2026年1月23日、政府は特定技能制度における分野別運用方針の見直しを閣議決定しました。中でも大きな変更があったのが「工業製品製造分野」です。
今回の改正では、受入れ対象となる業務や産業分類が大幅に拡大され、これまで対象外だった製造業の領域にも特定技能外国人の活用が広がる見込みとなっています。
本記事では、工業製品製造分野の変更点を整理しながら、企業にとってどのような影響があるのかをわかりやすく解説します。
目次
特定技能「工業製品製造分野」とは
特定技能の工業製品製造分野は、製造業の中でも人手不足が深刻な分野において、一定の技能を持つ外国人材を受け入れる制度です。
特定技能1号では、現場で即戦力として働ける技能を持つ人材が対象となり、在留期間は最大5年です。一方、特定技能2号はより高度な技能や管理能力を持つ人材が対象で、在留期間の上限がなく、長期的な就労が可能となります。
製造業分野では、これまで機械加工や電子機器組立などを中心に受入れが行われてきましたが、慢性的な人手不足の拡大により、対象範囲の見直しが求められていました。
2026年改正のポイント|業務区分と産業分類が大幅拡大
今回の改正の最大のポイントは、「業務区分」と「産業分類」の拡大です。
まず、特定技能1号において従事できる業務区分は、これまでの10区分から17区分へと拡大されました。新たに7つの業務区分が追加され、既存区分でも業務内容の見直しが行われています。
さらに、受入れ可能な事業所の産業分類も大きく拡大されました。特定技能1号では49分類から76分類へと増加し、自動車製造や航空機部品、家具、ゴム製品など、幅広い製造業が対象となっています。
- 業務区分の拡大(10 → 17区分)
新たに「紙器・段ボール箱製造」「コンクリート製品製造」「印刷・製本」「縫製」など7つの業務区分が追加されました 。これにより、これまで特定技能の対象外だった軽工業分野でも活用が可能になります 。 - 産業分類の拡大(49 → 76分類)
「自動車・同附属品製造業」「航空機・同附属品製造業」といった主要産業から、「生コンクリート製造業」「家具製造業」まで、27の産業分類が新たに追加されました 。
この変更により、これまで特定技能を活用できなかった企業でも、制度を利用できる可能性が広がることになります。
具体的に何が増えたのか|追加された業務と産業の例
今回の改正では、製造業の多くの業務区分と産業分類が新たに対象となりました。
特定技能1号の業務区分では、以下のような分野が追加されています。
■新規追加の業務区分
| 電線・ケーブル製造 | プレハブ住宅製品製造 | 家具製造 | 定形・不定形耐火物製造 |
| 生コンクリート製造 | ゴム製品製造 | かばん製造 |
■従事する業務を見直した業務区分
| 機械金属加工 | 電気電子機器組立て | 金属表面処理 |
| 陶磁器製品製造 | 紡織製品製造 | 縫製 |
これにより、いわゆる「軽工業」や「生活関連製造業」も特定技能の対象となり、これまで技能実習に依存していた分野でも人材確保の選択肢が広がります。
また産業分類では、以下のような産業分類が追加されています。注目なのは自動車・同附属品製造業や航空機関連なども対象に含まれていることです。
■特定技能1号の新規追加の産業分類


■特定技能2号の新規追加の産業分類

つまり今回の改正は、「製造業の一部」から「製造業全体へ」と対象が拡大したといえる内容です。
詳細については下記より経済産業省セミナーで配布された資料をご確認ください
施行時期と今後のスケジュール
今回の制度変更は、すぐに適用されるわけではなく、段階的に施行される予定です。
まず、2026年1月23日に閣議決定が行われ、その後、2026年5月に改正告示が公布される予定です。そして、2026年6月に正式施行され、対象事業所の拡大が実際に反映されます。
また、今回の改正に伴い、制度運用にもいくつかの変更があります。
・試験実施機関がJAIMに変更
・合格証明書の取り扱いの見直し(結果通知書の活用)
・受入れ事業所はJAIMへの加入が必要
こうした変更は、単なる対象拡大にとどまらず、制度全体の運用体制にも影響を与えるものです。受入れ企業としては、制度開始前から準備を進めておくことが重要になります。
企業への影響と今後の活用ポイント
今回の改正により、製造業における外国人材活用は大きく進むと考えられます。
これまで特定技能の対象外だった企業でも、制度を利用できるようになることで、人手不足の解消手段としての選択肢が広がります。特に、自動車関連や部品製造、建材、家具などの分野では、今後特定技能の活用が一気に進む可能性があります。
一方で、注意すべき点もあります。
特定技能では、外国人が従事できる業務は「業務区分」によって明確に定められており、その範囲を逸脱することはできません。また、受入れ企業は対象となる産業分類に該当している必要があります。
つまり、「業務内容」と「事業所の産業分類」の両方が要件を満たしているかを事前に確認することが不可欠です。
さらに、今後は育成就労制度との連携も進む予定であり、中長期的な人材育成の視点も重要になります。
まとめ
2026年の制度改正により、特定技能「工業製品製造分野」は大きく変わります。
業務区分は10区分から17区分へ、産業分類は49分類から76分類へと拡大され、製造業全体で外国人材の活用が進む環境が整いつつあります。
この改正は単なる制度変更ではなく、「製造業における人材確保のあり方」を大きく変える可能性を持っています。
一方で、制度の適用には業務区分や産業分類の適合、試験制度、受入体制など、複数の要件を正しく理解する必要があります。
今後、特定技能の活用を検討している企業は、自社が対象となるかを早めに確認し、制度施行に向けた準備を進めていくことが重要です。
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