外国人雇用で必須の知識|出入国在留管理庁の役割と企業が押さえるポイント

外国人を雇用する企業にとって、最も深く関わる行政機関が「出入国在留管理庁(入管)」です。
入管は、外国人の入国・在留・就労に関する審査を一元的に担う機関で、在留資格(ビザ)の審査や更新、企業の届出管理など、外国人雇用のあらゆる場面に登場します。

ただし、「どの手続きが入管で必要なのか」「どんな場合に指導や調査が入るのか」については、誤解が多く、担当者が不安を抱えやすい部分でもあります。

本記事では、入管の役割や企業が関わる手続き、注意すべきポイントまで、外国人雇用の実務に必要な基礎知識を整理して解説します。

入管の概要と在留管理の基本

入管(出入国在留管理庁)は、法務省の外局として、日本に出入国する外国人の管理を行う行政機関です。
外国人の 入国・在留・退去 に関する制度運用を行い、日本国内の適正な在留管理を担っています。さらに、国際的な人の移動が増える中で、テロ対策や不法滞在防止など治安維持の観点からも重要な役割を果たしています。

◆ 入管の主な業務

  • 在留資格(ビザ)の審査
  • 在留期間更新・資格変更の審査
  • 上陸審査(入国手続き)
  • 永住許可の審査
    (帰化申請は法務局が窓口ですが、入管が情報照会に関わる場合あり)
  • 不法就労・不法滞在への対応
  • 企業・学校からの各種届出管理

企業が外国人雇用を行う際は、在留資格が適正であることを確認し、必要な届出を行うだけでなく、継続的に法令遵守を意識した運用を行うことが求められます。

在留資格の審査はどう行われる?

外国人が日本で働くためには、在留資格(就労ビザ)が必要です。
この審査を担当するのが入管であり、企業から提出された資料をもとに、就労内容が在留資格の範囲に適合しているかを確認します。

◆ 審査で見られる主なポイント

  • 業務内容が在留資格の範囲に合っているか
  • 労働条件(給与・労働時間)が日本人と同等か
  • 企業に適正な受け入れ体制があるか
  • 外国人の経歴が業務と一致しているか
  • 過去に不正行為や違反がないか

特に、特定技能・技術・人文知識・国際業務などの就労資格では、
業務内容と在留資格の一致 が最も重要なチェックポイントです。

企業の書類に不備がある場合や、業務内容が実態とずれている場合は、不許可や追加調査が行われる可能性があります。

企業が届け出る必要がある主な届出

企業は、外国人を雇用する際に入管へ各種届出を行う義務があります。
これらは「外国人雇用の適正性」を確認するための重要な制度で、届出漏れは行政指導の対象となります。

◆ 企業が提出すべき代表的な届出

  • 雇用開始・終了の届出(雇用状況届)
     ※中長期在留者を雇用したすべての企業に提出義務あり
    (技人国・高度専門職・企業内転勤・家族滞在・特定技能など)
  • 特定技能所属機関の各種届出
     → 受入れ計画の変更、転職時の届出など
  • 技能実習関連の届出(別制度)
  • 住所変更(外国人本人が14日以内に届出)
  • 勤務場所変更(特定技能など企業に届出義務がある在留資格のみ)

特定技能の場合は、所属機関(企業)に
毎月・四半期・年次での報告義務 があり、未報告は指導対象となります。

企業担当者は「いつ・どんな届出が必要か」を整理しておくことが重要です。

違反するとどうなる?入管からの指導とリスク

入管は外国人の在留状況を監督する役割を持っているため、企業や外国人本人に違反があれば行政指導が入ります。

主な違反例

  • 在留資格の範囲外で働かせた
  • 賃金が法令より低い
  • 労働時間や業務内容が申請と違う
  • 支援計画(特定技能)の不履行
  • 届出義務の未提出・虚偽報告
  • 本人の不法就労、不法滞在

行われる可能性のある措置

  • 行政指導・改善命令
  • 企業名の公表
  • 在留資格の取消し
  • 不法就労助長罪(企業側の罰則)
  • 外国人雇用が今後困難になる

特に 「業務内容の不一致」 は非常に多い指摘事項で、
企業が想定していた業務と実態が異なる場合、厳しく審査されます。

企業が守るべき適正な外国人雇用のポイント

外国人雇用を適正に進めるには、企業側の管理が重要です。
入管が特に重視する観点を押さえておくと、トラブル防止につながります。また、外国人従業員が安心して働き続けられる環境を整えることは、定着率の向上にも直結します。

◆ 企業が押さえるべきポイント

  • 業務内容と在留資格の一致を徹底する
  • 労働条件が法令に適合しているか確認
  • 必要な届出を期限内に提出する
  • 外国人が理解できる形で説明を行う
  • 社会保険・税務など法令遵守を徹底する

特定技能では、支援計画の実施状況も審査の対象です。生活支援・日本語教育・相談体制などが適切に実施されているかどうかを入管は継続して確認するため、形式的な管理ではなく、実態として支援が行われているかが重要になります。

まとめ

出入国在留管理庁(入管)は、外国人の在留資格審査や就労管理を行う、外国人雇用において最も重要な行政機関です。
企業は、在留資格の範囲内で業務を行わせるだけでなく、各種届出や支援義務を適切に履行し、法令遵守を徹底することが求められます。

Link Asia では、在留資格手続きや入管とのやり取りに関する実務サポート、特定技能や育成就労制度などに対応した受入れ支援を提供しています。
外国人雇用で不安がある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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渡邉 圭史
人材ビジネス会社の一員として外国人雇用の推進に取り組んでいます。特定技能や技能実習制度、外国人労働者の受け入れについて、実務や日々の学びを通じて経験を積んでいます。このブログでは、外国人雇用に関する知識や最新情報、実際の現場で感じたことを分かりやすくお届けします。ぜひ気軽に読んでいただければと思います!