自動車整備士技能検定試験3級」を受験し、合格する方法もあります。
「自動車整備士技能検定試験3級」とは、国土交通省が実施している検定試験です。技能水準を証明するため、どちらかの試験の合格証明書が必要になります。
また、日本語能力試験への合格が必要です。日本語試験は、「国際交流基⾦⽇本語基礎テスト」又は「⽇本語能⼒試験(N4以上)」)となります。
特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。
主な仕事内容は?
自動車整備業は、車両の安全性を確保し、日常的に良好な状態を保つために必要不可欠な作業を行います。
この業務は広範囲にわたり、技術的な専門性が求められます。外国人材が特定技能ビザを取得した方は、“自動車の定期点検・車検、車両修理、部品交換と整備、車両診断、カスタマイズ・改造、顧客対応と作業報告に付随する業務”に従事できます。
それぞれ詳しく説明していきます。
【主な業務内容】
自動車の定期点検や車検は、法律で義務付けられている重要な作業です。
点検作業は車両が安全に走行できる状態を確認し、必要に応じて修理を行うことが求められます。
これには、車両全体のシステムに関する広範な知識が必要です。
・点検項目の確認
→車両のエンジン、ブレーキ、タイヤ、サスペンション、ライト類、排気システムなど法的に必要な点検項目をチェックします。
・故障の発見と修理提案
→点検で異常が発見された場合、どの部分に問題があるかを特定し、必要な修理や部品交換を提案します。例えば、エンジンオイルの交換や、バッテリーの交換が必要な場合があります。車検時には、法定基準に合致した整備が求められ、車両が適切に運行できるようにするための作業です。
【主な業務内容】
車両が故障した場合、修理作業を行います。
車両修理は機械的な修理だけでなく電気系統や電子機器の修理を含むため、専門的な知識と技術が必要です。修理には、以下のような作業があります。
・エンジン修理と整備
→エンジンの調子が悪い場合、エンジン内部の部品を点検し、修理や交換が必要です。エンジンオイルやフィルターの交換、部品のクリーニング、バルブやピストンの調整などが含まれます。
・トランスミッションの修理
→車両の駆動系統に問題がある場合、トランスミッションの修理が行われます。トランスミッションオイルの交換やクラッチ調整、ギアの交換などが行われます。
・ブレーキ系統の修理
→ブレーキパッドの交換や、ブレーキオイルの交換、さらにはブレーキキャリパーやディスクの交換を行います。安全性に直結する作業であるため、非常に重要です。
・サスペンションの修理
→車両の安定性を保つため、サスペンション(ショックアブソーバーやスプリング)の修理を行います。振動や異音が発生している場合に必要です。
修理業務は、車両の特定の部品やシステムに焦点を当てて行うため、診断力と技術が要求されます。
【主な業務内容】
車両には多くの部品が使われており、特定の部品が摩耗することで、車両全体のパフォーマンスや安全性が低下します。これらの部品を交換することは、自動車整備士の基本的な仕事です。
・タイヤの交換
→タイヤの摩耗やパンクなどによって、新しいタイヤに交換します。タイヤの種類やサイズに関する知識が求められます。
・エンジンオイル・オイルフィルターの交換
→定期的にエンジンオイルやオイルフィルターを交換することで、エンジンをスムーズに動作させます。これは車両の寿命を延ばすために欠かせない作業です。
・バッテリー交換
→車両の電力供給を担当するバッテリーが劣化した場合、交換作業を行います。
・冷却系統の整備
→エンジンが過熱しないように、冷却システムをチェックし、冷却水の交換やラジエーターの修理を行います。
部品交換や整備は、車両の性能を保ち、長期的に安全に運転できる状態を作るために重要な作業です。
【主な業務内容】
現代の車両は、コンピュータ制御で動作している部分が多く、故障や不具合を診断するためには、高度な診断ツールを使用する必要があります。外国人労働者がこの作業を行うには、以下のスキルが求められます。
・コンピュータ診断ツールの使用
→車両に内蔵されたコンピュータからエラーメッセージやデータを読み取り、問題の箇所を特定するための知識が求められます。
・電子機器の修理
→現代の車両には、センサーや制御ユニット、電気系統が多く搭載されています。これらの不具合を正確に診断し、修理するためには、電気系統の基礎知識と、最新の修理技術が必要です。
この診断作業は、車両がどのような問題を抱えているのかを特定するために非常に重要な業務となります。
【主な業務内容】
自動車整備工場では、顧客の要望に応じてカスタマイズや改造を行うこともあります。例えば、車両の外装や内装の変更、エンジンチューニング、性能アップを目的とした改造が行われます。
・エアロパーツの取り付け
→車両の外装をスポーツカー風にカスタマイズするため、エアロパーツを取り付けます。これは見た目の変更だけでなく、空力性能向上にもつながります。
・チューニング
→エンジンやサスペンションを変更し、車両の性能を向上させる作業です。顧客の希望に応じて、加速性能や走行性能を向上させます。
・オーディオ、ナビゲーションシステムのインストール
→車内の快適性を向上させるため、音響システムやナビゲーションシステムをアップグレードすることもあります。
これらのカスタマイズや改造作業は、車両の個性を際立たせるための技術が必要です。
【主な業務内容】
自動車整備士は、車両の修理や整備が完了した後に、顧客に対して作業内容を説明する役割も担います。また、修理の詳細な報告書を作成し、車両の状態や今後のメンテナンスについてアドバイスを行うことが求められます。
・顧客とのコミュニケーション
→整備内容や費用、作業時間について説明し、顧客に納得してもらう必要があります。
・作業報告書の作成
→作業内容、使用した部品、修理した箇所などを詳細に記録し、顧客に提供することが求められます。
自動車整備業の仕事内容は非常に多岐にわたります。定期点検や車検、修理、部品交換、カスタマイズまで、様々な業務が求められます。
特定技能1号ビザで外国人労働者を雇用する企業にとっては、これらの作業を円滑にこなせるよう、外国人労働者に対して専門的な研修とサポートを提供することが重要です。
上記に加えて、関連のある業務にも従事することが可能です。
整備内容の説明および関連部品の販売
部品番号検索・部内発注作業
ナビ・ETCなどの電装品の取付作業
洗車作業
下廻り塗装作業
車内清掃作業
構内清掃作業
部品等運搬作業
設備機器等清掃作業
自動車整備業における要件
自動車整備業分野で外国人労働者を雇用する場合、以下に定める試験に合格する必要があります。
また、2号特定技能外国人については、実務経験の要件も満たす必要があります。
(ただし、「自動車整備士技能検定2級」に合格した者は除く。)
1号特定技能外国人が必要な資格や日本語水準
必要な資格
→「自動車整備分野特定技能1号評価試験」又は「自動車整備士技能検定試験3級」の合格
日本語水準
→「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
2号特定技能外国人が必要な資格
必要な資格
→「自動車整備分野特定技能2号評価試験」又は「自動車整備士技能検定試験2級」
外国人材の受け入れにおける必要なこと
外国人材を造船・船用工業分野で採用する際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
また、企業側も外国人労働者を受け入れるために、すべきことがいくつかあります。
「自動車整備分野特定技能協議会」の加入と登録
【自動車整備分野特定技能協議会とは?】
日本における外国人労働者の受け入れ制度の一環として設立された組織で、特定技能制度に基づいて自動車整備業界で働く外国人を支援する目的で活動しています。特定技能制度は、特定の業種で不足している労働力を補うために、一定の技能を持つ外国人労働者を受け入れるための仕組みです。
地方運輸局長の認証を受けること(認証工場になる)
【認証工場とは?】
自動車の「分解整備」を行おうとする場合は、地方運輸局長の「認証」を受けなければなりません(道路運送車両法第78条第1項)
この「認証」を受けた工場を「認証工場」と言います。
また、認証工場のうち、設備、技術、管理組織等について一定の基準に適合している工場に対して、申請により、地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしています。この「指定」を受けた工場を「指定工場」と言います
働き手として特定技能外国人を受け入れるには、道路運送車両法を守る認証工場または指定工場であることが必須です。
国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査や指導に対し、必要な協力を行うこと
自動車整備士1級もしくは2級の資格を有する者か、自動車整備士の養成施設において5年以上の指導を行った経験を有する者が在籍すること
外国人材採用の流れ
外国人材を自動車整備業で採用する際の流れを、採用担当者としてしっかり把握しておくことが重要です。
採用計画の策定
まず最初に、自社の自動車整備業に必要なスキルや人員数を把握し、どのような外国人材が必要かを明確にします。
具体的には、必要な技能や資格をもとにどの国からどの程度の技能を持った外国人材を採用するかを検討します。
求人広告の掲載
外国人材を対象に求人を行う際には、特定技能自動車整備業の求人広告を適切な媒体に掲載します。
求人情報には、仕事内容や求められるスキル・日本語能力の要件・待遇などを明確に記載することが大切です。
面接と選考
応募者が集まったら、面接を行います。面接では、造船・船用工業に必要な基本的な技術やコミュニケーション能力・日本語能力を確認します。
場合によっては、実技試験や技能試験を実施することもあります。
就労ビザの取得
選考を通過した候補者には、就労ビザを取得する必要があります。
特定技能1号ビザを取得するためには、所定の手続きを踏み必要な書類を提出します。
ビザの取得には一定の時間がかかるため、早めに手続きを始めることが重要です。
入社後の研修とフォローアップ
外国人材が入社した後は、業務に必要な研修を実施し適切な指導を行います。
特に日本の職場文化や安全衛生については、入社前後にしっかりと教育を行うことが求められます。
まとめ
特定技能1号を活用することで、自動車整備業の労働力不足を解消することができます。
外国人労働者の採用には、技能試験や日本語能力・適切な契約内容・生活支援などが重要であり、企業としての準備が必要です。
採用担当者は、これらのポイントをしっかりと押さえ、外国人労働者が日本で安心して働ける環境を提供することが求められます。
当社では、採用から業務の安定運営・外国人スタッフの定着までトータルでサポートいたします。まずは気軽にご相談ください。
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