特定技能外国人の採用を検討するとき、「採用できる国籍は決まっている?」「二国間の協力覚書を結んでいない国の人は採用できない?」と疑問を持つ企業担当者もいるでしょう。
特定技能制度では、二国間の協力覚書を作成している国の国籍であること自体は、受入れの要件ではありません。 そのため、協力覚書を作成していない国の外国人でも、必要な要件を満たせば受入れは可能です。
ただし、国籍によっては、日本の在留資格手続きとは別に送出国側の手続きが必要になる場合があります。
この記事では、特定技能と国籍の関係、二国間の協力覚書、国によって異なる手続き、外国人を採用するときに企業が確認したいポイントについて解説します。
特定技能は協力覚書を結んでいない国の外国人も受け入れられる
特定技能というと、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどの外国人をイメージする企業も多いかもしれません。
しかし、「特定の国籍でなければ特定技能になれない」という仕組みではありません。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、二国間取決めを作成した国の国籍であることを受入れの要件としていないため、取決めを作成していない国の外国人も受け入れることができるとされています。
重要なのは国籍そのものではなく、本人が希望する特定技能の分野について必要な技能試験・日本語試験に合格していること(または技能実習2号などを良好に修了していること)です。
なお、制度上はどの国籍でも受入れ可能ですが、海外から直接採用する場合は「その国で特定技能の試験が実施されているか」という実務上の確認も必要になります。
そのため、「これまで採用したことがない国籍だから特定技能では採用できない」と判断するのではなく、本人と受入れ企業の双方が必要な要件を満たしているかを確認しましょう。
二国間の協力覚書とは?
日本は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れなどを目的として、複数の国との間で二国間の協力覚書(MOC)を作成しています。
協力覚書では、保証金を徴収するなどの悪質な仲介事業者の排除や、問題となる仲介事業者に関する情報共有などについて、両国が協力する枠組みが設けられています。
ここで注意したいのが、
「協力覚書がある国=特定技能で採用できる国」
「協力覚書がない国=特定技能で採用できない国」
という意味ではないことです。
協力覚書は、特定技能として受け入れられる国籍を限定するためのものではありません。
外国人を採用する際は、MOCを作成している国かどうかだけで採用可否を判断せず、日本側の特定技能の要件と、本人の国籍国で必要となる手続きをそれぞれ確認することが重要です。
国籍によって必要な手続きが異なる場合がある
特定技能外国人の採用で特に注意したいのが、送出国側の手続きです。
国によっては、日本で行う在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などとは別に、その国の制度に基づく送出手続きが設けられています。
例えば、ベトナム国籍の場合はベトナム政府発行の「推薦者表(推薦リスト)」が必要となり、日本の在留申請時にも提出が求められます。
また、フィリピン国籍の場合は送出国側の管理が非常に厳格で、日本の入管手続きに加えて「MWO(旧POLO)での雇用契約認証」や「DMW(旧POEA)での出国許可手続き」が必要です。
これらを怠ると現地を出国できず、入社までに数ヶ月単位の準備期間を要するため、スケジュール管理には十分注意しなければなりません。
ただし、送出国側の制度は国によって異なります。出入国在留管理庁も、国によって必要となる手続きや、日本の在留諸申請で提出する書類などが異なることを国別に案内しています。
過去に別の国籍の特定技能外国人を採用した経験があっても、同じ方法で手続きを進められるとは限りません。
採用する外国人の国籍ごとに最新の手続きを確認することが大切です。
海外採用と国内採用でも手続きが変わることがある
国籍だけでなく、外国人を海外から新たに採用するのか、すでに日本に在留している人を採用するのかによっても確認すべき手続きが変わる場合があります。
例えばミャンマー国籍の場合、日本の入管に対する在留申請では、ミャンマー政府側の手続き完了を証明する書類の提出は求められていません。
しかし、これは「ミャンマー国内の手続きが不要」という意味ではありません。海外から直接呼び寄せる場合は、ミャンマー現地でのスマートカード(OWIC:海外労働身分証明カード)の取得など現地法に基づく手続きが必要となります。
一方で、すでに留学生や特定活動として日本国内に在留している人を採用する場合は、現地手続きを挟まず国内のビザ変更申請のみで完結するケースもあります。
このように、「○○国籍ならこの手続き」と一律に判断するのではなく、国籍・現在の在留状況・海外採用か国内採用かを整理したうえで、日本側と送出国側で必要となる手続きを確認しましょう。
国籍だけで判断せず最新の国別情報を確認する
特定技能外国人を採用するときは、国籍だけを見て採用できる・できないと判断しないことが重要です。
まず、本人が希望する特定技能の分野について必要な技能水準などを満たしているか、自社が受入れ機関として必要な基準を満たしているかを確認します。
そのうえで、海外から採用する場合などは、国籍国で必要となる送出手続きや、認定送出機関を利用する必要があるかなどを確認しましょう。
特に国別の手続きや認定送出機関に関する情報は更新されることがあります。出入国在留管理庁では、特定技能制度の国別情報を公開し、それぞれの国について必要な手続きなどを案内しています。
以前採用したときの情報をそのまま使うのではなく、実際に採用手続きを進める時点で最新の国別情報を確認することが安全な受入れにつながります。
まとめ
特定技能は、二国間の協力覚書を作成している国の外国人だけを対象とした制度ではありません。協力覚書を作成していない国の外国人でも、必要な要件を満たせば受入れは可能です。
ただし、国籍によって送出国側で必要となる手続きが異なる場合があります。また、海外から採用するか、日本に在留している外国人を採用するかによっても確認事項が変わることがあります。
企業は国籍だけで採用可否を判断せず、本人が特定技能の要件を満たしているか、国別にどのような手続きが必要かを最新情報で確認したうえで採用を進めることが重要です。
Link Asiaでは、特定技能外国人の採用や在留資格に関するご相談に対応しています。国別の採用手続きなどで判断に迷う場合は、お気軽にご相談ください。
















