フィリピン人を飲食店や外食チェーンで採用する場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。
特定技能「外食業」では、一定の技能と日本語能力を持つフィリピン人を雇用できます。ただし、フィリピン人材の採用には、日本の在留資格申請に加え、フィリピン政府が定める独自の手続きがあります。
さらに、2026年4月からは外食業分野の特定技能1号で新規受入れが制限されており、採用予定者の在留状況にも注意が必要です。
この記事では、2026年10月時点の情報をもとに、フィリピン人を採用する際の条件やMWO・DMWの手続き、費用、注意点を解説します。
特定技能「外食業」でフィリピン人を採用するための条件
特定技能「外食業」は、飲食物の調理、接客、店舗管理などの業務に外国人が従事できる制度です。
フィリピン人も対象となり、特定技能1号では原則として、外食業の技能試験と日本語試験への合格が必要です。日本語能力は、JLPTのN4以上またはJFT-Basicなどで確認します。
ただし、試験に合格しているだけで、必ず採用できるわけではありません。
審査状況や申請区分ごとの取扱いは、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:特定技能「外食分野」の在留申請が停止中?現在の審査状況と企業が知っておきたい注意点を解説
フィリピン人の採用に必要なMWO・DMWの手続き
フィリピン人を特定技能で受け入れる場合、日本側の手続きとは別に、フィリピン側の送出手続きが定められています。
主に関係する機関は次のとおりです。
| 機関・制度 | 主な役割 |
|---|---|
| MWO(移住労働者事務所) | 日本国内(東京・大阪)で雇用関連書類を事前審査・認証する機関(旧POLO) |
| DMW(移住労働者省) | フィリピン本国で海外雇用主の登録・許可を管理する省庁(旧POEA) |
| 認定送出機関 | フィリピン政府の認可を受けた現地の職業紹介事業者 |
| OEC(海外雇用許可証) | フィリピン人が海外就労目的で出国する際に必須となる電子許可証 |
◆企業側に求められる手続き
日本の受入れ企業は、原則としてフィリピンの認定送出機関と募集に関する取決めを行い、MWOに必要書類を提出して審査を受けます。
その後、DMWへの雇用主登録などを進めます。
また、フィリピン人本人がフィリピンから海外就労のために出国する際は、原則としてOECが必要です。
これらの手続きは、フィリピン人がすでに日本国内にいる場合にも関係することがあります。 国内採用だからといって、フィリピン側の手続きを一律に省略できるわけではありません。
なお、すでにDMWへ登録されている企業でも、採用する人材や雇用条件によって追加の手続きが必要となる場合があります。登録状況や必要書類については、MWOまたは利用する認定送出機関に確認しましょう。
フィリピン人を外食業で採用するまでの流れ
フィリピン人材の採用では、候補者の在留状況を確認したうえで、日本側とフィリピン側の手続きを並行して進めることが重要です。
基本的な流れは次のとおりです。
- 在留資格の確認: 外食業1号での転職など、現在認められる採用ケースか確認する
- 募集・選考: 技能、日本語能力、接客適性などを確認する
- 雇用条件の決定: 日本人と同等以上の報酬など、適切な条件を設定する
- フィリピン側の手続き: MWOの審査やDMWへの登録などを進める
- 在留資格申請・受入れ準備: 必要な申請と特定技能1号の支援体制を整える
実際の手続きや順序は、候補者が海外在住か国内在住か、企業のDMW登録状況などによって異なります。特に、国内で外食業1号のフィリピン人を採用する場合も、フィリピン側で必要な手続きを確認することが重要です。
なお、MWO・DMWの手続きを完了しても、日本側の在留資格申請が許可されるとは限りません。現在の外食業1号の受入れ制限も踏まえて採用計画を立てましょう。
フィリピン人の採用にかかる費用と企業側の負担
フィリピン人を特定技能で採用する場合、一般的な外国人採用費用に加えて、フィリピン側の手続きに関する費用が発生することがあります。
主な費用項目は次のとおりです。
| 費用項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 人材募集・紹介費 | 人材紹介会社や採用マッチングサービスの利用料 |
| フィリピン側の手続き費 | MWO申請手数料、認定送出機関(PRA)との契約・業務手数料など |
| 在留資格申請関連費 | 書類収集・翻訳費、行政書士等への報酬(依頼時) |
| 渡航・住居準備費 | 渡航航空券代(海外採用時)、初期住居の敷金・礼金・備品手配費 |
| 支援費用 | 登録支援機関へ義務的支援を委託する場合の月額支援委託費 |
具体的な金額は、採用経路や契約内容、本人の在留状況によって異なります。
また、特定技能1号の支援に必要な費用を、外国人本人へ直接・間接的に負担させることはできません。
採用費用を見積もる際は、送出機関や紹介会社との契約内容を確認し、企業と本人の費用負担を明確にしておくことが大切です。
フィリピン人を受け入れる際の注意点とよくある質問
フィリピン人を受け入れる企業は、在留資格や送出手続きだけでなく、採用後の支援体制も整える必要があります。
特定技能1号では、生活オリエンテーションや相談対応などの支援が必要です。
また、飲食店では接客時の日本語対応、衛生管理、アレルギー対応などを、本人が理解できる方法で教育することも重要です。
◆よくある質問
まとめ
フィリピン人を特定技能「外食業」で採用する際は、技能や日本語能力の確認に加え、MWO・DMWへの対応など、フィリピン独自の手続きが必要です。
また、2026年10月時点では外食業1号の新規受入れが制限されているため、まず候補者の在留資格と申請可能性を確認することが重要です。
採用を進める際は、日本側とフィリピン側の手続きを整理し、費用や支援体制も含めて計画を立てましょう。
Link Asiaでは、特定技能外国人の採用や受入れに関するご相談に対応しています。フィリピン人材の採用を検討している外食企業様は、お気軽にお問い合わせください。

















2026年4月13日から、外食業分野の特定技能1号について、在留資格認定証明書(COE)の一時的な交付停止措置が実施されています。
同日以降に受理されたCOE申請は原則不交付となり、他の在留資格から外食業1号への変更も、一部の例外を除いて原則不許可です。
一方、すでに外食業1号で働いている外国人の転職に伴う申請は、引き続き審査されています。
フィリピン人材の採用を検討する際は、まず候補者の現在の在留資格と、申請可能なケースに該当するかを確認しましょう。
なお、出入国在留管理庁が2026年10月19日に公表した審査状況では、COEは同年2月6日受付分まで交付が進んでいます。また、外食業1号で働く外国人の転職に伴う変更申請や、在留期間更新申請は引き続き審査されています。ただし、4月13日以降に受理された新規のCOE申請が認められるようになったわけではありません。