近年、人手不足が深刻化する中で、外国人材の活用はますます重要になっています。特にフィリピン人材は、技能実習制度を通じて日本企業にとって欠かせない存在となってきました。そんな中、より長期的かつ実践的に活躍できる「特定技能」制度に注目が集まっています。
本記事では、これまで技能実習を活用してきた企業担当者さまに向けて、フィリピン人材を特定技能で採用するメリットや手続き、実務上の注意点などをわかりやすく解説します。制度変更に対応し、優秀なフィリピン人材を安定的に確保するための第一歩として、ぜひご覧ください。
目次
フィリピン人材の魅力と特定技能での採用メリット
フィリピン人材は、技能実習制度において長年にわたり高い評価を受けてきました。明るく協調性があり、勤勉で真面目な性格、日本語や英語に対する親和性の高さなどが多くの企業から支持されている理由です。また、フィリピンでは海外で働くことが社会的にも一般的で、異文化適応力が高い点も特徴です。

出典:出入国在留管理庁
特定技能制度では、これまでの技能実習とは異なり、より即戦力としての活用が期待されています。試験合格や日本語レベルの要件があるため、一定のスキルを持った人材が来日することになり、採用後すぐに現場で戦力となるケースも増えています。さらに、最長で5年間の在留が可能なため、中長期的な人材確保が可能になるのも大きなメリットです。
技能実習での経験がある企業にとっては、すでにフィリピン人材の働きぶりを理解しているため、特定技能への切り替えはスムーズです。既存の体制を活かしながら、より安定した人材活用ができる特定技能制度は、今後の採用戦略において重要な選択肢と言えるでしょう。
フィリピンと日本の特定技能に関する協定と最新動向
フィリピンと日本は、2019年に「特定技能制度に関する協力覚書(MOC)」を締結しており、フィリピン人が特定技能で日本へ就労する道が正式に開かれています。この覚書のもと、フィリピン政府機関であるDMW(Department of Migrant Workers)が送り出しの管理を担い、日本企業との間での手続きや人材管理を行っています。
特定技能制度においては、技能試験および日本語能力試験(JLPT N4相当以上)の合格が必要です。フィリピン国内では、現地の日本語教育機関や政府認定のトレーニングセンターが支援を行っており、質の高い人材が育成されています。
また、日本政府も「登録支援機関」を通じて、受け入れ企業の負担軽減や人材の生活支援を促進しています。2025年現在も両国の連携は強化されており、制度の透明性と人材の質の向上が図られています。
フィリピンとの協定が整っていることにより、制度上の安心感があり、採用リスクを低減できる点も大きなポイントです。
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技能実習から特定技能への移行方法と注意点
これまで技能実習生を受け入れてきた企業にとって、特定技能への移行は比較的スムーズに進めることができます。技能実習2号を良好に修了したフィリピン人材であれば、特定技能1号の在留資格を申請する際、技能試験や日本語試験が免除されるケースが多いのが特徴です。
しかし、制度移行にはいくつかの注意点もあります。まず、在留資格の変更申請が必要で、提出書類の不備や手続きの遅れがトラブルの原因になることもあります。また、特定技能では企業側に「支援計画」の作成・実施が義務付けられていますが、登録支援機関に委託することも可能です。
技能実習制度に比べて、特定技能はより労働者としての権利が重視される制度です。そのため、受け入れ企業側にもコンプライアンス意識が必要不可欠です。社内体制の見直しや支援機関との連携を強化し、スムーズかつ適正な移行を進めることが、トラブル防止と人材定着のカギとなります。
※下記に特定技能に関するよくある質問をまとめています↓
フィリピン人の特定技能採用の流れと必要書類
フィリピン人材を特定技能で採用する場合、まずは現地の送出し機関や仲介企業と連携して候補者を選定します。選定後、日本での就労には特定技能試験や日本語能力試験の合格が必要です。候補者がすでに技能実習を修了していれば、このステップを省略できる場合もあります。
次に、企業側が必要な書類を整え、出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。その後、フィリピン側でもPOEA(海外雇用庁)への登録や出国許可手続きが必要です。企業は「雇用契約書」「支援計画書」「住居確保証明書」などを準備する必要があり、情報の正確性や申請スケジュールの管理が重要です。
採用後は、日本での生活支援を含む「1号特定技能外国人支援計画」に基づき、相談窓口の設置や定期的な面談、日本語学習の機会提供などを行う必要があります。これらの支援業務は「登録支援機関」に委託することも可能で、制度に詳しいパートナーの活用がスムーズな採用につながります。
フィリピン人材と働くうえで理解しておきたい文化・宗教的背景
フィリピンは、国民の83%がローマ・カトリック教徒であり、宗教行事が生活の中で重要な位置を占めています。特にクリスマスや聖週間(ホーリーウィーク)などの行事では、家族と過ごすために休暇を希望する人が多く、職場としてもスケジュール調整の配慮が求められます。
また、フィリピン文化では家族の絆や相互扶助が非常に重視されており、家族のために働くことや仕送りをすることが一般的です。このような背景から、家族の事情によって急な休暇を必要とする場面もあります。これを理解し、柔軟な対応を取ることで信頼関係が築きやすくなります。
さらに、フィリピン人は職場においても間接的で礼儀正しいコミュニケーションを好み、対立を避け、調和を保つことを重視します。そのため、指導やフィードバックの際には、相手の尊厳を尊重し、丁寧な言葉遣いや配慮ある態度を心がけることが効果的です。
文化的な違いを尊重し、相互理解を深めることで、フィリピン人材との円滑な協働が実現し、職場全体の活性化にもつながります。
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まとめ
特定技能制度は、技能実習と比べて柔軟で実践的な制度であり、フィリピン人材の力をさらに引き出すことが可能です。すでに技能実習で信頼関係を築いてきた企業にとって、制度移行は人材活用の大きなチャンスと言えるでしょう。必要な手続きや体制整備はありますが、丁寧に対応すれば、安定した人材確保と職場の活性化が実現します。
ぜひ本記事を参考に、フィリピン人材との新たな関係構築に取り組んでみてください。

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