インドネシア人の雇用を考えている皆さんへ:インドネシアの約9割はイスラム教徒???

インドネシアでの人材採用を検討している日本企業が増える中で、その文化や宗教的背景を理解することは、スムーズな雇用関係の構築に役立ちます。特に、インドネシアの人口の約9割がイスラム教徒(ムスリム)であり、イスラム教が彼らの日常生活や価値観に大きな影響を与えている点は無視できません。イスラム教は、世界で最も信者数が多い宗教の一つであり、インドネシアはその最大のムスリム人口を持つ国です。

では、具体的に「イスラム教」とは何なのか、そしてムスリムの従業員を迎え入れる際に企業としてどのような配慮が必要かを見ていきましょう。

イスラム教とは?

イスラム教って何?

イスラム教は、預言者ムハンマドを通じて7世紀にアラビアで始まった宗教で、アッラー(神)を唯一絶対の存在として崇拝します。イスラム教徒は、クルアーン(イスラム教の聖典)を信じ、その教えに基づいた生活を送ります。彼らの信仰は、宗教的な儀式や倫理観、そして日々の行動に深く根付いています。

イスラム教の五つの柱

イスラム教には、信者が守るべき「五つの柱」と呼ばれる重要な義務があります。これらはムスリムの日常生活において大きな役割を果たします。

  • 信仰の告白(シャハーダ)

「アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」との信仰を告白することが最も基本的な義務です。この信仰がムスリムのアイデンティティの中心となります

  • 礼拝(サラート)

イスラム教徒は1日5回、決まった時間にアッラーに祈りを捧げます。礼拝はイスラム教徒にとって非常に重要で、仕事中でも礼拝時間を確保することが求められる場合があります。企業がこの礼拝に理解を示し、職場で礼拝ができるスペースを提供することは、従業員との信頼関係を深めるポイントです。

  • 喜捨(ザカート)

イスラム教では、富を持つ人が貧しい人に寄付することが奨励されています。これにより、社会的な助け合いと平等を保つという考えが根付いています。

  • 断食(サウム)

毎年ラマダン月には、日の出から日没まで飲食を控える断食が行われます。この時期には、従業員が食事を取らずに働くことがあるため、企業は業務時間や仕事の負担に柔軟な対応を考える必要があります。また、断食の終わりには祝祭(イード)があり、多くのムスリムが家族と過ごすために休暇を取ることが一般的です。

  • 巡礼(ハッジ)

イスラム教徒は、経済的かつ体力的に可能であれば、一生に一度はメッカへの巡礼を行うことが求められています。巡礼は非常に神聖な行為であり、従業員がこのために長期休暇を希望する場合もあるため、事前に企業側が理解を持って対応することが重要です。

ハラールとハラームの理解

ハラールとハラームって何?

イスラム教には「ハラール(許されていること)」と「ハラーム(禁じられていること)」という教えがあります。これらは特に食事において重要です。ムスリムは、豚肉やアルコールを摂取することが禁じられており、食べるものはハラール(イスラム法に則ったもの)でなければなりません。職場の食事や社内イベントでこれに配慮することで、ムスリム従業員が安心して参加できる環境を提供することができます。

職場での配慮ポイント

ムスリム従業員が安心して働ける職場環境を整えるためには、いくつかの配慮が必要です。

  • 礼拝のための時間とスペース

1日5回の礼拝は、ムスリムにとって非常に大切な行為です。企業は、礼拝の時間を尊重し、従業員が静かに祈りを捧げられるスペースを提供することが望まれます。これにより、従業員は安心して仕事と宗教行為を両立させることができます。

礼拝のタイミング: 礼拝自体は通常5~10分程度で済むため、休憩時間を利用して行えるよう配慮しましょう。

礼拝の場所: 清潔で静かな場所が理想的です。最低でも1×2メートルほどのスペースがあれば、礼拝に十分な場所が確保できます。

  • ラマダン月の柔軟な対応

ラマダン期間中、従業員は日中に食事や飲み物を取らないため、体力が低下することがあります。この時期には、業務時間の調整や作業負担の軽減が考慮されると、従業員の健康やモチベーションが維持されやすくなります。

  • 食事に対する配慮

社内食堂やイベントでハラール食を提供することは、ムスリム従業員が安心して食事を楽しむために重要です。もしハラール対応が難しい場合は、外部からの提供や、個別に弁当を持参する選択肢を与えるなどの工夫が求められます。

  • 宗教行事や休暇への理解

イード(ラマダン終了後の祝祭)やハッジ(巡礼)など、ムスリムの宗教行事に伴う休暇の希望がある場合には、企業側が柔軟に対応することが良好な雇用関係を築くために大切です。

まとめ

インドネシアの多くの人々がイスラム教を信仰していることを理解することで、職場における宗教的な配慮をスムーズに行うことができます。イスラム教の教えや習慣に基づいた働き方に理解を示すことで、従業員が快適に働ける環境を提供できるだけでなく、彼らのモチベーションや生産性を高めることにもつながります。

イスラム教徒であるインドネシア人の従業員と共に働く際は、宗教的な背景に配慮しつつ、互いの文化を尊重することで、企業にとっても大きな利益となるでしょう。

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ドゥイ ウィチャクソノ
DWI WICAKSONO (ドゥイ ウィチャクソノ) 出身 インドネシア 言語 インドネシア語、ジャワ語、日本語 2011年10月~2014年9月 技能実習 2016年4月~2020年3月  吉備国際大学 2020年4月~2022年12月 協同組合、登録支援機関のスタッフ 2023年1月~現在に至る  Man to Man株式会社