2026年10月19日、政府の有識者会議で、特定技能「外食業分野」の対象となっている給食業務を「飲食料品製造業分野」に移す案が示されました。
対象として想定されているのは、病院や福祉施設、学校などの施設給食業です。政府は、2027年4月からの新規受入れ再開を目指しています。
背景には、2026年4月から実施されている外食業分野の受入れ停止措置と、給食現場の人手不足があります。
ただし、給食業務の分野移行はまだ正式決定しておらず、外食業分野全体の受入れ停止措置が解除されるわけでもありません。
この記事では、2026年11月時点の公表情報をもとに、給食業務の分野移行案と、受入れ企業が確認しておきたいポイントを解説します。
特定技能の給食業務が「飲食料品製造業分野」へ移行する方針
2026年10月19日、政府は特定技能制度などに関する有識者会議で、医療・福祉施設給食業などを「飲食料品製造業分野」で受け入れる案を示しました。
これまで病院や福祉施設などの給食調理は、特定技能の「外食業分野」の対象となっていました。
今回の案では、こうした施設給食業を飲食料品製造業分野の対象に追加し、2027年4月から新規申請分の受入れを再開することが想定されています。
| 項目 | 現行の取扱い | 変更案 |
|---|---|---|
| 対象業務 | 病院・福祉施設・学校などの施設給食業 | 同様の施設給食業 |
| 特定技能の分野 | 外食業 | 飲食料品製造業 |
| 新規受入れ | 外食業分野の停止措置の対象 | 2027年4月から再開を目指す |
| 制度の状況 | 現行制度 | 2026年10月に改正案を提示 |
今回の変更は、給食業務を特定技能制度から除外するものではありません。受入れ対象となる分野を変更することで、施設給食業の外国人材採用を再開するための措置です。
政府は2026年12月の閣議決定を目指していると報じられていますが、2026年11月2日時点では正式決定前です。
なぜ給食業務の受入れ再開が検討されているのか
外食業分野では2026年4月から受入れ停止措置
外食業分野では、特定技能1号外国人の在留者数が受入れ見込数の上限である5万人を超えると見込まれたことから、2026年4月13日に在留資格認定証明書の交付停止措置が実施されました。
同日以降に受理された在留資格認定証明書交付申請は不交付となり、外食業分野への在留資格変更許可申請についても、原則として不許可とされています。
ただし、既に外食業分野で特定技能1号として在留している外国人の転職に伴う申請など、例外的に審査されるケースもあります。
こうした措置によって、外食業分野に含まれる施設給食業でも、新たな外国人材の確保が難しくなっています。
病院・福祉施設などで人手不足が深刻化
給食業務は、病院の入院患者や福祉施設の利用者などに、日々の食事を提供する重要な仕事です。
特に医療・福祉施設では、利用者の健康状態に応じた食事を安定して提供する必要があります。
政府の有識者会議では、給食事業者の人手不足によって、患者や施設利用者への食事提供や栄養管理に支障が生じるおそれがあることが、対応を検討する背景として示されています。
こうした状況を踏まえ、給食業務については外食業分野とは別の枠組みで受入れを再開する案が示されました。
ポイント:給食業務を対象とした緊急的な対応
今回の分野移行案は、施設給食業の人材確保と、医療・福祉施設などにおける食事提供体制の維持を目的としています。
外食業分野全体の受入れ再開とは異なる点が重要です。
飲食料品製造業分野へ移行する給食業務の対象は?
今回の改正案では、学校教育、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業を営む事業所における施設給食業が対象として示されています。
具体的には、次のような施設での給食業務が想定されます。
- 病院などの医療施設
- 高齢者施設や障害者福祉施設など
- 学校などの教育施設
政府資料では、対象となる事業所の産業分類や施設給食業の区分も示されています。
そのため、給食に関わるすべての企業や調理業務が、自動的に飲食料品製造業分野の対象となるわけではありません。
例えば、一般の飲食店や、今回の対象区分に該当しない事業所での調理業務については、今回の移行案だけを根拠に受入れが可能になるとは判断できません。
受入れ企業は、自社の事業内容や外国人材が従事する業務が、正式決定後の対象範囲に含まれるか確認する必要があります。
外食業分野の受入れ停止措置は今後どうなる?
今回の給食業務の分野移行案が実現しても、外食業分野全体の受入れ停止措置が解除されるわけではありません。
2026年11月時点で、外食業分野全体の新規受入れ再開時期は公表されていません。
そのため、飲食店などの外食業事業者と、今回の対象となる施設給食事業者では、今後の取扱いが異なる見込みです。
| 事業者 | 今後の見通し |
|---|---|
| 対象となる施設給食事業者 | 飲食料品製造業分野で2027年4月からの新規受入れ再開を検討 |
| レストラン・居酒屋などの飲食店 | 外食業分野の受入れ停止措置が継続 |
| 今回の対象区分に該当しない事業者 | 業務内容や事業所の区分に応じた確認が必要 |
なお、外食業分野の受入れ停止措置は、既に働いている特定技能外国人が一律に就労できなくなるという意味ではありません。
在留期間更新許可申請や、転職に伴う在留資格変更許可申請などは、申請の種類や条件によって取扱いが異なります。
受入れ企業は、出入国在留管理庁が公表している停止措置の内容を確認しましょう。
給食事業者が今から確認しておきたいこと
2027年4月からの受入れ再開を見据え、給食事業者は今後の制度改正を確認しながら、採用計画を整理しておくことが重要です。
◆自社の事務所と業務が対象に含まれるか確認する
まず、給食を提供している施設の種類や、自社が行っている業務を確認しましょう。
今回の案では、対象となる施設給食業の範囲が示されていますが、実際の受入れに必要な条件は、正式な制度改正後の公表資料で確認する必要があります。
◆必要な試験や受入れ条件を確認する
特定技能1号で外国人材を受け入れる場合、原則として、対象分野に対応する技能水準と日本語能力を満たす必要があります。
今回の分野移行に伴い、技能試験の取扱いや、既に外食業分野で働いている外国人材への影響がどうなるかについては、今後の案内を確認する必要があります。
従来の外食業分野の試験に合格していれば、そのまま飲食料品製造業分野で受け入れられると判断するのは避けましょう。
◆正式決定後の申請手続きを確認する
政府は、分野別運用方針や関係する告示の改正によって、施設給食業を飲食料品製造業分野の対象に追加する案を示しています。
受入れ企業は、今後公表される対象業務、受入れ要件、申請方法などを確認し、制度開始時期に合わせて準備を進めましょう。
注意:2027年4月からの受入れ再開は正式決定前
2026年11月2日時点では、給食業務の分野移行は政府の改正案の段階です。申請受付の開始日や必要書類などについても、今後の正式な発表を確認する必要があります。
まとめ
2026年10月19日、政府の有識者会議で、病院や福祉施設、学校などの施設給食業を「外食業分野」から「飲食料品製造業分野」へ移す案が示されました。
2027年4月からの新規受入れ再開を目指していますが、2026年11月時点では正式決定していません。
また、今回の措置は施設給食業を対象としたものであり、外食業分野全体の受入れ停止措置は継続する見通しです。
給食事業者は、自社の業務が対象となるか確認するとともに、今後公表される受入れ要件や申請手続きなどの最新情報を把握しておきましょう。
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