【2025年12月】外国人雇用のルールがさらに厳格化!留学生バイト規制と企業が今すぐ備えるべきリスク管理

2025年12月news解説記事。留学生アルバイトの厳格化!?

先日、日本経済新聞やYahoo!ニュースなどで、外国人雇用に関する非常に重要な方針転換が相次いで報じられました。特にインパクトが大きいのは、2025年12月頃に報じられた「留学生のアルバイト許可の厳格化」と「マイナンバーを活用した管理強化」です。

これまで日本の現場を支えてきた外国人留学生の採用フローが根底から変わる可能性があり、多くの企業にとって無視できない変化となります。今回は、一連の報道内容を詳しく解説しながら、企業が今後直面するリスクと、どう対応すべきかについて深掘りします。

留学生のアルバイト許可が「自動付与」から「個別審査」へ厳格化か

これまで、留学生が日本に入国する際、希望者には原則として入国審査の段階で「資格外活動許可(週28時間以内のアルバイト許可)」が自動的に付与されていました。企業側も「留学生=すぐにバイトができる」という認識で採用計画を立てていたはずです。

しかし、新たな報道によると、政府はこの仕組みを見直し、「個別に審査した上で許可を出す」方式へと厳格化する方針であることが報じられました。

背景にあるのは、本来の目的である「学業」がおろそかになり「出稼ぎ」が主目的となってしまっているケースや、週28時間の制限を超えて働く不法就労が後を絶たない現状です。 今後は、入国時や在留期間更新時に、「本当に経済的にアルバイトが必要なのか」「学業成績に問題はないか」といった点が厳しくチェックされる仕組みの導入が検討されています。

これが実現すれば、採用内定を出しても「許可が下りずに働けない」という事態や、許可が出るまでのタイムラグが発生することが予想され、企業は採用スケジュールの見直しを迫られることになります。

以下の図は、この制度変更のBeforeとAfterを比較したものです。

資格外活動許可のbefore after図

このように、「入国=即勤務可能」というこれまでの常識が通用しなくなる点に注意が必要です。

マイナンバー活用で「働きすぎ」がガラス張りに

もう一つの大きな変化は、デジタル技術を活用した監視体制の強化です。 政府は2027年を目処に、マイナンバーと社会保険・納税情報を紐づけ、留学生の労働時間を国が正確かつリアルタイムに近い形で把握できる仕組みを導入する予定です。

これまでの外国人雇用の現場における最大のリスクは「掛け持ち(ダブルワーク)」の管理でした。A社で15時間、B社で20時間働いていた場合、合計35時間となり週28時間の法定上限を超えてしまいますが、これまでは自己申告に頼らざるを得ず、企業側が正確に把握するのは困難でした。

しかし今後は、マイナンバーを通じて「誰が・どこの店舗で・何時間働いているか」の情報が行政側にはガラス張りになります。入管庁と税務当局のデータ連携が進めば、基準を超えて働いている留学生は即座に特定され、在留資格の更新ができなくなる可能性が極めて高くなります。

「本人が大丈夫と言っていたから」「知らなかった」という言い訳は通用しません。違反が発覚すれば、留学生本人が帰国を余儀なくされるだけでなく、雇用した企業側も「不法就労助長罪」に問われる法的リスクに直面します。

以下の図は、マイナンバー導入によってどのように労働時間が管理されるかのイメージです。

マイナンバーでアラート検出するイメージ図

複数社での勤務時間が自動的に合算され、超過があれば即座にリスクとなる仕組みがご理解いただけるかと思います。

「人手不足だから」では済まされないコンプライアンス体制

今回の厳格化は、国が「留学生(バックドア)」への依存を減らし、正規の就労ビザである「特定技能(正面玄関)」への移行を強く促しているシグナルと言えます。 「安価で柔軟な労働力」として留学生に過度に依存していた現場は、ビジネスモデルや採用方針の根本的な転換を迫られることになります。

企業にとっては、以下のような具体的なリスクが現実味を帯びてきます。

  • 採用計画の崩壊: 採用予定だった留学生の資格外活動許可が下りず、シフトに穴が空く。
  • 連鎖的な法的責任: 本人の不注意によるオーバーワークがシステムで検知され、雇用主も管理責任を問われる。
  • 人材の突然の喪失: 税や社会保険料の未納、労働時間超過により在留資格が取り消され、突然出勤できなくなる。

これからの外国人雇用は、単に「人を集める」だけでは不十分です。在留期限の管理、労働時間の厳格なチェック、そして正規の就労ビザへの切り替え支援といった「運用の質」そのものが、企業の存続に関わる重要課題となります。

まとめ:正しい外国人雇用を計画的に進めるために

今回の法改正やルールの厳格化は、見方を変えれば、法令を遵守して真面目に外国人材を受け入れている企業にとっては朗報です。「バレなければいい」という不正な雇用が淘汰され、公平な競争環境が整うからです。

しかし、準備不足の企業にとっては致命的なリスクになりかねません。これからの時代、外国人雇用を成功させ、企業の成長につなげるためには、以下の3要素が不可欠です。

  1. 正しい外国人雇用 制度の趣旨を正しく理解し、抜け道を探すのではなく、特定技能などの正規ルートを積極的に活用すること。
  2. 徹底したリスクチェック 在留カードの確認はもちろん、マイナンバー管理を見据えた労働時間の正確な把握体制を構築すること。
  3. 計画的に進めること 目先の人手不足解消だけでなく、採用から定着、ビザ更新までを見据えた長期的な採用計画を立てること。

「うっかり違反」で企業の社会的信用を失わないためにも、コンプライアンスを遵守した雇用体制を整えていきましょう。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!