近年、日本では特定技能制度を活用した外国人労働者の受け入れが進んでおり、その中でも建設業分野は日本国内での労働力不足が特に深刻な分野であり非常に重要な役割を果たしています。
建設業は、日本の発展とともにその需要が増加しており、業務を効率的にこなすためには専門的な技能と知識が求められます。
特定技能制度を利用して外国人材を採用することが、今後ますます一般的になるでしょう。
本記事では、特定技能制度における建設業の分野の仕事内容、求められるスキルや資格、外国人材を採用する際の流れや注意点について詳しく解説します。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、2019年に日本政府が導入した新しい外国人労働者の受け入れ制度です。
この制度は、特定の分野において高度な技能を有する外国人を日本に呼び寄せ、労働力不足を補うことを目的としています。
特定技能は、以下の2つのカテゴリに分かれています。
より高度な技能を持つ外国人を対象としたビザ。定住が可能で家族の帯同も認められますが、対象となる職種は限られています。
特定技能1号となるには、試験合格ルートと技能実習等からの切替ルートの2パターン存在し
建設分野において特定技能2号の在留資格申請をするには、指定された試験に合格し
監督・指導者として一定の実務経験を満たしている必要があります。
2号の場合、1号とは違い、試験合格のルートしかなく建設分野では日本語試験の要件はないため注意しましょう
特定技能制度についてより詳しい内容については下記の記事をご覧ください。
主な仕事内容は?
以前は業務区分が19区分と細分化されており、業務範囲が限定的でした。
そのため、建設業に係る作業の中で特定技能に含まれないものがあり、外国人技術者に任せることのできない業務がありました。
2022年8月の閣議決定により、業務区分が3区分に統合され、業務範囲も拡大されました。
建設関係の技能実習職種を含む建設業に係る全ての作業が新区分に分類されたため、以前のように任せる業務に注意する必要がなくなりました。
〈建設業における特定技能の3区分〉
土木分野【主に土木施設にかかる作業】
建築分野【主に建築物にかかる作業】
ライフライン・設備分野【主にライフライン・設備にかかる作業】
これらの3区分により以前のように業務に制限がなくなり、外国人労働者はより多くの業務に従事することができるようになりました。
それぞれの区分について、詳細に解説していきます。
土木分野は、主に道路・橋・ダム・トンネル・鉄道などのインフラ整備に関わる作業を含みます。
土木工事は都市や地域社会の基盤を支える重要な作業であり、特定技能1号を取得した外国人労働者は、これらの作業に従事することができます。
【主な業務内容】
・道路工事
→アスファルトの敷設や、舗装の設置、路面の整備を行います。施工の際には、精密な測量や地盤の強化が求められます。
・橋梁建設
→橋の構造物を建設し、交通のために安全で耐久性のある橋を作ります。鉄筋やコンクリートを使った作業が多いです。
・ダム・堤防建設
→水流を制御するためのダムや堤防の建設を担当します。大規模な土木作業と高度な技術が求められます。
・トンネル工事
→地下の通路やトンネルを掘る作業を行います。掘削機や爆薬を使った作業が一般的です。
土木分野の作業は、広範囲にわたる現場作業を含み、また現場の安全確保や品質管理が極めて重要です。
特定技能1号を持つ外国人労働者は、これらの現場作業に従事し、経験とスキルを活かすことができます。
建築分野は、住宅や商業ビル・オフィスビルなどの建物の建設に関わる作業を指します。
建築工事には、設計から施工・完成まで多くの工程が含まれており外国人労働者はその中で重要な役割を果たします。
【主な業務内容】
・建築大工
→木材を使って、建物の骨組みを作る作業です。住宅や商業施設などの構造を支える部分を組み立てます。
・鉄筋工
→鉄筋を加工し、コンクリートに埋め込んで強度を持たせる作業を行います。コンクリート構造物にとって欠かせない作業です。
・型枠大工
→コンクリートを流し込むために必要な型枠を作成・設置します。これにより、コンクリートの形を整える役割を担います。
・内装工事
→建物の内装作業、壁、天井、床などを仕上げる作業を行います。
建設現場での施工管理→建築現場における施工管理を行い、作業員に指示を出したり、作業の進捗を管理したりします。
建築分野での特定技能1号の外国人労働者は、これらの業務に従事する際に高度な技術を求められます。
また、作業の精度が高く建物の品質に大きく影響を与えるため責任のある作業を行うことになります。
ライフライン・設備分野は、建物や都市に必要不可欠な設備工事を含みます。
これは、電気・ガス・水道・空調など日常生活を支えるための基本的なインフラの設置・維持に関わる業務です。
【主な業務内容】
・配管工事
→水道管やガス管の設置・修理・メンテナンスを行います。これにより、住宅や商業施設に必要なインフラを整備します。
・電気工事
→建物における電気設備の設置を行います。電気配線・照明設備・エアコンの設置などが含まれます。
・空調設備の設置
→冷暖房や換気設備を設置し、建物内の環境を快適に保つための作業です。これには配管やダクト工事も含まれます。
・ガス設備工事
→ガスの供給を行うための設備を設置します。高い技術と安全管理が求められる分野です。
ライフライン・設備分野の作業は、都市や住宅での生活基盤を支えるために非常に重要です。
特定技能1号を取得した外国人労働者は、この分野での作業を通じて生活環境の維持や改善に貢献することが期待されます。
建設業の求められるスキルと資格
建設業における特定技能1号の外国人労働者には、業務を遂行するために必要なスキルや資格が求められます。
これらは、専門的な作業を安全かつ効率的に行い建設現場の品質や安全性を確保するために重要です。建設業で求められる主なスキルと資格について詳しく説明します。
日本語能力
建設業においては、業務に関する指示や注意点を理解しコミュニケーションを取ることが重要です。
特に指示や報告を正確に理解し現場での円滑なコミュニケーションを行うため、日本語の基本的な理解と会話能力が求められます。
日本語能力試験(JLPT)N4以上が必要となる場合もあります。
専門的なスキル
特定技能1号で従事する業務は、建設分野における専門的な作業を含みます。これには、専門的な知識や技術が必要です。
【土木分野の専門スキル】
土木施工技術: 道路工事や橋梁建設、トンネル掘削などの土木工事に必要な施工技術。測量や地質調査、機械操作などの技術が含まれます。
型枠工事: コンクリートを流し込むための型枠の設置技術。型枠工事は正確さが求められるため、専門的な知識と技術が必要です。
【建築分野の専門スキル】
建築施工技術: 木造建築や鉄骨建築、コンクリート構造物の施工技術。例えば、木材の加工、鉄筋の配置、型枠工事など。
内装工事技術: 建物の内装を仕上げる作業に必要な技術。床や壁の仕上げ、ペンキ塗り、タイル貼りなどの作業を行います。
【ライフライン・設備分野の専門スキル】
配管技術: 水道やガス、空調設備の設置・修理に必要な技術。配管工事の際には正確な計測や施工が求められます。
電気工事技術: 電気設備を設置する技術。電線の配線、照明器具の取り付け、電気機器の接続などが含まれます。
空調設備の設置: 冷暖房設備の設置に必要な技術。ダクトの取り付けやエアコンの設置作業など。
必要な資格
建設業に従事するために、特定技能1号を取得した外国人労働者には業務を実施するために必要な資格を保持していることが求められる場合があります。
特定技能の資格を有することで、より高度な作業を任されることが増え、キャリアアップにもつながります。
【代表的な資格】
技能実習修了証: 以前、技能実習生として建設業に従事していた場合、その修了証が資格として役立つことがあります。これにより、一定の実務経験が証明され特定技能1号の取得がスムーズになります。
建設機械の運転資格: クレーンやショベルカー・ダンプトラックなどを扱うためには、それぞれの機械に関する運転資格が必要です。例えば、「大型特殊自動車免許」や「クレーン運転士免許」などです。
施工管理技士(1級・2級): 施工現場での管理職として活躍するためには、施工管理技士の資格が役立ちます。1級や2級の施工管理技士の資格を持つことで現場の品質管理や工程管理・安全管理が行えるようになります。
電気工事士: 電気設備に関連する作業を行う場合「第二種電気工事士」などの資格が必要です。これにより、電気工事の資格を持った作業員として認められます。
配管技能士: 水道やガス配管などを行うためには「管工事施工管理技士」や「配管技能士」の資格が必要です。
外国人材の受け入れにおける必要なこと
外国人材を建設業分野で採用する際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
労働環境と安全対策の整備
建設現場では安全が最も重要です。外国人労働者が安心して働ける環境を整えるために、しっかりと準備しましょう。
安全管理
→建設現場での事故や災害を防ぐために、安全教育を徹底する必要があります。外国人労働者が日本の安全基準や法律を理解し、実行できるように、具体的な指導が求められます。
安全設備の整備
→作業現場における個人保護具(PPE)(ヘルメット、安全靴、手袋など)の提供は必須です。これにより、外国人労働者が十分な保護を受けられるようにしましょう。
福利厚生と社会保険の整備
外国人労働者に対しても、日本人労働者と同様の福利厚生や社会保険を提供することが法的に義務付けられています。これにより、外国人労働者の労働環境が整い、安心して働くことができます。
【福利厚生の充実】
住居の提供
→外国人労働者が日本での生活をスムーズにスタートできるよう、住居の提供や住宅手当の支給が必要です。
生活支援
→日本の文化や生活習慣に慣れるためのサポートや、日常生活における問題解決の支援が求められます。
【社会保険の加入】
日本で働く全ての労働者は、社会保険(健康保険、年金、労災保険、雇用保険)に加入する義務があります。外国人労働者にもこれらの社会保険を適用し、安心して働ける環境を提供することが必要です。
文化的な理解と多様性の尊重
外国人労働者を受け入れる際には、文化的な違いを理解し、尊重することが重要です。日本の労働文化や価値観を共有する一方で、外国人労働者の文化や背景にも配慮し、共に働く環境を作り上げていくことが求められます。
外国人材採用の流れ
外国人材を建設業で採用する際の流れを、採用担当者としてしっかり把握しておくことが重要です。
採用計画の策定
まず最初に、自社の建設業に必要なスキルや人員数を把握し、どのような外国人材が必要かを明確にします。
具体的には、必要な技能や資格をもとにどの国からどの程度の技能を持った外国人材を採用するかを検討します。
求人募集
外国人材を対象に求人を行う際には、特定技能建設業の求人広告を適切な媒体に掲載します。または、外国人材の求職者情報を保持している職業紹介事業者などに依頼することもお勧めです。
求人情報には、仕事内容や求められるスキル・日本語能力の要件・待遇などを明確に記載することが大切です。
面接と選考
応募者が集まったら、面接を行います。面接では、建設業に必要な基本的な技術やコミュニケーション能力・日本語能力を確認します。
場合によっては、実技試験や技能試験を実施することもあります。
就労ビザの取得
選考を通過した候補者には、就労ビザを取得する必要があります。
特定技能1号ビザを取得するためには、所定の手続きを踏み必要な書類を提出します。
ビザの取得には一定の時間がかかるため、早めに手続きを始めることが重要です。
入社後の研修とフォローアップ
外国人材が入社した後は、業務に必要な研修を実施し適切な指導を行います。
特に日本の職場文化や安全衛生については、入社前後にしっかりと教育を行うことが求められます。
まとめ
特定技能1号を活用することで、建設業界の労働力不足を解消することができます。
外国人労働者の採用には、技能試験や日本語能力・適切な契約内容・生活支援などが重要であり、企業としての準備が必要です。
採用担当者は、これらのポイントをしっかりと押さえ、外国人労働者が日本で安心して働ける環境を提供することが求められます。
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